156話
妹へのお礼を買いに、エミリアと2人でショッピングモールに来ている。
ミューズおすすめの、ワイシャツにジーンズという、ちょっと高校生らしくないカジュアルさの服装でやって来た。
遥君も、大丈夫だと言ってくれたので、大丈夫だと信じたい。
急に出かける事が決まったので、服装なんて用意してる時間がなかったんだ。
実際に、エミリアたちが日本語スクールに行ってる、僅かな時間しか準備時間がなかった。
その時間で、僕が持ってる服の中でマシなコーディネートを、遥君とミューズに見てもらったんだ!
「おお!?コウタの私服姿なんて、初めて見たな!」
「そうだっけ?ああ、大体は学校かダンジョンで会ってたもんね。」
「そうだな!いつも制服か装備だったな。」
まあ、僕は装備を私服感覚で着てたから。どちらかといえば、いつも私服で会ってる感じだったんだけどね。
「確か、妹さんは中学生なんだよな?」
「そうです、よろしくお願いします。」
「任せとけ!さっきも、日本語スクールでリサーチしてきたからな!」
「日本語スクールには、中学生もいるの?」
「ああ!一緒に日本語の勉強をしているよ。そこは、みんな似たようなレベルだからな!内容もそう大きくは変わらないな。」
なるほど、年齢は違っても、語学においてはみんな1年生って訳だ。
不思議な感覚だね。
「どんなアイテムにするかが問題になる訳だが。総じて、ちょっと背伸びした物を欲しがる傾向にあるようだ!」
「エミリアの時はどうだったの?」
「私か?私は姉のお古が沢山あったからなぁ。誕生日くらいは、お古じゃない物が欲しかったな!参考にならないだろ?」
確かに・・・、それは、参考にしようもない。
「今着ているのもほとんどそうだな、自前で買ったのは・・・、下着くらいか?」
・・・何てコメントすればいいの!?
お姉さん良い趣味だね?とか言えばいいんですか!
『エミリア・・・、ぶっちゃけ過ぎなのです・・・。幸太が反応に困っているのですよ。』
うん、安定のミューズ、ライドオンしてます。
遥君に預かってもらう事も、考えたんですけどね・・・。
むしろ2人に、僕たち2人で大丈夫か心配されました。
「むう、そうなのか?なかなか難しいな。」
「そうだね、普段はダンジョンの話が多いからね。」
『無理せず、それでいいのです!エミリアも張り切りすぎずに、落ち着くのです!』
え?エミリアも緊張してたの?
全然気づかなかった・・・。
「ゆっくり、行こうか。」
「了解だ。ああ、参考としては、バック、アクセサリー、ピアスなんかがあったな!だけど、日本の中学生はあまりピアス穴を開けていないらしい。コウタの妹も開けていない場合は、イヤリングになるな。」
「開けたって話は、聞いてないね。」
「そうか、ではピアスはなしだな!そこの店から行こう!」
バックを見たり、アクセサリーを見たり、次々とお店を回り、小物や服なんかも見たりした。
やっぱり、エミリアは何を合わせても似合うね。
ミューズに色んな帽子を被せて、笑い。
それぞれに、色々なポーズをとってみせるミューズに、ほっこりした。
「お?これにしよう!」
「お客様、こちらの商品、少々お高くなっておりますが・・・、大丈夫でしょうか?」
ん?ああ、アクセサリーを見てたつもりが、ジュエリーだったのか、結構するね。高校生だもんね、心配して下さったんですね。
「このお店、電子マネーの『yen』って使えますか?」
「はい、もちろんでございます!」
「じゃあお願いします。」
「容れ物をお持ちしますね。直ぐ着けて帰られますか?」
「いえ、妹にお礼として贈りたいので。郵送って出来ます?」
「はい、賜っておりますよ。メッセージカードなどお付けしましょうか?」
「そんな事も出来るんですね・・・。じゃあ、お願いします。」
さすがに、単価の高い商売はサービスもすごいね!
『奮発したのです!』
「なに?ミューズも欲しかった?」
『ミューズはこの帽子1つで十分なのですよ?』
「後は、お水だね。」
『はい!都築が、ここには色んな硬度のお水が売ってるって言ってました!楽しみなのです♪』
いつの間に都築さんとそんな会話を?
もしかして、僕のスマホで連絡してるの?
ちょっと、通信料を確認しておいた方がいいかもしれないね。
「メッセージカードはどちらになさいますか?手書きがお嫌でしたら、印刷も出来ますので、お気軽にお申し付け下さい。」
「じゃあ、このカードに・・・。」
カードの下のショーケースに、綺麗な指輪が見えた。
・・・贈る?
何かの記念日でもないのに!?
でも、欲しがってたし・・・。
いやいやいやいやいや!
『手を繋ぐよりも、幸太にはハードルが低いのなら。贈ったらどうです?』
うん!これ買って贈る方がハードル低いね!
でも、指輪だし!?
『結婚指輪だけが指輪ではないのですよ?』
確かに。
いや、でも・・・。
『ソフィアやアデレードに渡した指輪よりも、よっぽど安いのです。』
それもそうか。
あれ?なんか違うような?
『ミラの指輪も5000万しましたよ?エミリアだけ、持ってないのです。』
うん、あれは情報料で買ったよね。
うん?
買った方がいいのか?
でも・・・
『防御力なんて、なくてもいいのですよ?』
そうか、そんなもんか。
「すみません。」
「はい。」
「これも貰えますか?」
「え?は、はい。」
「サイズって、調整出来ます?」
「もちろんです!!お任せください!」
「エミリア〜。」
うん、エミリアにとっても喜ばれた。
だけど、良く考えるとミューズに誘導されてたよね?
やっぱり、いきなり指輪を渡すのはおかしいと思うんだ!!
だけど、後悔していない僕がいる。
『ぉぉぉぉおおぉぉぉぉ!?マッタリ!マッタリ感がすごいのです!!信じられない硬度のお水なのですよ!?』
ミューズは、超硬度なお水にご満悦だ。
『ふぅ!!たまにはいいのです!だけど、これっぽっちで500円は高いのです!!サントリーを見習ってほしいのです!』
うん、僕もそう思う。
暖かくなってきたし、しばらくは、そうめんで食い繋ぐかなぁ〜。
ミューズのアシストですね!ちょっと無理があったかも?
気にしちゃいけない!!
贈られた妹さんは、喜ぶよりビビるかも!?
まだ、考えてません!