02-37 商売13
翌朝、ケン、アリス、ソララ、ガイ、エドでカマータに向かった。ケン達は商業ギルドにガイとエドはスラム街に向かった、明朝カマータの門の外で待ち合わせる。
「農地を作りたい、はい、問題ありませんよ。どのくらいの広さですか? 三万平方メートルですか、だとしたら農地を作ってから三年後からは年銀貨二十一枚または収穫物の十分の一の固定資産税が掛かります。
これから伐採するんですよね? 伐採が終わって農地が出来てから申告に来てください。伐採本数は、現時点では分からないのは仕方がないので伐採後一ヵ月以内に申告に来てください。農地にする場合は成長途中の木も切るだろうから、十mを超えない木は伐採本数に含めなくて良いです。
孤児院を宿屋に併設する? 別に問題は無いです、が、保護する人には人頭税が掛かります。10歳以上は一人年銀貨十二枚、五歳以上九歳は年銀貨六枚、四歳未満は徴収はありません。こちらも現時点で人数比率不明ですか、こちらも人数が分かったら早めに申告をお願いします」
ケンにとっては想定外の出費ではあったが、法律を守る必要があるのでケン達の財布から出すことにした。その後食料や衣服、布など今後必要になりそうな物を大量に買い込む。
翌朝カマータの門の外でケンとガイ達は合流し、荷車に子供を乗せて国境に向かう。ケンは商業ギルドで人頭税を支払った後、皆を追いかけた。道中特に問題もなく宿屋についた子供たちは新しい家に驚き、喜んだ。
「こんな凄いところに住めるの?」
「屋根があるよ! 屋根がある! ねぇ屋根だよ!」
「すげー」
非常に騒がしいがガイが取り仕切って、子供達に生活のルールを教え、またお風呂で体を清潔にさせる。
「これお風呂っていうのか?」
「はじめて入った」
「水が勿体ないよ。これ何年分の水なの? これだけの水あったら売ってご飯食べるのに」
子供たちは雨の時に体を洗ったことしかなく、水は飲むものでコップ一杯銅貨一、二枚で買うものだった。
「お前等、再度言っておく。ここで誰かが迷惑を掛けたら、俺たち全員がその罰を受ける。だから、物を盗んだり、つまみ食いをしたり、破壊したり、傷つけたりしたら、俺が許さん。
ここはスラムと違ってヤクザが居ない、お金も奪われない、人さらいも居ない、屋根があって安心して寝れる。そしてご飯が食べられる。ただ、その生活が出来るのは俺やお前たちが働くからだ。誰かが悪いことをしたら俺たち全員がこの生活を手放すことになる。それを忘れるな! いいな!」
「「「はい」」」
ガイが強い口調で子供たちに念押しをしていた。そして提供されたご飯に歓喜した。
「肉だ!」「美味しい」「あったかい」「具がいっぱい」「おかなかいっぱい」「俺今日死ぬの?」
ガイやエド達は子供たちがこんなに喜んでいる姿を見るの初めてで、涙ぐんでいた。そして、この生活がいつまでも続けられるように仕事を頑張ろうとあらためて決意していた。
翌朝、手分けして子供達に出来そうな仕事を教えていく。ケンとガイとソララだけ、伐採作業に従事する。
「穴に落としてから、空間収納に入れる。ガイとソララは周囲の警戒をお願い」
「師匠分かりました」
「意味が分からないんだが」
ケンはソララとガイに方針を伝えてソララは直ぐに理解したが、ガイはケンと伐採をしたことが無いので理解出来ない。宿から離れた少し奥まった場所から作業を始める。
「穴」
ケンが魔法を唱えると木の周り含めて、直径二mくらいの地面がなくなった。そして少し遅れるように木が穴に落ちる。木が傾き倒れてきたがケンが空間収納に格納した。ケンは空間収納の熟練度があがり、木を格納出来るようになっていた。伐採する中でケンが生み出した新しい伐採方法である。
「土」
そして穴が開いた場所が土で塞がった。
「…」
ガイは呆けた様子で、その様子を見ていた。
「ガイぼーっとするな、周囲を警戒しろ。野生動物やゴブリンが来るかも知れないだろ」
「ああ、ああ」
ケンに言われて我に返ったガイや周囲を警戒するが、三分もかからずに木をどんどん伐採していく様子を見て考えるのをやめた。周囲の警戒に集中する。
ケンは朝から晩まで伐採を行い五日間で約一万二千平方メートルの伐採作業を終えた。まだ宿屋から奥の方を伐採しただけなので、宿屋側から見ると森があるように見える。
「あれ? 木がなくなっている。もう少し木があったよね?」
「奥は木が減っている気はしていたんだけど、いつの間に」
宿泊客の何人かは森の奥が少し開けたように見えていた。
「耕す」
ケンが魔法を唱えると地面が掘り返されて柔らかい状態になった。一時間ほどで農地全体が耕された。とはいっても、大量の木材が地面に置かれているので、直ぐに農地として使えるのは十分の一位であった。
大量に木を伐採してため伐採税を確保する必要があり、ソララとダル、エド、ザンギには、ヨコハに石材を納品しに行き、帰りは食材や香辛料などを買ってきた。関税が掛かるが移動時間がもったいないのでそこは許容する。
「やばい。伐採税が払えないかも、調子に乗って木を伐りすぎた」
ケンは伐採することに集中しすぎて、伐採税総額を深く考えずに伐採し続けてしまった。一ヵ月以内に納付すれば良いと思っていたが、まさか五百本(金貨五十枚)も伐採しているとは思ってなかった。いや伐採した木を山積みにしているから、大量に伐ったのは分かってるはずなのだが、調子に乗っていたとしか考えられない。
ケン達は夕方宿を出てヨコハの関所そばまで移動して、石を百個個ほど作り出した。早朝からヨコハの工事現場に荷車三台を使ってピストン輸送を開始する。一つの荷車には二十個ほどの石を積んでいる。
「なあ、昨晩あんなところに石あったっけ?」
「いや、なかったろ。ちょっと見てくる」
流石に関所の兵士が不審に感じて、石のそばにいるケンに話しかけに来た。
「昨晩大量に持ち込んで、関所が空くまで待ってたんですよ」
「そうなのか? こんなに大量に?」
「荷車にしたら数台分ですよ」
兵士は勝手に石が出来る訳もなく、持ってくる以外には方法ないだろうと考えて関所に戻っていった。
そして荷車が戻ってきたら積み込むふりをしてケンはその場で石を作って荷車に載せていく。
「なあ、あの石なかなか減らないな」
「そうだな。裏にも石があって、こちらから見えてなかったのかもな」
「まあ、そうだよな。石が勝手に出てくるわけ無いし」
関所の兵士は不審に思いながらも、石の搬入が続いた。最終的に石を百ハ十個、金貨三十六分販売した。一度に大量に運びこんだため、工事責任者からは、しばらくは持ってこなくていいとまで言われてしまった。




