133話
僕らの最後の追い込みは、見事目標を達成する事が出来た。
僕以外、みんながLv5だ!
僕だけLv7だったりするけど、気にしない方向で。
昨日ミューズと4階層に遊びに行ったら、もの凄い物を拾ってしまった事は、またの機会に話そう。
これからの撮影に向けて、装備の最終確認をしている、仲間たちの視線が、結構痛い。
たった1日、一緒にダンジョンに行かなかったら、僕が腰の後ろに剣を下げていた。たったそれだけの事なのに、みんなの視線が痛いんだ・・・。
「コウタ!お揃いだな!!」
エミリアくらいだ、僕を信じてくれるのは!
「そうだね、グリップも同じ色にしたんだ。」
エミリアのサブウェポンは、かつての『ゴブリン・ナイフ』じゃなくて、『ゴブリン・ソード』にランクアップしてる。
ナイフは最後の武器として、太ももに装着されてる。
僕も同じ形を採用している。
腰の後ろに、剣を横向きに挿してある。
鞘も同じ、グリップも同じ、それでも、仲間たちは騙されてくれない。
ミラなんて、あぁん?とかいいそうな顔で、こっちを見ている。
ギルドの錬金系スキル使いの今野さんに、外見を『ゴブリン・ソード』そっくりに仕立ててもらったのに、疑いの目が全く晴れない。
まあ、僕はこれまでも装備を公開してないし、こればっかりは簡単には教えられない。
「さあ!みんな準備は良いか!?」
「「「『おう!』」」」
「たった1日、目を離しただけで、またぞろうちのリーダーは訳の分からない事をやっている!だが、ここはスルーで頼む!!今聞いたら、私はストレスで胃に穴が空いてしまいそうだ!」
「ミラ・・・。」
ひどい演説を始めたミラを、遥君が心配そうに見ている。
ミラが、すっごい早口だ。
「これが、アデレードとよろしくヤっていたとか、エミリアとついに結ばれたとかなら!私も素直に祝福出来る!!だが!奴は貴重な休養日に、ダンジョンに潜ってる様なキチガイなんだ!!」
仲間たちが頷いている・・・、ミューズまでも!?
「これから私たちは、ダンジョンの生配信という歴史的な事業に参加する!準備の都合上、私たちは最速の朝7時からではなく、9時からの開始を予定し、すでに告知も済ませている!国のHPですら確認出来るほど公の事業だ!!」
そうなんだ、思ったより国も今回の事に力を入れてるみたいで、馴染みの配信サービスを始め、あちこちでこの事を宣伝していた。
どんな効果があるのか、僕には理解出来ないけど。後追いでも、これが実施出来る事を世界に向けて、宣伝したいらしい。
「それなのに!貴重な休養日に!うちのリーダーときたら、休日だからダンジョンに潜るとか!平日も潜ってるだろ!!お前には、ダンジョンは必須栄養素なのかと問いたい!!」
本人の言葉通り、ミラはストレスを感じているのだろう。
すごい、テンションだ。
「いいな!お前たちは間違ってもアレの真似はするなよ!?アレは幸太という生物だからな!!」
「「「「『はい!!』」」」」
「えぇぇ!!?」
「では、出発!!」
ちょっと待ってぇ!!?
ひどい演説の終わりがそれなの!?
ギルド前の広場で、結構な人が見に来ているのに!衆人の前で演説しておいてそれなの!?
ひどくない!?
ミラの戦略ですね〜♪
違和感なく、みんなに事実を伝え、ちゃっかり開始時間を衆人に告知しました。
きっと、彼女の頭の中はグルングルンと回っているのでしょうね!
羨ましい事です。




