130話
『はい!おはようございます!』
ミューズがペコリとお辞儀をしている。
場所は、僕の部屋だ。
『ただいま、朝の7時になります!では今から、ご主人様の髪をセットして行きたいと思います!』
ミューズが目覚まし時計を持って来て、時間を見せている。
もちろん、僕がいつも使ってる時計だ。
『ご覧の通り、ご主人様は未だ寝ています!まずは、起こす所からですね!』
おもむろに、ミューズがカメラから離れ、助走をとって、僕にフライングボディアタックを敢行した。
『起きろぉーーぉ!!』
「・・・んうん?・・・んっ、ミューズおはよう。今日も元気だね・・・。」
ここまで、僕が撮られた覚えのない映像が流れていた・・・。
ここで場面は切り替わり、鏡の前に、前と後ろが映る角度で、ミューズが立ってる姿が映し出された。
『はい!クチャクチャの頭のご主人様を鏡みの前に立たせたら、ここからが本番です!!』
うん、こっからは、ミューズと角度を調整したり、話しあって撮ったところだ。
ミューズが小さな身体で、テキパキと僕の髪型を整えていく。
途中で『うりゃー!』とか『おりゃー!』とか気合の声を上げながら作業してる姿が、なんとも愛らしい。これ大丈夫かと、心配になってくる動作もいつも通りだ。
ミューズがワックスを手にとって、頭に広げるシーンなんて必見だ。
もはや、手で伸ばしてるのか、身体で伸ばしてるのか、分からない動作なんだ。最後には足まで使ってるしね!
『おーりゃ!おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃー!』
1度髪を立ててから、毛先を流すのがミューズの拘りだ。
これは、髪を立ててる時の気合の声だ。
正直もう、髪の毛を引っこ抜かれそうで、見てるこっちが怖い。
『うおーりゃー!!あっ!』
あっ!落ちた!
もちろん僕が、落ちて来たミューズをキャッチしてるんだけど、何度見ても、怪我をするんじゃないかと、ヒヤヒヤする。
『よーし!良し!完璧なのです!!』
最後に、僕とハイタッチして動画は終わっている。
「さて、ミラ、遥、これはどういう事か聞こうか?」
「いや、そのね・・・。」
「ミューズが頑張って送って来たんだ、それが面白かったから使ったんだ!このアングル!展開!これを使わずして、何を使えと言うんだお前は!!」
申し訳なさそうにする遥君と、まさかの逆ギレするミラ!
「私だって驚いたさ!ミューズの視点、ミューズの高さから見た世界感なんだこれが!!」
悩むんじゃなくて、驚くんだね・・・。
ミラ、君の倫理観はどこに行ったのさ。
「お前が立ち上がった時の、高さの違い!あれがいいんだよ!」
もはや、ミラは倫理観ではなく、作品の出来にしか興味がない様だ。
「せめて、許可は取ろうよ。」
「だって、お前嫌がるだろう?」
「当たり前だよ。」
「それでも、ミューズに甘いお前は、最後には受け入れる。いくら私でも、さすがに幸太が本当に嫌がる物までは、世に出さないさ。」
さすがにそこは信頼してるよ。
僕はため息だけ吐いておく。
「せめて、ミューズに出演料を弾んであげてね。」
「いいのか?お前の部屋が水で埋まるぞ?」
「それはマジで勘弁!!」
新しいか、古いかは分かりませんが、チャレンジしてみました。
さすがに、ちょっと分かり難いかなとも思いましたが、どう直していいのか、もう分からないので、このまま投稿しました。
また、頑張ります。