152話
4階層の湖の底で、宝箱から剣を拾ってきた。
もちろん、まずはギルドで鑑定だ!
まだ、遅い時間じゃないとはいえ、スーパー銭湯の営業時間も気にかけながら、動かないといけない。
最高の働きをしたミューズを労ってあげないと!
愛想尽かされちゃうといけないしね。
「あれぇ!?もうそんな時間ん!?」
都築のお姉さんが、僕を見て驚いている。
「お姉さん、僕だって、早く帰って来る事くらいありますよ!」
『ないのです!!』「ないわね!!」
・・・ひどい・・・。
みんなの信用が、ひどいよ・・・。
ミューズも、いつもの調子が出て来た。
「早く帰って来たら、ミュウちゃんを拾ってきたり!早く帰って来たら、女性を拾ってきたり!早く帰って来たら、テロに巻き込まれたり!!・・・こ、今回は、何なの!!?」
お姉さん・・・。
・・・あんまりです。
女性は拾ったんじゃなくて、助けたのに。
『ミューズを拾って来たのは偉かったのです!!よくやりました!』
ミューズが撫でてくれる。
お前は本当に、良い子だよ・・・。
「ああ!アイテムの拾い過ぎ?最近、すごい頑張ってるものね!おかげで、今月のお給料には期待が持てるわ!!と言っても、微々たるプラスなんだけどね!」
「売り上げが上乗せされる事に、なったんですか?」
「そうよ!純利益の数%をみんなで山分けだから、大した事はないんだけどね!でもね、やる気が違ってくるのよぉ〜!」
お姉さんは、とっても楽しそうだ。
ストライキを受けて、環境や待遇が随分と良くなっている事が分かる。
『今日は2個だけなのです!幸太は湖にゴブリンを捨てすぎたのです!ドロップの回収も出来ません!お休みとはいえ、遊び過ぎなのですよ?』
「はーい、反省してま〜す。」
事もあろうに、帰りがけにミューズが青いウサギを見つけて、捕らえてくれたのだ。
あんな、ダイブでなぜ捕まえられるの?
僕は、複雑な気持ちを押し込めて、『能力値の実』を頂いた。
だから、2つだ。
「・・・新しい倒し方ね。それは、私も試した事がないわ。」
「それだけ鑑定して、今日は帰ります。」
『スーパー銭湯に行くのですよ!スーパー銭湯なのです!!』
「あはははは!そっか、ミュウちゃんはスーパー銭湯が好きなんだ?」
『初めてなのです!』
「まだだね。」
「そうなの?じゃあ、しっかりと楽しんでいらっしゃい!」
『はいなのです!』
「じゃあね!」
勝手に送り出さないでほしい・・・。
僕の話も聞いてよ!
「いえ、お姉さん。ですから、鑑定室を・・・。」
「え?あっ・・・、今入ったわ・・・、えっと〜10分待ちね!」
僕は探索者カードを出して、10分で予約した。
番号のついた紙を受け取って、鑑定室の前で待つ。
慣れ親しんだ鑑定室だ。
この半年で、何度入った事か分からない。だから今更、緊張のしようもない。
僕は、リュックから剣を取り出して、サッとモノクルをかけて鑑定する。
実の内容は分かってる、後でいい。
『草薙剣』
両刃で白銅製の剣。
攻撃力:64
武技:スサノオ使用可
武技:草薙剣、使用可
・・・。
やばい、またぶっ飛んだ性能のアイテムが出て来た!
いや、虹色の宝箱だから期待はしてたけど!
これは、あまりにも強過ぎるぅ!!
数字も異常だけど!
それ以上に、ダブルスキルのアイテムなんて!僕は、聞いたこともないよ!?
それでもって、名前がやばい・・・。
熱田神宮が、ぶち切れそうなアイテム名だ。
僕の所為じゃないのにぃ・・・。
どうやって隠そう!?
直ぐに僕は、このアイテムが狙われる可能性を考えた!
家に置いておいて、何かあったら目も当てられない!
かといって、持ち歩くにはちょっと長い。
80〜90㎝はある。護身用って言って、通じるかどうかの長さだ。
鞘も付いてない・・・。
・・・。
そうだ!・・・偽装しよう。
幸い長さは、おおよそ『ゴブリン・ソード』と同じだ!
鞘だけ買って、グリップを巻いてもらえば・・・、イケる!これならイケる!!
パッと見はただのボロい剣だ!それなら、この偽装でイケるはずだ!
鑑定室を出た僕は、脇目も振らずにショップ内の錬金担当窓口を目指した。
ちょっと、ウサギの扱いが雑でしょうか?
ミューズが飛びついて捕まえる。
そんなシーンが書きたかったんですよね。
ただ、細かく書くと、せっかくの『草薙剣』が薄くなっちゃうので、流しました。
ミューズが青いウサギを捕まえてるシーン、ぜひ脳内補完をお願いします!!




