04-09 五カ国同盟再び
オオキナウエーノの王宮に五カ国の代表が集まって会談を行っていた。議題はニバン国に対する防衛協定についてだ。ヒダリオークは直接ニバンとは国境を接していないため、防衛協定の締結には消極的であった。自国は出兵だけすることになり、自国が攻められるときには、レフートまたはオオキナウエーノのどちらかが滅んでいる状態であり、両国からの援軍は期待できないし、ウエライトやライトからの援軍は遠すぎてこちらも期待できない。
レフートとオオキナウエーノも消極的であった。ケンの力を見せつけられて対抗する方法が思いつかなかった。水を際限なく生み出す能力など、今までの兵站の概念を覆される。しかも補給路の整備も行えるため、進軍の速度は予測するのが困難である。
兵が怪我をしても治し、砦があってもケンが来たら塀の上まで続く階段を作るかも知れないし、そもそも壁に穴を開けてくる可能性もあり、ケンがきた時点で戦にならないと判断していた。
「なぜ私たちが同盟を結んだのかを思い出して欲しい。デカーオ帝国が三十年、いや二十五年もしたら、大陸の半分を占めてしまう可能性が高い! 今の国力のままでは絶対に太刀打ち出来ない。領土の広さを有効に活用出来ていないニバンよりも、我々が分割統治を行い帝国に対抗する力を手に入れるのだと」
ウエライト国王が熱弁し、ライト国王も同調して賛同の声を上げた。
「ニバンは国王が変わった。今は戦の影響で疲弊しているが、奴隷だったものが帰国し人員の補填が行われ、主要な街道が整備され交易が活性化している。新しい農法や作物によって食料の収穫量も上がってきており、また復興のために多くの物資が消費され再建による好景気が始まっているし、王家の婚姻と懐妊にあやかって国民の婚姻と懐妊も増加している。多分あと一、二年で戦争前の国力を取り戻し、十四、五年後には人口増加しており、帝国よりももっと身近な脅威になるぞ」
「もし脅威となりうる程の国力を得たのであれば、帝国との旗頭として期待できるのでは?」
「そもそも我々を残して使うよりも、力があるのだから併合するだろ。このままだと滅ぼされるだけだ」
白熱した議論の結果、ニバンに限定せず五カ国以外の国から攻められた場合は協力する。ただし、先に戦争を仕掛けた場合はこの条件から除かれる。大枠で合意が取れたため、細かい内容は今後少しずつ整備していくことになった。他国へのけん制のために、この同盟は周辺国に伝えられた。
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オクライトに派兵したライト軍は順調に進軍し、少しずつミーギオークに占領された街や村を解放していった。半年ほどかけてミーギオークの軍勢を当初の国境の外まで押し返すことに成功し、センダーイより南の地域はライト国に編入された。
生き残ったニバン国の奴隷達は、他の国よりも遅くなったもののニバン国に帰ることになった。その後ニバン側にもその境遇が伝わり、ライトへの不満が高まっていった。
オクライトはミーギオークや今後懸念される帝国からの侵攻を防ぐため、五カ国同盟に参加の意思を示しているが、五か国同盟の各国からはメリットが少ないという事で参加は見送られている。
同様にウエウエ国からも五か国同盟に参加したい旨の打診が来ているが、こちらも参加は見送られている。帝国に国境が面しており攻め込まれる可能性が高いこと、オオキナウエーノとウエライトとも国境を面していて、両国からは侵略相手として残された唯一の地域として狙っている事も要因の一つであった。




