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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
1章 王都編

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01-06 思い

「おい。交代の時間だ」

「…。あっああ了解。ご苦労様」

 ダンダがケンを軽くゆする。城壁の上で交代で睡眠をとっていた。ケンは背伸びをしながら周囲を見渡すと、同様に見張りをしている者、寝ている者が見える。夜になりゴブリン達は森の中に下がり攻撃が止んでいた。生き物であるから当然睡眠も必要である。


「しかし、ついてないよな俺ら。これからどうなるんだろぅ」

「そうでも無いだろ。生きてるし、この調子なら数日で王都に帰れるさ。第六砦は順調らしいしじきに助けがくるよ」

 アーロの弱音にケンが楽観的に応えた。ヒソヒソと周囲に迷惑にならないように小声で話しながら砦の外に目をやったり、城壁の上を見渡したりしていた。


「でもさあ。てっきりケンはりアリスと結婚するんだと思ってたんだよなぁ。それが一人で開拓村に行くとかさぁ」

「ええ? 無いよ無い無い。あんな筋肉大好き馬鹿。それに妹みたいなもんだしなぁ」

「どう見てもお前が弟だろうがよ」

「あいつの方が後から孤児院に来たんだから、あいつは妹だ」

 ケンにとってアリスは、いや孤児院の子供たちは皆兄弟だし、シスター達は母親だと思っていた。確かにアリスは可愛いが家族という思いがあったため、一人の女性として意識はしていなかった。どちらかといえば、五歳年上のルイーサには憧れを抱いていた。


「勿体ないよなぁ。空間収納あるし、魔道具だって、錬金術だって、魔法だって、何でもできるじゃん。どれかに絞った方が良いと思うけど王都で成り上がる事も出来るんじゃないの?」

「いや、王都じゃ俺の夢は叶えられないよ。成功するため、開拓村で一山当てるんだ」

 ケンには幾つかの夢があった。自身で孤児院を経営する事、週一で食用肉を食べる事、大金持ちになる事(お金がないと孤児院を運営出来ないし、食用肉も買えない)、空間収納の魔道具を作る事(お金持ちになるために)、サンフラワー(お世話になった宗教の教派)の名前を世界に広める事、偉大な魔法使いになる事(名を広めるために)、初代国王の様に全属性を極める事、誰も成しえていない大陸統一する事などだ。


 ケンは初代国王を崇拝していた。荒廃した土地で国を興し、食料の安定供給を可能にした米の発見と肥料の改善による三圃(さんぽ)制から九圃制と呼ばれる新農法の確立、複数の国を併合、孤児院を作り、平民への教育、小学校は無償で昼ご飯も無償提供、中学校および高等学校の奨学金制度、職業軍人制度を作り平民の戦争参加率低下、貴族の軍事力を制限(内戦の頻度低下)、世襲貴族の爵位継承は一名のみで褒章として一代貴族制度の設立(貴族が必要以上に増えない)、医術の発展、美味しい食事、芸術の発展、様々な物を発明など。

 孤児院で生きる機会を与えられたのは初代国王のおかげであり、運営していたサンフラワーのおかげ。他の国では孤児は平民よりも下、平民は貴族と比べて地位が低い。王国では孤児が貴族の友人を持つことも出来る。このような国を作った初代国王のようになりたい、出来ればそれ以上になりたいと考えていた。


「王都じゃ新規に店を出すことも出来ない、誰かの下に何十年もつくことになる。魔力の回復だって遅くなるし、それじゃ自身の能力を上げられない。今成功している人は人口が少なく、魔素(まそ)が多い所で活躍していた人が多い。

 開拓村では緑に囲まれて魔素(まそ)が多く魔力の回復が早いから自分の能力を上げられるし、規制が少ないから商売もしやすいし、それに第一人者が病気で倒れた時にそれを補佐出来る人が居たら安心だろ? 俺こそ開拓村で重宝される存在になれる」

「孤児院を経営したければ教会に入るのは駄目なのか?」

「駄目駄目。金が儲からないし、王都じゃ魔力の回復が遅いから能力が上がらないし、儲かっても全部上の者に持ってかれちゃうだろ」

 この世界では魔法を使えば使うだけ熟練度が上がると信じられている。実際に魔法を良く使えば、その魔法の威力や効果があがる。料理をたくさん作れば料理の腕前が上がる。錬金術を使えば錬金術の技術が上がる、当たり前の話だ。不思議なのは生産に従事している人や芸人でも経験を積むと体が丈夫になったりする。一生懸命頑張ることで神が恩恵を与えているのだろうと言われていた。


 どれもこれも鍛えようとすると器用貧乏になる可能性があり、成功するなら伸ばす能力は限定した方が良いと言われている。一般的にはその通りではあるが、初代国王は様々分野で活躍しており、自分も同じように活躍したいと考えていた。ケンは自分が国を興して王様になるなんて妄想も嫌いではなかった。


 王都には十万人が住んでいるため魔力の回復が森と比較して遅い。これは人類が何千年もの経験で得た知識である。今度向かう開拓村は近くに緑が多く、住人も少ないため魔力の回復も見込めるし、近くに鉱石が出ると思われる山もある。

 この大陸の南西に位置する大きな島、大きな島と言っても現在の大陸の四分の一位はあり、現在の王国とほぼ同程度の大きさである。しかも開発しているのはこの国だけ。十分発展の可能性がある、ここで成功すれば大金持ちになれると信じている。既に先行で複数の開拓村、街が作られており、成功事例があるのも期待出来る要因であった。


 ケンは中学、高等学校ともに奨学金で進学したが、騎士、文官、地方の守備隊、(きこり)、開拓民のいずれかになり、五年以上勤務または死亡すれば学費の返済は不要である。また開拓民は五年間税金無し、村の発展度が低い場合は税金無償期間の延長もあり得る。開拓村は危険も伴うが、自分の望み、野心のためにはまたとないチャンスだと思っていた。


「今回の原因はファームなのかな?」

「ああファームだと思うよ。純粋な増加にしては数が違い過ぎる」

 アーロの問いにケンが応える。歴史やモンスターの生態を学んだものであれば、だいたい同じ原因にたどり着くだろう。逆に言えば、自分の知らない原因は思いつかないものだ。


「ファームだとしたら、遺物が発見できるかもな。行きたいなぁ」

「危険だけど夢があるよなぁ。でも大抵壊れているし、動いたとしても手が吹き飛ぶかもしれないぞ」

「だよねぇ。でも動く遺物を発見したらそれだけで億万長者だし、行ってみたいな」

「でもさあ。本当に古代文明なんてあったのかね? いまいち信じられないんだよね」

「あったよ絶対あった。世界地図が発見されて、その地図通りに新天地が見つかったんだし、というか無かったら遺物やファームの説明が出来ないしな」

 ケンはファームに行きたいし、遺物を見つけて金持ちになりたい。古代文明も信じている。平民が夢見るシチュエーションの一つは遺物を発見して大金持ちだ。ありふれた夢ではあるが、そのように考えている者は数多くいた。

言い訳タイム。

孤児院の経営と覇業は矛盾しているのでは?

矛盾していても良いんだよ、だってケンがそう望んでいるのだから。

初代国王のように自分も国を作りたい、みたいだし。

単純に力で成り上がる、王様に成りたい、と思っているんだから。

そもそも戦争があるから孤児が増える一因で、戦争そのものを無くそうと思っているのかも。

覇業を後ろめたく感じていて、自然とその発想に繋がったのかも知れないよ、知らんけど。

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