04-05 内政03
~敵兵や奴隷を送り届け、王女と結婚した後の頃~
戦火に見舞われた国民のために、被害が大きかった場所は無税または大幅減税となり、各国からの賠償金と不足分は国庫から財源を捻出した。ケンは国の運営については一旦前王妃とカステラ及び文官に任せた。
ライト、ウエライト方面の街や村は壊滅的な被害を受けているため、そこの修繕や支援を行う。国境沿いの街の防衛施設の復旧は最優先とのことであったので、その場所に向かった。
並行して国民救済も最優先にした。ポンポ様の教えの一つ、目の前の困っている人を救えを実践するため、ケン自身はアリスとリル、ソララ、護衛と一緒に主要な街道の整備を行いながら、立ち寄った村や街の困りごとを対応していった。
壁が壊れていれば壁を作り、水が不足していれば井戸を掘ったり近くの川から水を引いたり、建物が破壊されていたら石造りの家や蔵を作った。
最前線となる街には、立派な石壁で周囲を囲い、深い堀も用意して簡単には攻められないようにした。そしてその光景をまじかに見た兵士や国民は皆驚き、ケンの偉大さをより一層理解した。
宰相や大臣、文官たちが考えていた日程感とは大幅に異なり、物凄い速度で環境が整っていった。そのため被害が大きい地域だけではなく、被害が小さい地域にも足を運んだ。
海沿いの村では塩を採集しやすくするための設備を作り、人工的に港を作り漁業や交易が活性化していく。ケン達が通った場所、直した場所は名所となっていった。
他にもいくつかの政策を出していた。そのうちの一つは今まで装飾品程度にしか使われなかった魔石(命の石)を国が買い上げる事になった。ケン達は無償で困りごとを対応していたので、お礼として魔石を受け取ることも多かった。
また戦争で親や夫を亡くした人が多かったため、孤児院をつくり未亡人を多く雇った。こんなに早く国王になるとは思っていなかったので自分が想像していた孤児院の運営とは異なったが、それでも孤児院を作るのは良い事だと思っていた。ケンは孤児院の運営に直接携われない分、運営費を国庫とは別に稼ぎたいと思っていた。
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「アーカバネ出身の農家でライトでは鉱山で働いてました。一旦アーカバネに戻った後に今後どうするか決めたいです、両親の事も確認したいですし、それからでも開拓村に行くかどうかは決められますか?」
「はい大丈夫ですよ。少しだけお話を聞かせて下さい。ライトから戻ってきた奴隷の数が想定より少ないのですが、元居た場所には他に同郷の方はいませんでしたか?」
「五人ほど居ましたが落盤事故などで残ったのは私一人でした。最近追加来た十三人は一緒に帰ってきたので、それ以外の人のことはちょっと分からないです」
「承知しました。アーカバネは…明日出発の便がありますので今日はここで休んでください。この先の係員に宿泊を伝えてください。食事と着替えを貰って、テントの場所などを確認して下さい。アーカバネの役所に伝えて貰えれば開拓村への手配出来ますので直ぐに決断しなくて大丈夫です。はい、それではお気をつけて」
「ありがとうございます」
「今まで遠い土地でご苦労様でした。はい。では次の方」
ミギーナ城壁外に設置された奴隷解放受付所では、主にライト及びウエライトに囚われていた奴隷を一旦預かって、奴隷だった者たちの希望に沿った形で今後の対応を決めていた。多くの者は一旦故郷に帰りたいと申し出るが故郷に帰った後は自分の居場所がないことも少なくない。
奥さんは再婚していたり、両親が亡くなっていたり、実家は別の住民が住んでいたり、兄弟が家や土地を引き継いでいて自分の働く場所が無いなど、奴隷として連れていかれた人を除いた生活が始まっており居場所が無いのだ。
新しい環境、人間関係を作るには開拓村という選択は悪くない内容であった。他にも坑夫、魔物退治業は以前から需要があったが、ケンが国王になったことで輸送業、漁師、魚の加工業などの求人が増えていた。また既存の村であっても今回大幅に荒らされたことにより、農業や建築業など仕事は腐るほどあった。
奴隷から解放された者はお金が無いため三年間無税となり、かつ半年間の生活補助が支給された、開拓村の場合はその額が多くなる。開拓村にたどり着いた者達は過酷な環境を受け入れて生活するつもりであったが、想定とは違った状況に驚いていた。
「ここが開拓村? 街じゃなくて? というか開拓終わってない? 実は中継拠点で今日は泊るだけとか?」
立派な壁に囲まれた街を見て疑問が出る者が多かった。門の中には石で作られた三階建ての建物が多数建てられていた。立派な倉庫、耕された畑、井戸、道は石畳で整地され、伐採された木が山のように置かれている。
王都の近くの森の中に作られたこの街は、ケンの魔法で色々なものが用意されていた。後は日用品を用意するくらいで直ぐにでも生活できる環境であった。
「良く来た。村長のアビレだ、皆が来る前に一足早く準備を行っておった。といっても、この村はほぼ国王様がお創りになられた。僅か一週間で整備されて隣村に向かわれたのじゃ」
「えっどういう事?」
「国王の指示で工事してくれたってことじゃないの? 何千人居たら一週間で出来るんだよこれ」
「木を引っこ抜くところからやると思ってたから、国王様に感謝しかないな」
村長の話を聞いた開拓民は状況が正確には理解できなかった。言われた内容を理解するために、互いに口に出して考えを整理し、国王様が人海戦術で村を作っていると勘違いして納得しようとしていた。
「違うぞ、この村のほぼ全てを国王様がお一人で用意された。ワシは自分が見た光景を死ぬまで忘れる事は無いだろう。その物凄いお力は奇跡そのものじゃった。国王様から伝言を預かっておる、心して聞くように。
長い間過酷な生活ご苦労様でした。今後はこの村で少しでも快適な生活が出来ることを祈っている。とのことだ。国王のお心遣いと支援に感謝して生活するように」
「国王様」「ううう」「俺らのためにこんな」「生きてて良かった」「どうやって一人で作ったの? えっみんな今の話で分かったの? もうちょっと具体的に聞きたいんだけど」
「「「「「国王様ばんざーい」」」」」
開拓民は皆国王に感謝した。奴隷として辛い日々を送り、故郷にも居場所がなく、元通りの生活が送れるか心配していた。それがこんな好待遇で生活できるとは思っていなかったのだ。
「明日以降は農作業を指示していくからの。国王様から農業を効率良くする方法を教わっておる、これ通りにやれば直ぐに生活が出来るようになる。さて、食材と酒を用意してあるので手伝ってくれ。今日は宴じゃ!」
「「「「おおお!!! 国王様ばんざーい」」」」
開発が手つかずになっていた地域に複数の村を一気に数珠つなぎで用意した。今まで大きく迂回していた街への移動が直線ルートで結ばれた。途中で休憩出来る村が増え、王都から直接国の南部地域に向かうことが出来る。地域間の流通が活発になって経済が活性化した。
女性も戦争に行くよ。種族的に強い女性なら、種族的に弱い男性よりも活躍する。




