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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
3章 ニバン王国紛争

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03-13 五か国連合

 王都の東に五か国連合軍が勢ぞろいし、十万強の兵と補給物資運搬要員として五千の奴隷(元ニバン国の住民)がイーチバンに向けて出陣した。イーチバンの総兵力は約五万と見積もられており、五か国連合側は勝利を疑っていなかった。

 兵力の分散は各個撃破の恐れがあるため全軍がまとまって移動する。その分進軍速度が遅くなり、途中途中休憩をはさむ都度、隊列は長くなっていった。野営するにしても大軍であるため、各陣営がかなり近い間隔となり、小さなごぜりあいは頻繁に発生している。そのような中、朝になるとレフートの物資の一部が無くなっている事に気が付いた。


 レフート側は大騒ぎであるが、すぐ隣のオオキナウエーノの方では何故か物資が増えていた。問題がレフート側で出ている事は承知していたがあえて気が付かないフリをしてそのまま出立する。

 翌日、今度はウエライトとオオキナウエーノの物資が減ってヒダリオークの物資が増えていた。

 ヒダリオークは増えたことは周囲に伝えず、オオキナウエーノはレフートが物資を奪い返したと思い込みレフート側に抗議するが、レフートは被害者であり、難癖をつけているのはオオキナウエーノだと抗議した。互いにギスギスした空気の中、ニバン国の物資集積所で食料や薬、矢などの物資を補給する。

 該当の物資集積所は既にウエライトの所有物となっていたため、補給物資は金品を支払う必要があった。これは事前の合意事項であったが、他の四国からすれば元々自分の国の物でもないくせにと、面白くなく不満が募っていた。


 五か国連合軍は王都から七日経過し、シブタニを過ぎたあたりで野営を行っていた。夜間の見張りを増やすことで物資が無くなる事象は減っていたが、その分夜間の休息時間が短くなる人が増えるため、不満は大きくなっていった。


「眠い」


「愚痴を言うなよ ん? 誰か近づいてないか」

 ヒダリオークの見張りが愚痴を言いながら周囲を警戒していた。そして近づいてくる四人のレフート兵を発見した。


「止まれ! 怪しいやつめ!」

 見張りが大声で制止したため、他の護衛が集まり周囲の兵も何事かと寝ぼけながら聞き耳を立てたり、そのまま眠りなおしたりした。

 レフート兵に近づいたヒダリオーク兵の頭や顔の半分が切断されて、地面にゴトゴトと鈍い音を立てて落ちた。それを見ていた他の兵士は一瞬何が起きたか分からないままあっけにとられていたが、あっけにとられたまま、頭や顔が同様にボタボタと地面に落ちて行った。


「うわああ! 敵襲! 敵襲だ! テキ…」

 我に返った見張りが大声で周囲の兵を起こすも、大きな口を開けたまま首がぼとりと落ちた。そして周囲のテントや兵士に火の矢が飛んでいき、混乱が広がっていく。騒ぎが大きくなるにつれて、他の国の兵士も起きてきて、周囲の警戒を始める。そして火の奔流ともいえるような業火がレフートの兵を襲った。まるで火炎放射器のような炎が十数m先まで届いて、一気に何人もの兵やテントなどを燃やしていく。


「火がああ! 熱い!」「燃えてるぞ消せ!」「いやああぁ!」

 激しい炎で焼かれていくヒダリオークの兵士。侵入してきた四人のレフート兵を倒すという目的も見失い、火から逃げ出そうとするものが多く出始めた。その間隙をついてレフート兵はその場を後にした。レフート兵はケンとアリス、リル、ソララであった。


 火も消し終わり朝を迎えたが、ヒダリオークとレフートは一触即発の状況でにらみ合い、首脳陣は互いに相手を罵っていた。レフートには思い当たる節などなく一方的な言いがかりであっため、当然謝罪などするはずもない。ヒダリオークは三百の兵を失う被害を受けたため、簡単には引き下がらなかった。


「お互いに落ち着け! これはお互いの関係を悪くさせようという策略だ」

 オオキナウエーノや他の二国が仲裁に入り一旦お互いに矛を収めたが、しこりは残り続けた。その後は襲撃者の情報共有の場となった。


「四人? たった四人で襲撃を仕掛けてきたと? それで三百の兵を失った? あり得ない!」


「嘘もいい加減にしろ! 正確な情報を共有して貰わないと」


「火が勝手に飛んできたって何だ! おかしいだろ。部下の管理も出来ないのか!」


「何もしていないのに、首がちょんぎれた? 夢でも見てたんじゃないのか?」

 荒唐無稽(こうとうむけい)な話であるため、当初は他の国は信じようとしなかったが、他の国の兵士の中にその光景を見たものがいたため、一概に否定することが出来なくなった。しかし常識では通じない状況であるため、納得は出来なかった。


「聞いたか」


「聞いたよ。十万人の兵士がいるところに四人で攻めて来るか?」


「攻める訳ないだろ! そんなの頭がおかしいに決まっている」


「それって人間なのかな?」


「どういう意味だよ」


「殺されたニバンのお化けとか?」


「そんな訳ないだろ! あり得ない!」


「いやだって、何もないところから火が発生して、周囲を燃やすか? 三百人も死ぬとかあり得ない」


「そういえば先日、顔や頭が切断された死体が見つかったって。しかも死体が信じられないほど冷たかったんだって」

 兵士たちの間で噂が噂を呼び、皆理解できない状況について怯えていた。昼の移動も終わり、再び野営の時間となった。

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