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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-43 商売19

「どうするのこれ?」

 リルは大量に持ち帰ったミスリル鉱石の山を見ながら、ケンに問いかけた。


「勿体なくて、あのまま置いといて道に埋められたらと思うとつい…」


「一回五百キロ使っても、二万八千回だよ。毎日使っても七十六年かかるんだけど」


「高炉を増やす? 一旦インゴットにだけしとく?」


「いいけど、インゴットから再加工するときには再度溶かす必要があるから燃料費は余計にかかるよ。分かるよね?」


「…そうだね。インゴットのまま販売出来れば良いんだけどねえ。俺ら以外加工出来ないし、ミスリル加工出来る魔力を流せる魔道高炉を売りに出したら、ミスリルの価値上がっちゃうから無料で拾えなくなるしな。価値が無ければ売れないし。かと言って今ある鉱石全部拾うってのも現実的じゃないしな」

 持ってきたミスリル鉱石が多すぎて消費が追いつかなかった。ケンは価値のある物が廃棄されていて、好きなだけ持ってきて良い、しかも持ち運ぶ手段があった、持ち帰らない方がおかしいと思っていた。

 しばらくは、ケンもリル、ダル、シュンレイ、ザンギと一緒に鍛冶作業に専念することにした。ミスリルは鋳造でも鍛造で鍛えた鉄と同等の強度を持つことが出来る。鍛造することも可能だが時間が掛かりすぎてしまうため、自分たちの武器だけは鍛造で作成し、それ以外の武器や防具は鋳造で溶かしたミスリルを鋳型に入れて大量に生産していく。

 鋳造で作成すると決めたので、大型炉を増設し大量の剣、槍、鎧、盾を量産することでミスリル鉱石の消費を若干ではあるが増やすことが出来た。


 ミスリル鉱石は石英と鉛成分も含まれている。それぞれの在庫も増えるがそれ自体はメリットがあまりなかった。石英はガラスの材料ではあるが、ケンが珪砂を魔力から生成できるのでありがたみがないし、鉛も毒性が知られており、用途は限られている。一般的には屋根の素材や物をつなぎとめる半田として使われるケースが多かった。鉛は価格がそれほど高くないため、わざわざ時間を作ってまで売り先を探していない。


 そんなある日、ケンは懇意にしている砂糖商人から噂話を聞くことになった。


「ケン。また何かやったな? 噂になっているぞ」

 砂糖商人はにやにやとした顔つきで話しかけた。


「なにがだ?」


「お前が山を消したって。それと木を産み出したとも聞いたぞ」


「あー言いたいことは分かった。誇張されているな。廃棄されている厄介者(ミスリル鉱石)えーとゴミの石を持って帰ったんだ。ほら、宿屋の? 拡張に使おうと思って」


「ここ石をいっぱい使っているからな。でも山が消えたってなっているぞ。あと木を産み出したって、荷車で運べる以上の量を炭焼きに売ったって」


「大げさだなあ。噂話なんてそんなもんだろ。同行者に気が付かなかっただけだろ、毛が無いのは俺くらいで普通に毛がある人が荷車を押していても疑問に思わないだろ。見た目が目立つからな」

 ケンは世界に名前を轟かせたいが、それが原因で厄介事に巻き込まれたくもなかった。お金も大分稼げてきたし、魔力量も増えて、魔法の熟練度も高くなって、体も固く力も強くなってきている。もうしばらくすれば強者と言えるような存在になると見込んでいた。そうなった暁にはもう全力で行こうと思っている。

 ちなみに、ケンにまつわる噂は数えきれないほどある。強者を倒したつまり強者だ、不当に高値だった宿屋の価格を引き下げた、砦を三日で作った、森を消した、大地を創造した、石を産み出した、魔道具唯一の制作者だ、スラムを健全化させた、孤児を引き取って仕事を与えているそのために宿屋を開業した、金を産み出している、神または神の使いではないか、国境に新たな街をつくっているなど、他にも荒唐無稽な話も含めて、面白おかしく脚色されている話もあり、ケンが思っている以上に既に名前が売れている。噂話は庶民の娯楽であった。


「他にもきな臭い話も聞いたぞ。戦争があるかもって。北側の国境の街に異国の商人が訪れなくなったって、ミギーナの方だ、ライト国またはウエライト国から攻められんじゃないかって」


「俺も別の商人から、レフートとオオキナウエーノが国境近くで争っているって。危険だからヒーダリの方には行きたくないって。そうなると砂糖の売り先がなくなるな」


「ああ、商売あがったりだ。一応船で国境に接していない国にも売っている商人もいるが、うちは陸路だけだからなあ。四か国同時となると厳しいなあ。しかも国境近くの街には売るための砂糖が保管されているし、こっちに戻すのも費用掛かるし、保管したらしたで保管の費用も掛かるからなあ。しばらくは様子見かな。

 ということで砂糖の買い付けに来なくなるから、宿にも来れないよ。風呂が気持ちよかったんだけどなあ。あと魔道具の買い付けは今日多めに買えるなら買っときたい。それと命の石の納品しとく」


「魔道具はなかなか作る余裕が無くて三個だけだな。カートリッジは百個までなら。それと命の石は引き続き頼むよ」


「まあ、いつもなら数か月すれば終わると思うんだけどな戦争は。国境沿いの街が襲われて、奪い返して、逆に攻め込んで、相手の街を奪って、奪い返されて、あの辺の街は所属する国が変わるからなあ。まあ半年の我慢かな」


「鍛造で作成した鉄製品と同じくらいの強度で出来た剣や槍があるんだけど買わない?」


「いや、止めとく。売れるかも知れないが売り先が確保出来てからでないと、ただでさえしばらく収入が無さそうだからな。保管場所にも困るしな。砂糖どうするかなあ」

鋳造、溶かしたものを鋳型に入れて作る。成型しやすいがもろい傾向。

鍛造、金属を鍛える、叩いたりして外部から力を入れて金属の隙間を減らして強度を増す。


ケンは心変わりすることだってあるよ。人間なんだから。環境や状況によって変わるよ。

お金を持って裕福になって、人を雇ったり、少し守りみたいな部分が出来るのかもしれない。


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