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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
4章 ニバン国国王

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04-01 宿屋01

~一ヵ月前~

 宿屋はイーチバンに向かう避難民が食事だけを目的に立ち寄るため、大賑わいしている。供給を最優先するため、料理も単純なシチューとナンだけに限定していた。食堂には入りきらないため屋外でも同様のものを提供している、結果ものすごい数の皿や器が洗い物として積まれていた。


「ケン達大丈夫かなあ」

 サラは皿洗いをしながらひとり(つぶや)いた。ただ皿洗いの手は止めない。そんなとき食堂からケンの噂話が耳に入ってくる。


「聞いたか? ケンがお姫様を助けたんだってよ」


「凄いな。流石ケンだな」


「すみません! その話詳しく教えて下さい!」

 サラは洗っていた食器を放り出して噂話をし始めた人に詰め寄った。サラの声も大きかったせいもあるが、食堂のお客様の中に複数人ケンを知っている者もいた。皆興味がわいたためその噂話をした男の話を聞こうと集まりだした。


「おう。王都が陥落して」


「「えええ!」」「先にそっちだろ!」「もうだめだ!」「イーチバンに行かなきゃ」

「黙って!! 話を続けて!!」

 王都が陥落したと聞いて一斉に騒ぎ出すが、サラが物凄い大声で叫んだことで周りが驚いて騒ぎが収まった。男が話を再開する。ちなみに王都が陥落しそうだから逃げてきたが正しい内容だが伝聞される都度話が変わっていた。


「王都が陥落して王女が避難することになったんだ護衛騎兵二十騎とともに。ところが運悪く略奪をしている敵に見つかたんだ。その数なんと騎兵百騎だ!」


「ええ!」「大丈夫だったのか?」


「多勢に無勢、一騎また一騎と倒されていった。そしてそこにケン、アリス、ソララ、リルの四人がさっそうと現れて、一瞬で敵の騎兵を全て倒したんだとさ」


「本当か?」「凄いな」「なあケンは強者なのか?」


「ケン達は無事なのですか?」


「誰一人怪我もしなかった圧勝だったそうだ」

 サラの問いに男が答えた。


「良かった…」


「ところでケンって有名なのか」


「ケンは凄いんだから! この宿を作ったのもケンなの! そして奴隷だった私を助けてくれたのも! スラムの孤児たちを引き取ってくれたのも! 大きな畑や色んな設備! 水や何から何まで何でもできちゃうの魔道具だってつくれるの! 怪我だって直ぐに治してくれる」

 サラはケンの凄さ、すばらしさを理解してほしくて、仕事を放りだしたままケンに対する思いを話し続けた。



~二週間前~

 王都が陥落してニバン国が滅亡し、ニバン国の領土は全て敵国の支配下に置かれた旨の通達が大きな街や砦に通達された。そしてその情報は住民にも伝わった。既に遠くの街から逃げてきた人々は、お金や資産も家もないため、敵国の兵士が来たら奴隷にされてしまうのではないかと噂になっていた。

 そしてその話を信じた多くの人達はイーチバンに向けて出立した。カマータを経由してヨコハに向かうため、この地域に人が集中しており食料が不足して、治安も悪化している。そのため宿屋の営業を中止し、入り口の門も閉鎖している。


 夜中にカラン、カラン、カランと畑の方から継続的に音が聞こえた。畑の見回りをしていたガイが音のした方に視線を向けると周囲が明るく照らされており、複数の人影が見えた。


「お前等何をしている!」

 ガイが大きな声で問いかけるが、既に人影は森の中に消えていった。被害はなかったが、最近畑を狙おうとするものが増えている。ガイは灯りがついているゴーレムの元まで移動し灯りを消した。数分間休止モードに入るのでその場を離れる。

 防犯ゴーレムは動くものに反応して音を出して周囲を照らす機能と攻撃受けると自動で刺激物を散布する機能が備わっていた。当然これもケンが作成設置したものだ。


「治安が悪くなったなあ」

 ガイは一人呟いた。多くの難民がこの地域に流れており、お金もなく仕事も無いため、森の中で採集するか、狩りをするか、人の物を奪うか。

 最後の奪うが多くなってきているとガイは感じていた。


「はぁ。ケンが居てくれたらなあ。畑の周囲も柵だけじゃなくて高めの塀を建ててもらうんだけどなあ」



 翌朝、常連客が宿屋に訪れた。


「凄い情報がある! 入れてくれ!」

 特別に食堂へ通し、互いに情報共有を行うつもりであった。


「ケンの噂が入ってきたぞ」


「本当!」「うわー」「教えて!」

 宿屋の従業員達は、皆恩人であるケン達の無事を知りたかった。


「イーチバンに向かっていた十五万の敵にケン率いる三千の兵との戦いがあった」


「ええー」「無理だよー」「うーん十倍以上?」「十五万っていくつ?」

 小さな子の中には大きな数字を理解出来ない者もいたが、物凄い格差があることは伝わった。ちなみに敵の数が増えているのは、話していく間に尾ひれがついているからである。


「どうなったんですか!?」

 サラが続きを催促する。常連客は待ってましたと続きを話し出す。


「ケンが勝った」


「「「うぉおーー」」」「「「やったー」」」

 皆ケンの勝利の情報に歓喜した。


「ケン達は無事なんですか?」

 サラが催促すると、常連客はドヤ顔で話しだした。


「こちらの被害はゼロ。信じられるか被害なしで十五万の大軍を打ち破ったんだぜ」


「「「うそー」」」「「「すげー」」」「「「さすがケン」」」「やっぱり神様なんじゃないか」


「良かった」

 サラは安堵して涙を流し、ガイはそっとサラを抱きしめた。サラはガイの胸を借りて泣いていた。サラはケンの凄さを信じてはいたがそれでも心配で心配で仕方がなかった。これはサラが待ち望んでいた情報であった。


「ということは、イーチバンへの侵攻は無くなったということ?」

 エドは常連客に確認した。


「ああ。敵は降伏して王都に向かっている。という話だった。いい話だろ。終戦になるだろうとも言われてたな」


「「「終わったー」」」「「「勝ったー」」」「「また宿屋再開できるよね?」」


「ケーン、ケーン」


「「「「「「「ケーン、ケーン」」」」」」」

 皆戦争が終わったことを喜び、ケンを称えるために名前を連呼するのであった。

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