04-06 内政04
ケンが国王となってから九か月ほど経過し、施策の効果が出始めており収穫量が増加したり品質が良くなった。悪化していた食糧事情も改善しつつあり、治安も若干回復し、国王の評価が更に高まっていった。
国内の主要な街道は整備され流通速度が増して国内の経済が活性化され、余剰な食料があれば不足な地域に持っていくことも可能だ。その状況は隣国にも伝わり国力の著しい増加は脅威として受け止められた。
ただ現時点でケンに敵対するのは得策ではなく、大半の国は友好を結ぶことで恩恵を得たいと考えていた。その結果、隣国から婚姻の申し入れが殺到したが、新婚であり妻が既に三人いることを理由に断り続けていた。
「ケン、赤ちゃんが出来たみたい!」
「本当!? よくやった!」
「実は私も」
「おおリルも良くやった、ぽんぽ様ありがとうございます」
アリスとリルは二人とも妊娠したため、全国行脚は終了して王都に留まることになった。
久しぶりに返ってきた王城の寝室でケンとカステラがベットに座って話し込んでいた。
「新婚なのにずっと外に出て行ってしまって、私はお飾りの妻なのでしょうか?」
「いやそれはそんなことは無くて、ただ国が大きく荒れたから、特に北部は街が壊滅的な被害で街に戻っても生活出来ないから、直接行った方が対応が早いかなと。防御施設の構築が最優先だと決まったから。それと目の前の困っている人を助けろ、と神様の教えで」
ケンはご立腹のカステラに一生懸命取り繕う。
「私は相手にされず、他の妻には子供を授かっていて…。私はどうでもいいのかと」
「いや、そんなことはない!」
ケンはカステラを抱きしめ、カステラはケンの胸にもたれ掛かって涙を流している、そして顔を上にあげてケンを見ながら語り掛けた。
「貴方、王族は血統を残す事が大事です。なので私にも子供が必要です。お二方はお相手が出来ないでしょうし、今日からはお願いします」
カステラは狐系獣人であるため全体的にスレンダーである、お尻は大きくも小さくもないが、プリッとしており形が良かった。ケンは大事な勤めであるという事で、夜はしばらくの間カステラと過ごすことになった。
王都に留まることになったため、ケンは王都内で出来ることを考えた。まずはポーションを増産出来るようにガラス細工用の工房を作った。また魔石を利用する魔道炉、窯、コンロも用意、素材となる珪砂や灰も大量にストックし、失業している人を率先して雇用し職人として育成する。
孤児院限定でカートリッジ(魔石を利用した電池のようなもの)を制作することにした。専用の筆が無いと回路が書けないため、筆は孤児院に供給した。これにより孤児院の収入が増え、運営費を賄うことが可能になった。
最終的に王城の庭に臨時の学舎兼工房が作成されて、最初の五人に対して教育が行われた。
基礎的な事を教えて教師として採用し、あとは教科書と繰り返し実技を行うことで対応した。魔道回路は簡単な数種類に限定、一つ一つの意味は不明でも全く同じ回路を描けば効果が発揮する。つまり正確に回路を丸写し出来れば魔道具を作成することは可能である。
照明、コンロ、窯や炉(ミスリル用、ミスリル以外用)、冷蔵庫、扇風機、などが主な製品である。魔道具の作成は学校で行い、成果物を国が買い上げ、製作者は成果物の内容や工数に応じて賃金が支払われた。一定数納品後は独立が認められるので、その際に専用の筆を授与される。納税額は固定費と販売した数に応じた累進課税となった。
回路を描くための筆はケンにしか制作出来なかったので、他の者でも作成出来るように筆を改良した。筆そのものも魔道具にして回路を書き込み、魔石をセットすることで同一の機能を有することが出来た。
最初の五人は国家魔道具講師と位置づけ、公務員として扱い高めの報酬が約束され、かつケンからの直接指導が行われる。いずれは独自に魔道具を作成してもらうことになる。なお水を生成する技術はこの五人にしか供与されず、国家機密として扱われる。
魔石の需要が増えてきたため魔石不足が発生しはじめていた。周辺国にも買取を行う旨を通達した。賠償金の代わりに物納での支払いも許可しているが、その対象物に魔石と厄介物(ミスリル原石)も含めることになった。
各国からすればゴミがお金になるので、運搬費用は多少掛かるものの金を手放すよりも良いと判断されて、安定して魔石やミスリル原石の調達が行えるようになった。
厄介物とされてきたミスリルも、加工することが可能な窯を産地と周辺の町に販売を開始した。今までゴミとなっていたミスリルは、鍛造すれば鉄以上の強度にすることも可能で、鋳造でも鍛造鉄と同じくらいの強度を持つため少ない手間で大量に作ることが可能であった。そのため価値が爆上がりしている。
その他にも王都内に複数の井戸を追加して水の供給を増やした。住民の数に比較すれば不足ではあるが周囲の住民の評価は高くなった。王城には水を出す魔道具を複数用意し、調理場で水が直ぐに多く使えるため、料理の幅が増える様になった。
メイドも掃除や洗濯に水を大量に使うが、流石にそのような用途に魔道具を使うのは勿体ないので、主に飲料用として利用している。冷たい水はとても需要があり生活水準が高くなった。
子供を授かるのは女性のおかげというか、今だと叩かれる記述かも知れないけど、
この世界ではそうなんだもん。俺の考えじゃないぞ。
売り上げに応じた累進課税は正確には無理だろうな。みんなちょろまかす。
とはいえ、儲かっているところは多く取らないとね。




