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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
3章 ニバン王国紛争

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03-08 王女襲撃

 馬車はかなり早い速度で街道を走っていた。街道には凹凸があり、全速力で走れば馬車が壊れる可能性があるため、どうしても騎兵よりも遅い速度となってしまう。馬車と馬車を護衛するための騎馬が十騎いたが、追手(おって)の騎兵による弓の攻撃で、一騎また一騎と倒されていく。

 護衛の四騎が街道から外れ、一旦外に膨らんだ後、また街道に向けて戻ってくる。後を追ってくる先頭の騎兵に横から襲い掛かった。

 それにより追撃の速度が若干遅くなってわずかながら距離を稼げたが、護衛の兵は倒されて、またじわじわと距離を詰めてきている。

 馬車の屋根の上には二人の兵士が乗り、後方に向かって矢で攻撃を行っていたが、その二人も矢で重傷を負い後方への攻撃手段は無くなっていた。


 ニバン国王女を乗せた馬車はカマータに向けて移動している最中に襲撃を受けた。王都周辺はオオキナウエーノ領土になる予定だ、それ以外の国は領土の分割が完了する前に略奪や奴隷集めに勤しんでいた。

 王都を力づくで攻撃すれば被害が多くなるため、それよりも美味しいところを先に頂こうという目論見であった。


 王女は運悪くその略奪軍に見つてしまった。現在王女側は騎兵四騎、馬車一台の後をライトの騎兵隊二十八騎が追っている。


「あれ何? 馬車が追われているな」


「ケン殿、あれは味方の兵士です。その後ろの騎兵はどこか分からないですが敵だと思われます!」


「このままだと衝突するから、馬車を道の端に寄せよう、みんな戦闘用意!」

 ケン達一行は道案内兼護衛兼王都援軍でもあるオーモリ守備隊のシュビッツ一行と王都に向かって移動している最中であった。援軍本隊の進軍速度に合わせると遅くなってしまうため、ケン達四名とシュビッツ隊八名は先行していた。

 シュビッツの分析結果から、ケン達は道の端によって馬車が通れるスペースを作った。

 シュビッツ達一行は、ニーヨンロクの紋章が掛かれた旗を高く掲げ、ケン達の馬車の前で槍を構えていた。ケン達も馬車を降りるとシュビッツ達よりも前に出た。街道の端を逃げてくる馬車に向かって走り出した、ケンの後をアリス、リル、ソララが追い、シュビッツ達も慌ててそのあとを着いていく。


「ケン殿! お待ちください! 危険です! 貴方を失う訳にはいかないのです! お待ちください!」

 シュビッツは引き留めようするが、ケン達は構わず前に走っていく。


 馬車と護衛は、前方の馬車と人は味方だと認識したが、十数人の歩兵では対処が厳しいと思いつつも、少しでも時間を稼いでくれることを祈って、ケン達の横を通過した。

 護衛達は皆心の中では済まないと感じていたが、王女を守り、援軍要請のためには仕方がない犠牲だと判断し、敵を擦り付けて走り去るしかなかった。


 ライト側の騎兵から矢による攻撃を受けるが、ケンやアリスは持っている武器でそれを払い落とした。先頭を走っていた二騎が街道の真ん中からケン達がいる端に進路を変更し、槍を構えて突っ込んできた。


「氷壁」

 ケンが魔法を詠唱し、先端の尖った氷の柱が複数地面から生える。街道の道幅全体を氷の柱で埋め尽くしたため、先頭の二騎とその直ぐ後ろの四騎は避けきれず、氷の柱に貫かれた。

 残りの騎兵は手綱を激しく引いたため、馬はヒヒーンと大きな鳴き声を出し前足を大きく上げてから止まった。その止まった瞬間狙い、ケンとリルとソララは連弩で攻撃を加える。


「うぉお何だこれは!」


「柱が急に地面から生えたぞ!」


「ぐはっ」

 驚き戸惑っている間に馬や人に矢が刺さっていく。


「真空切り」

 アリスが剣を横に振るうと目の前の氷の柱を切り裂いて馬の前脚が切り落とされ、一人が落馬した。矢を打ち尽くしたリルは再度矢を装填して、矢を打ち始める。ケンは空間収納から投擲用の短槍を多数取り出して地面に突き刺した。ソララは連弩を放り出して、投擲用の短槍を引き抜いては敵に向かって投げつける。投げられた槍は鎧を貫通して、穂先が背中側から突き出たり、当たった衝撃で馬から転げ落ちることもあった。

 あっという間に敵の数が十騎までに減り、慌てて逃げ出そうとするがすべての馬に矢が刺さっており、全力で走れないようになっていた。兵士は馬から降りて逃げ出そうとするも、ケンやリルの魔法で攻撃を受けて絶命していく。


 王女たち一行はケン達に敵を擦り付けたが、馬の鳴き声や敵の動揺した声に気が付いた。振り返ると敵があっという間に殲滅されることに驚いていた。既に馬が限界であったため大半の馬はその場で息を引き取ってしまった。残った馬も疲労困憊であり、それ以上進むことも出来ないためケン達の方まで戻ってきた。


「ご助力感謝する! 助かった」

 王女の護衛の一人が感謝を告げた。そして他の護衛は馬車の上で苦しんでいる兵士の手当てをしようとしていた。刺さった矢をそのまま引くぬか、切込みを入れてから引き抜くかの二択に、ナイフで皮膚を切り裂き矢じりを回収するという案が選ばれた。


「治療手伝います」

 馬車に近づき、馬車によじ登った瞬間、一瞬護衛の兵士は腰にあった剣の(つか)に手が伸びたが、少し離れた場所からアリスが治癒魔法を唱えると傷が一瞬で塞がり、苦しんでいた兵士の顔が安らかな顔つきに変わったことで、剣の柄から手を離した。


「怪我治った!? どうなっているんだ?」


「ありがとうございます!」


「あの地面にある水色の物体はなんだ! さっきまでなかったのに…」

 護衛は命の危機が去ったことから、思っていた疑問が次々と口からこぼれ出ていた。


「治癒魔法です。私たちは怪我を治せます。馬にも念のため治癒魔法を唱えておきますね」

 ケンとアリスは馬車を牽いていた馬や騎兵の馬、怪我した敵の馬にも治癒魔法を唱えていった。


「これで馬の数が増えたね。王都まで早く到着出来そうだ」


「お待ちください。助けていただいた身で申し訳ございませんが、その馬を譲っていただけませんか。お礼はお支払い致します」

 ケンは敵から奪った馬を使って王都への移動に利用しようと考えたが、王女を護衛していた兵士の責任者らしき狼系獣人の男ガスペンから、馬を譲って欲しいとの交渉を持ち掛けられた。


「こちらも馬が必要なんです。これから王都に行って戦争に協力する予定なんで」


「ケン殿は超重要人物なんです。こちらがニーヨンロク様から王への書状となります」

 ケンの返答にシュビッツが更に被せて重要性を伝える。


「いや、こちらも重要な任務を帯びている…」


「待ってください!」

 食い下がるガスペンの発言を制止し、馬車から若い狐系獣人女性が出てきた。

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