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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-35 商売10

 ケンはガイに色々と確認を行う。


「スラム街で生活するには摘発の不安がある?」


「ああ。ヤクザがいて稼ぎが奪われるし、泥棒もいるから物を持つのも厳しいし、女は襲われることだってある、不安だらけだよ」


「摘発の心配なく、ヤクザが居なくて、住む場所、食事が提供されて、仕事があったら助かる?」


「当たり前だろ」


「宿屋の従業員や農作業とか興味あるか?」

 ケンは国境の近くで宿屋を営業しており、住み込みの従業員を募集していることをガイに説明した。


「それ本当か? 騙して奴隷として売り飛ばそうと考えているんじゃないよな?」


「ガイ! ケンは良い人! しんようできる!」

 サラはケンが疑われたことに腹を立てて思わずガイに怒ってしまった。ガイにも沢山助けてもらっていたが、咄嗟に反応してしまった。サラはガイに対して声を荒げたことを少し後悔した。


「ごめん。サラがそういうんだから大丈夫だろう。悪かったな」


「気にしてないよ」

 ケンは実際に気にしていないし、初対面の人間を疑うのは別に普通なことだと思っていた。


「ケン、それが本当なら、あっいや、信じるよ。それって何人募集しているんだ? 知り合いにも声を掛けても良いか?」

 サラが一瞬ガイを睨んだので、少し言いなおしてから、他にも紹介したいと申し出てきた。


「具体的な人数を決めてないけど、三、四人かな」


「俺を含めて五人、五人なんとかならないか?」


「うーん…。会ってからでも良いか?」


「おう、直ぐ呼んでくるよ。ちょっと待っててくれ」

 ガイはあわてて知り合いを呼びに行った。しばらく待っているとガイが残りの四人を連れて戻ってきた。残りの四人もサラを見るなり、抱きしめたり、無事を喜んだりしていた。その後自己紹介をした後に労働内容や条件を伝えた。


「本当にそんなに良い条件で雇ってもらえるのか?」

 後から来た四人も最初は信じられなかった。サラは自重して出来るだけ落ち着いて、ケンとアリスが信用できると伝えた。話せなくなっていたサラが話せるようになって、少したどたどしい言葉遣いで説明するのを聞いて、あのサラがそんなに言うなら信用しようという気持ちになってきた。


「みんな良いか? よし、ケン俺たちを雇ってくれ」

 ガイが他の四人からの意見を聞いて、ケンに雇われることを決めた。


「よろしく頼む。早速明日には移動してもらいたいけど大丈夫か? よし、じゃあ明日の朝の待ち合わせはどうするかな。二回目の鐘が鳴った時にはここに居てくれ。俺達はゴシピウムの宿に泊まっているんで何か問題があった時は、宿まで来てくれ」


 翌朝、ケン達は無事に五人と合流した。全員朝食を食べていなかったので、ケンから人数分の水筒とナンを渡された。長時間移動するため、ちゃんと食べておかないと移動に支障が出るからだ。


「なあ、アリスだけに荷車を引かせているけど俺らも手伝おうか?」

 熊の獣人のザンギが手伝いを申し出てくれた。アリスは女だが筋肉あるのは見てわかる。ただ獣人としての種族してのスペックはザンギの方が高く、力が出る。


「大丈夫だよ。んーちょっと引いてみるか? その方が早いだろ、アリス止まってくれ」

 ケンは少し考えた後にアリスに荷車を止めさせた。ザンギに荷車の持ち手を説明後、荷車を引かせる。ゆっくりと荷車が進む。ザンギでも問題なく引けるが、これを涼しい顔で引いていたアリスは凄い力持ちだとザンギは思った。


「そこの横のレバーを倒してみて。軽くなるから、というか勝手に進むから気を付けてね。またレバーを元に戻せば止まるから」

 ザンギは何を言っているか理解は出来なかったが、そのレバーを倒してみる。


「うああ! 勝手に動く。触ってないぞなんだ!」

 ザンギは驚いて手を放して、驚きを共有しようとしてくる。すぐにアリスがレバーを元に戻して荷車を止めた。


「この荷車は勝手に進むから、押してるふりをするだけなんで(手伝わなくて)大丈夫だぞ」

「「「「「はあ? 訳が分からん!」」」」」

 五人は早速ケンの洗礼を喰らっていた。サラはくすくすと笑って見ている。これからどんなに理解できないことが皆に起きるのか、そしてそれに戸惑う姿を見て自分が驚いたことが当然だし、一歩引いて見ているとその姿が少し滑稽(こっけい)だと感じていた。

 ケンは一緒に生活する上で、能力を隠しても隠し切れないと考えていた。なので、もう最初から見せつけることにした。そしてこの街で生きていく、さらなる高みに行く段階に差し掛かっていると感じていた。


「止まれ! ん-イノシシだな」

 ケンは一行を止めた。街道の先にイノシシが見えた。イノシシもこっちを見ている。そしてこちらに向かって走り始めた。ケンは空間収納から連弩を取り出す。アリスは少し前に出て剣を抜いて構えた。ケンが連弩のレバーを引くと、次々と矢が飛んでいきイノシシや周囲の地面に刺さっていく。


「どっから出てきた!?」

「何あれ!?」

「なんで連射出来るんだよ!!」

「イノシシ近づいてる!」

「俺がやろうか」

 ガイ、ダル、エド、シュンレイ、ザンギが、それぞれ驚きながらも、ザンギは無手で戦闘の姿勢を取る。


「真空切り」

 アリスが剣を縦に振ると離れた場所にいるイノシシの顔から尻尾まで両断されていた。


「「「「「なんだよそれ」」」」」


「剣を振った際に魔力を込めて、その先の直線上の物を切り裂く魔法だな」


「「「「なんだよそれ」」」」」

 アリスは簡単に説明するが魔法を知らない人に魔力といっても理解できるはずもないし、離れた相手を両断するとかとんでもない人であると認識した。怒らせたら、あの力が自分に振るわれたら、ヤバイと。

 サラも連弩を出したあたりではケンは凄いんだからと皆が驚いている様子をみて笑っていたが、アリスが離れたイノシシを両断したときには、驚きすぎてフリーズしていた。


「これだと血抜きがすぐに終わりそうだな。アリスちょと持ってて」

 アリスはイノシシを街道脇の草むらまで持っていき、半身を持ち上げると血が滴り落ちる。ケンが手から水を勢いよく出して、土や石、血などを洗い流していく。


「「「「「…」」」」」

 五人は自分が何を見ているのか、今何が起きているのか理解出来ないでいた。サラは皆が驚いている姿を見て若干冷静になってきた。ただやっぱり凄いものは凄いと思っていた。

 そして血抜きした肉をケンが空間収納にしまうと五人は更に驚いて固まってた。

現実の日本でも転職する際は、知人の紹介ってのは有効な判断材料の一つだよね。

この世界もそういうのがあると思うよ。


待ち合わせするにも、細かい時間指定は出来ないから、街が定期的に鳴らす鐘の音でするのが一般的だよ。小さな街や村では鐘を鳴らさないとこもあるよ。


ケン達の故郷なら時計を持っている人もいるし、もう少し細かい時間で待ち合わせると思う。

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