表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/451

143話

 みんな帰ってしまった。

 僕はこれから、テスト勉強という苦行に、挑まなければならない。



『じゃあご主人様、早速教科書をリュックに詰めて、ダンジョンに行きましょう!!』



「は?」


『ほらほら、行きますよ?ご主人様の大好きなダンジョンですよ?ミラと約束したのです!せっかくですから、エミリアを超えてやりましょう!!大丈夫、ミューズが付いているのです!』




 道中、移動しながら聞いた。

 水精は、基本的に睡眠を必要としていない。だから、ミューズにとって睡眠とは、娯楽の一種という事だ。何となく気持ち良いから寝る、それが水精なんだとか。


 だから、いつも僕が寝てる間中ミューズは暇なんだ。その時間を使って、僕のスマホを使い倒していた。

 そんな中、僕の成績が悪い事を知って、この日の為に、色々と策を練ってきたそうだ。


 まあ、どうせ普通にやってもギリギリなので、今回はミューズの策に乗ってみる事にした。




『いいですかご主人様!あっ、ゴブリンを殺りながらでいいのですよ?聞いてくださいね。』


 殺りながらでいいんだ・・・。

 それだけで、ちょっと嬉しい。


 僕は、ウキウキとゴブリンを狩っていく。


『この間、ご主人様がテロリスト共を殺ってる映像を見たのです。』


 あれを見たんだ。

 1歳児にしか見えないミューズが、見るものじゃないと思うけど・・・。


『人間の反射には、0.2秒必要なんだとか?』


 ん?何の話だ?


『いくら銃弾が見えていたって、そんなにノロくさ動いていたら、銃弾は切れません!』


 おっと、このゴブリン邪魔だな。

 今、なんかミューズが面白い話をしてるのに。


『この間の、ゴブリンの集落だってそうです、ご主人様は全ての攻撃を避けきりました。くらったのは、エミリアの嚙みつきだけなのです!!』


 それは、しょうがないんだって!

 涙目で怒るエミリアから、目が離せなかったんだから。



「それは・・・『聞くのです!!』



 とっさに、言い訳をしようとした僕を、ミューズが遮った。


『あれだけの攻撃を、0.2秒なんて遅い反応で避け切れると、本当に思うのですか?』


 ・・・確かにそうだ。

 僕は、いったいどうやってやりきったんだ?


 つい、達成感にばかり目がいっていた。

 魔法やスキルがあったから?

 それじゃあ、肉体の限界を超えられない。

 何か、他の・・・。


『ここからは、ミューズの仮説なのです。でも、聞くのですよ?』


「・・・う、うん。」


『神経を走る電流より早く、情報のやり取りが出来たら。それが、可能だと思うのです。』


 電流の伝達速度が、反射の限界って訳だ。

 つまり、それを超えればいいと。


「でも・・・、そんな事、本当に可能なのかな?」


 また、ミューズに遮られるかと思った。

 だけど、そんな事はなかった。


『そこなのです。』


 ミューズらしくない、重く、真剣な喋り方だ。


『でも、実際に出来ています。』


 ・・・それは、確かに。

 自分のやった事だ、反論のしようもない。


『仮に、それを可能とする物質を「魔素まそ」とします、魔法の源ですね。それが、全身を駆け巡っているとしたら、どうでしょう?』


「・・・いや、どうでしょうって言われても・・・。」


 正直、困惑を隠せない。


『それが、全身を駆け巡っている、もしくは纏っているでもいいですよ?これなら限界を超えられると思うのです。』


「だけど、そんな物は存在しない。」


『そうですか?じゃあ、どうやって幸太は魔法を使っているのです?』


「・・・それは、その・・・。」


 MPだ・・・、これが、ミューズのいう『魔素』の存在の可能性を示唆している。


『Lv0とLv1は違うのです。アクセサリーの装備限界が、いい証拠なのです。』


 ・・・それは、確かに感じていた。

 なぜなんだと・・・。


 でも、それだと・・・。

 Lv1以降の人は、厳密には人間ではない事にならないか・・・?


『無意識にでも、気づいているのではないのです?Lv10以上の人間を人はなんと呼んでいるのです?』


 僕もなんとなく、そう呼んでいた。

 Lv10以上の人は・・・、『超人』だ。



『シナプスの電流より早く、情報を処理しているのです。だからご主人様は、攻撃を避けきれたのです。その「魔素」に情報を乗せていくのです。別にズルではないのですよ?少なくとも、各国の政府は、Lvを上げる事を推奨しているのです。』


 ・・・。


「これ・・・、もしかしてテスト対策?」


『当たり前なのです!!』


 マジかぁ!?こんなテスト対策、考えなかった!

夢がありますね!

私も、そんなテスト対策したかった!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ダンジョンでお勉強 湖のそばで、水精達とやってるのが試験勉強………………シュールだww 自衛隊員に見られて、うわっとか言われるんだねww
 INTが上がらなくても頭が良くなるとは! 但し、結局勉強は必要な様です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ