132話
すでに、最初の配信内容が決まってる僕たちは、生配信の説明を受けてからも、変わる事なくダンジョンに潜り続けた。
他所のダンジョンをホームにしてた人たちは、ちょっと大変だったかもしれない。
それを込みでの募集だから、今頃、必死にマップを頭に叩き込んで、戦略を練ってる事だろう。
配信内容、見せ方、階層、戦い方など、頑張ってる人ほど、考える項目は多くなってくる。
遥君が踊ってる映像を、載せれば良いと思ってた僕とは大違いだ。
「アデレード!積極的にぶち殺せ!」
「分かったわ!!私の経験値におなり!」
僕らも配信に向けて、最後の追い込みだ。
前もって、狙ってる『ゴブリンの集落』から、敵を誘き寄せて間引きを行なってるんだ。
それと同時に、アデレード先輩を、目標Lvまで引き上げようと頑張ってる。
すでに、他のみんなはLv5を達成してしまっていた。
到達階層も、5階層まで上げて、悪魔系モンスターなんていわれる奴らとも戦ってみた。
今のところ、ゴブリンの方がよほど多くて、チラッと倒した程度だ。
どうやら、5階層の悪魔系モンスターの生息数は極端に少ないらしい。
映しては来たけど、未だ配信はしていない。
今、こいつらをどう見せるか、ミラと遥君が検討中だ。
本格的な5階層の撮影は、それが決まってからになるだろう。
「遥!もっと誘い出せないか!?」
「それだと、隣の集落から引っ張る事になるよ?」
「・・・幸太!やれると思うか!?」
『余裕です!ご主人様に任せるのです!!』「余裕で・・・。」
「遥やれ!!」
僕が聞かれたはずなのに、ミューズが答えてるし。
それにしてもミラの指揮ぶりが、さすがです。
僕も見て、参考にさせていただきます。
Lv5になって、エミリアとソフィアも益々強くなった。
どちらも、何処の猛将だって戦いぶりで、強敵には、交互に攻める連携を自在に操って戦ってる。
すごい迫力だ。
「お前らははしゃぎ過ぎだー!!?少しはこっちに回せ!」
そして、怒られてる。
「はーい。」
「ごめんなさーい。」
『2人ともナイスファイトなのです!!』
すかさず、ミューズが褒める。
見事な、飴とムチの連携だ・・・。
うちのパーティー恐!?
「幸太、調子はどう?」
「う〜ん、まだちょっと、慣れないなぁ。」
「やっと、私たちがLv5まで追いついたのに、また1人だけLv7だとか!少しは自重しろ!?」
「「そうだそうだ!!」」
ひどい!?
『幸太だから仕方ないのです!』
「コウタだからなぁ〜。」
それどんな理由!?
「まあまあ、皆さんそのくらいに。それで?新しいスキルは如何ですか?」
そう、僕はLv7に上がって、またもやスキルを習得したんだ。
それも、僕が厨二臭いと笑っていた、『魔眼』のスキルを・・・。
隠すほどレアなスキルでもなかったので、僕は直ぐにこれを仲間たちに伝えた。
「うーん、便利なんだけどね〜。色々な物がいっぱい見え過ぎて、困ってる。」
これを使うと、普段見えない所まで見えてしまうんだ。
例えば、背後とか頭上とか。後は、ゲームみたいな、後方から自分が見える視点も使える、同じく、頭上から自分を見下ろす視点もだ。さらに広い範囲を見下ろす事すらも出来る。
全てを同時に作動させると、さっき言ったみたいになる。
後、これを使ってる間、左眼が紅く光っているという、困った副次効果がある。
なんとも厨二臭、満載なスキルなんだ・・・。
でも、レアじゃないという事は、そこそこの人が習得しちゃうスキルだから、そこだけは救いだ。
それに、似た様な名前で、色違いの魔眼も結構報告されている。
効果も少しずつ違うみたいだけどね。眼が光るところは一緒!!
「ソフィアの方はどう?慣れてきた?」
「楽しいですね!ちゃんと当たると、ゴブリンさんが吹っ飛んでいきます。」
ソフィアもついにスキルを獲得した、『シールドチャージ零式』という名の武技だ。
シールドを、敵にぶち当てるスキルなんだけどね、隙がほぼない代わりに、当てるのがとっても難しい武技なんだ。
当たり判定がされる距離が、極端に短いからね。
ゲームと違う所は、敵の体勢やサイズ、使用者の筋力によって効果が変わるところだろう。
ゲームなら、敵のサイズを無視して同じ効果が期待出来るし、体勢も関係なかったりする。
だけど、この世界ではそうはいかない。
大きかったり、重かったりすれば、弾き飛ばせないし、逆に軽ければ、どっかに飛んでってしまうんだ。
まあ、当たり前といえば当たり前だね。
それを、結構なステータスのソフィアが使うと、ゴブリンでボーリングが出来る・・・。
強く当たり過ぎて、吹っ飛ぶ事も出来ずに霧と消える事もあるので、その威力は僕の想像を超える。




