04-03 内政01
~五か国連合が敗戦し停戦交渉直後あたり、03-20 停戦で兵士や奴隷を送り出すちょい前の頃~
※誰が発言していたかは重要ではないので気にしないで
ニバン王城内の会議室に、宰相、財務大臣、軍務大臣、農務大臣、外務大臣とそれぞれの副官が集まり会議を行っていた。
「各国が保持していた金品や装備、糧食を回収したが今回の被害額には到底及ばない。今後被害地域には減税や施しなどを予定しており、財政面は非常に厳しい状況にある。そこを踏まえた上で節約した予算を組んで欲しい」
財務大臣の発言に対して、軍務大臣が反論する。
「財政も厳しいが軍は崩壊している。侵略された砦や町は防御施設を破壊され、再度侵攻があれば直ぐにまた占領破壊されてしまう。兵士も足りないし、装備も足りない、軍馬だって足りない、糧食の蓄えも無くなった。そんなものは直ぐに勝手に生まれて来ない。時間がかかるからこそ予算を割いておくべきである」
「食糧不足だって深刻な問題である。多くの街や村が破壊され、農地も被害を受けている。多くの民が難民となり、農地は放棄され、収穫出来ていない農作物も多かった。食べ物が無いのは死活問題である。周辺国から輸入をしていただかないと戦よりも先に人が死にます」
農政大臣は飢饉による死者を危惧しており、早急な対応が必要だと懇願した。その後外務大臣が提案を行う。
「五か国の賠償金支払いの品に穀物などの食料品も候補に入れよう。レートを高めに設定すれば多少は集まるのではないか。また停止していた砂糖の販売を再開し、食料との交換に限定すれば食料が集まるのではないか?」
「それじゃ遅い! 賠償金の支払いは遅ければ一年後だ。明日食べる食料がないんだ! イーチバンに避難した難民が戻ってくればより一層食べさせるものが無い。カマータやオーモリ周辺は難民が集中したせいで飢饉が起きている。まずはそこに集中して食料を配布していただきたい」
農政大臣が厳しく反論する。
「軍の備蓄庫から糧食を配布出来ないか?」
「無理だ。どこになにがどれくらいあるのかも分からない。となればどれだけ出せるのかも分からない」
「分からなくてもいい! 全部出せ! 国民に死ねと言っているのか!」
激しい口論が行われて、軍が保持している糧食を国民に配布する方向で話はまとまった。
「ただ、効率良く配布出来ないぞ、どこに何があるか分からないし、どこにどれだけ運べばいいのかもわからん。運搬にもコストが掛かるからな。国民にも手伝ってもらおう」
軍務大臣は放出にしぶしぶ了承したが、運搬までを担うつもりはなかった。
「イーチバンへの支払いも必要だ。派兵のお礼と難民を数多く受け入れている。あちらでも飢饉に近い状況だ。難民の数は百万人を大きく超えているらしい。それにともない砂糖の作付面積を大きく減らしてジャガイモなるものを増やしているらしい」
「ジャガイモの話は聞いたことがある。カマータにも一部入っており、直ぐに育って腹持ちも良く、面積当たりの収穫量も高いらしい。カマータに詳細を調べるように命じたところだ。一ヵ月もすれば状況は分かるだろう」
「戦争の影響で砂糖を高く買えるところも無いだろうし、国境の近くに集積されていた砂糖は各国に略奪されてしまったので今更買う気も無いだろう。売る砂糖も無いだろうし、しばらくは砂糖貿易の収入は無いと考えた方が良い」
「砂糖以外に高利益が出るようなものは無いし、他国が態々うちから買いたいものなんてあるのか?」
「残していった鎧や武器を売るのはどうか?」
「それはならん! 相手の軍備が整ってしまう! 鎧や武器作成には多大な工数と費用が掛かる。再度軍備が整えば再侵攻も考えられる。こっちは防御態勢も整っていないのに! 論外だ論外」
「じゃあどうするんだ!」
「ポーションなら売れるのでは?」
「「「反対!!」」」
「ポーションは重要な戦略物資である。怪我をしてもすぐに治ってしまう物が敵に利用されたら、それこそ終わりだぞ」
「ポーションは有効期限があるらしい。一年とのことだが実際には三年程持つそうだ。そんなポーションを一個大金貨十枚くらいで個数制限を設けて売れば、戦争には大きく影響せずかつお金が入る。王族が自身の怪我の治療に使うためにも買うかも知れん」
財務大臣の発言に皆頭の中で試算をし始めた。
「そんな高額では買わんだろうが、金額に関係なく、売るべきではない」
反対多数でポーションの国外販売は却下された。
ケンが会議に参加する旨の先触れがあった後、会議室にケン達が入室してきた。皆深々と頭を下げた後、心の中で色々と考えていた。
「(あれがケン様か。若いな。とても強者には見えないけど)」
「(ケン様、ありがとうございます)」
「(毛が少な! 少な!)」
「(本当に傷を治したり、水を出したり出来るんだろうか)」
概要を説明を受け、ケンは方針を指示する。
「ジャガイモなら種芋があるから早速用意しよう。これがジャガイモね」
空間収納からジャガイモを出して見せる。
「え?」「は?」「どこから出したの?」
戸惑っているが、そこはあえて無視して説明を続ける。
「で、これが作るために必要なことが書いてある資料ね」
やはり、何も無いところから小さな冊子が出てくる。
「え?」「は?」「手探りで始めないとと思ってたのに」
「資料が一冊だけだと各地に出回らないから。転写。紙があればいくらでも複製出来るんだけど紙手配できない? 肥料についてもイーチバンで実際に試した結果に基づいて作っているから成功すると思うよ」
「え?」「は?」「紙に一瞬で文字が書かれたぞ」
「そっ早急に紙を準備します」
「早速明日、王都の近くの森を畑に変えたいと思うんだけど、どこか良い場所ある? それと直ぐに植えるから農業に詳しい方に立ち合いをお願い。その方を指導者として全国に広めて」
「明日ですか!」
関係者でひそひそとあわただしく内容を詰める。
「北東の森ならいけるんじゃないか」
「専門家も私はじめ数人参加できます」
「伐採してから直ぐに畑に出来るのか?」
「森の手前を耕すんじゃないのか?」
「そうだな森の手前を耕すだけなら何とかなるか」
「兵士も同行させるぞ。護衛と力仕事が必要だろ」
「はい。分かりました。大丈夫です。明日お願いします」
「次に輸送の話だっけ? 少なくてもカマータまでの道は整備してあるから、馬車で運べば結構早く着くと思うよ」
「あのーちょっとよろしいでしょうか。一応道を整備したと兵士からも報告があったのですが、本当に整備出来たんでしょうか? 一瞬で道が良くなったといわれてもにわかに信じがたいのですが」
軍務大臣が申し訳なさそうに質問をした。
「うーん。土。石」
ケンは魔法を唱えて、部屋の端に土を出して、その上にさらに大き目の石を出した。
「え?」「は?」「なんで、どこから、いきなり、はぁ?」
皆突然のことに混乱する。
「見ての通りだよ。土や石を一瞬で出せるし消せる。とりあえず通行するのに不便だなと思ったところだけ整備したけど。せっかくだからこれから兵士や奴隷を返還するときはそこまでの道は整備しとくから。そっちに物資を運ぶときは進みやすくなるはず。それと触ってみたら?」
皆興味があったこともあり、うながされたので会議室の端に移動して土や石を触ってみた。
「本当に石だ!」「凄い土だ!」「ありえない!」「神様?」
程度の差はあれどケンの偉大さを感じていた。




