10話
僕は女性3人組を見送った。
いや、良いものを見た、眼福だ。
ダンジョンの中で美女に出会うなんて、最高だ。
さっきまで、僕はゴブリン1匹にヒーヒーいってた事も忘れ、疲れが吹っ飛ぶ気分だ。
やはり美女は良い、見ているだけで最高だ。
自分から話しかける根性は、僕にはないけどね!
他人の事はあまり言えないけど、彼女たちもすごい薄着だった。
DEFを感じさせない完全な私服に、ナイフだった。
ダンジョン初日の僕に言われたくはないだろうけど、あの私服ぶりは不安を誘うほどだった。
大丈夫だろうか?
他人事、他人事と自分に言い聞かせ、自分のやるべき事に集中する。
やはり、これからダンジョンに潜るなら仲間は必要だろう、彼女たちも3人組とちゃんと人数は集めていた。
後は『自動翻訳機』だろうか。
日本のダンジョンはどこも外国人がいっぱい居るけど、特に豊田ダンジョンは多い。
まあ、オランダとドイツから、正式に研究者や軍隊を受け入れているから当然だ。
スマホが普及して来た頃から、翻訳アプリや翻訳請負サービスなど多く見られた。
彼女たちが首に着けていたのが、所謂『自動翻訳機』というやつだろう。AIの普及によって創り出された、近代最高の呼び声も高い機器だ。
スマホと連動して、その人本来の声質を再現して翻訳してくれる、ドイツ生まれ日本育ちの注目アイテムだ!
アプリ自体はドイツがAIをフル活用して創り上げ、日本がその威信をかけてハードを創り上げた逸品だ。
使えば使うほどマスターデータ(?)とやらが学習して、本人の声質に近い音声を叩き出し、日本の企業が心血を注いだハードがそれを再現する、喋るだけで翻訳してくれる、夢のような機械だ。
ちなみに、まだまだ結構お高い。
そんな物を、彼女たちは首元に着けていた。
欧米人の見た目と年齢には、自信のない僕だけれど、彼女たちはまだ若そうな気がした。
一体どういった関係の人たちなのやら。
また一部の人たちからは、餃子型翻訳機などと呼ばれている。
その形に親しみを込めている人たちと、ちょっと大きいよね?っと悪意を込めて呼んでる人たちが、餃子型と呼んでいるようだ。
僕個人としては、これが発表された時、感動した。
世界で2番目に、移民を受け入れて来た国家の面目躍如だと、そう思ったものだ。社会の小野田先生の受け売りだけどね。
今は、彼女たちの安全な帰還を祈りたい。
仏教徒ってなんて祈れば良いんだ?
あれ?うちって仏教徒だよね?
日本には信仰の自由があるから、何でもいいか。
ラーメン、そーめん、アーメン。
アーメンって何だろう?
宗教に対しては、もっと敵対したい!
思いつかないので、今回はスルーで。