第四話 格闘術と戦闘術
第四話 格闘術と戦闘術
「《獄炎》」
「《大海》」
現在、魔法の修行の一環で兄弟の炎竜の方と戦っている。
どうやらあいつは炎属性と風属性を持っているらしく、通常の魔法攻撃の何倍もの威力を放ってくる。
だが俺は全属性持ちだ、炎魔法を一つ格下の魔法で受けることで魔力消費を抑え、反撃に出る。
「《暗黒》」
「くそ!!兄ちゃんそりゃ卑怯だよ」
「何が卑怯なんだ?戦いだぞ、これは、使えるものを使わないでどうする」
「ちぇ、兄ちゃんの悪魔、《空間燃焼》」
弟の炎竜が放ってきたのは空間そのものを燃焼させる炎属性の超位魔法だ。
その炎に空間ごと俺の攻撃は消される。
それだけでは飽き足らず、その獄炎は俺に向かってくる。
「《迅雷》《絶壊》」
俺は雷属性の迅雷で急接近、絶壊を付与した手で炎竜を吹き飛ばす。
「ぐぅっ、それはダメだよ強いよ~」
「お前だって空間燃焼使ったじゃねえか」
「そ、それは・・・」
《はいはい、そこまでそこまで》
「あ、母さん」
そこに現れたのは母龍だ。
「兄ちゃんの絶壊喰らっちまったよ~」
《はいはい、《時空回復》」
母が使ったのは、時間そのものを巻き戻しケガそのものを無かったことにするものだ。
相変わらず、スゲえ回復だな。
欠けられた部位は、絶対に通常の回復魔法で治らない絶壊の傷をいとも簡単に治してしまった。
《コラッ、腐食魔法と邪悪魔法は使用禁止ってしたでしょうが》
「コイツが空間燃焼を使ったから・・・」
《それでも腐食はダメでしょうが!!》
「はい・・・」
このように、模擬魔法戦闘で母龍に叱られるという日々が続いている。
はぁ、憂鬱だ・・・。
《でも、魔法の精度は上がってるからねぇ。よし、ここからは格闘をメインにやっていこうか》
「格闘!?」
俺は喜々として喜ぶ。
俺はそもそも転生者だ、確か・・・・。
そう、俺は現代日本において戦闘を極めた男だった。
中東アジアの内乱一つを単独で納めた実績があるからな。
《何でお前はうれしそうなんだい・・・でも、すぐに始めれるわけじゃないよ》
「え!?」
《そろそろ、人彼の術が取得できる年だ、そろそろメッセージが来るんじゃないかい?》
《スキル人かを習得しました》
「今、獲得したな」
「兄ちゃん俺もだ」
《じゃあ、私も人化するかね》
「母さんが人化!?」
《ああ》
そう母龍が答えた瞬間まばゆい閃光が視界を襲う。
反射的に闇魔法で光量を調節する。
そして光が弱まると・・・。
くびれがしっかりとした※服は着ている、体形で、月夜のような白銀の髪、ブルースカイの瞳を持つ美女がそこにいた。
これが・・・あの母龍!?
「俺もだ!!」
再びの閃光。
しかしすぐに光が収まり視界が確保される。
赤髪、紅蓮の瞳、褐色の肌、彫の深い整った顔立ちをしたを持つ美丈夫。
竜って人化すると容姿端麗になるのか?
そんなことを思いながら俺も人化する。
俺の体から光が発せられ肉体の形が変わるのを自覚する。
う~ん、自分の体だからあまり感じが分からないな。
そうだ!!
《空間投影》
空間魔法の一つである空間投影。
空間に干渉し自身の視覚を捻じ曲げ自身が見えるようにする。
漆黒の艶やかな髪、均整の取れた体付き、彫の少し深い顔。
ん?
これ、前世の俺の体じゃないか?
少し、顔面偏差値と年齢に補正が入っただけで。
ただ、悪い容姿ではないと思うから・・・。
やっぱ竜って容姿端麗しかいないんだな。
わが妹が人化すれば・・・・。
いかん、萌え死ぬ・・・。
「で、人化したはいいが竜状態の方も格闘しておいた方がいいんじゃないか?」
「人化した状態での技量は龍化状態にも影響を及ぼす、そもそも人化した状態で戦闘を行えばいい」
「だが、それだと竜の巨体を生かした戦闘ができないじゃないか」
「大丈夫だよ、竜の骨格は人のそれに近いだから人化状態の格闘は竜化状態でも使える問題ないよ」
「そうなのか・・・」
竜って人に近かったんだな。
「そんじゃ、訓練始めるよ。まずはコイツだ」
ドガンッ
母龍が置いたのは重さ百キロはありそうなダンベル(?)だった。
「なあ、こんなので何すんだ?」
「勿論筋トレだよ?」
「いやいや、自重トレだろ?普通、こんなの使ったら戦闘に支障をきたす筋肉しかつかねえじゃねえか」
「格闘の基本は身体の丈夫さだ、まずそれで・・・」
「戦闘に筋力は必要はないだろ?むしろ筋肉なんて長期戦に向かないじゃねえか。勿論ある程度の体の強度は必要だと思うが、竜なら必要ないだろ?ステータスもあるし」
「ううん、それはそうだね。じゃあ竜格闘を教えようか」
よしっ!!
新しい技だ!!
・・・・・・・
ドンッ
ガキッ
ミシミシミシ
「こ、降参だ」
「やっと兄ちゃんに・・・」
「なんて言うとでも思ったか?」
スッ
「詰めが甘い」
ドスッ
ドサッ
俺のパンチを受けた炎竜は一撃で気絶する。
顎に拳を入れたわけではない。
腹パンだ。
「コラッ、アンタ降参一度しただろう?そこで終わりだよ。この子の勝ちだよ」
母龍が弟の方を指さしてそう言う。
「コイツは俺にとどめを刺さなかっただろう?俺が気絶、もしくは殺さないないと戦闘終了とは言えない」
「殺す、なんて。組手だよ?これは、殺しちゃルール負けだよ?」
「戦闘に置いて、相手を殺さない選択肢なんてどこにある?それに、戦闘にルールなんてない。死亡に近いものが必要だ」
「アンタ、組手と殺し合いを勘違いしてるね。アンタの言ってるそれは殺し合いのやつだ、これは組手、格闘、殺人じゃない」
「え!?殺陣じゃないのか?そんなのどこに意味があるんだ?生存競争に使うんだから、殺さないとダメだろ?」
「殺陣なんて・・・・そんな殺戮をしたことをしたことがある口ぶりだね」
「あ!!」
こうして、俺はついに母龍に秘密がばれてしまうのだった・・・。
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