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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-30 商売06

 奴隷商の店から少し離れたところでサラとマルレに治癒を行う。姉妹は自身に起きた不思議な状況、感覚に驚いている。


「今のは治癒の”魔法”さ。怪我や傷を治せるんだ。アリスは得意なんだ」

 ケンは二人に話しかけるが、理解を超えた内容なので戸惑っていた。ケンは周囲を見回すといくつかの屋台が目に入った。


『サラ食べれないものとか、食べたいものはある?』

『よくわからない』

『えーと、串焼きの肉食べられる?』

『うん! えっでも、お金ないけど…』

 ケンは近くの屋台に行って串焼きを四本買ってきて、サラとマルレに一本ずつ渡し、アリスにも一本渡した。


「食べて。いいよ食べて」

 サラとマルレは恐る恐る、ケンの顔色を窺いなら、串焼きにかじりつく。熱かったのか、直ぐに口を離して串焼きをフーフーと息を吹きかけていた。アリスは再度二人に治癒を唱えて、軽いやけどまではいかない程度の傷を治してあげた。ケンは手から涼しい風を送って二人の串焼きを冷ました。今度は熱くなかったので、一口目よりも、二口目、三口目とパクパクと素早く噛り付いていた。


「あんまり急いで食べると、喉を詰まらせるぞ」

 ケンの忠告は少し遅く、サラはゴホゴホとせき込んで胸をトントンたたいている。ケンはすぐに木のコップを取り出して、そこに水を満たした。マルレは目の前にコップが出てきたこと、しかもそのコップの中に注いでもいないのに水が満たされたことで、びっくりしすぎて動きが止まってしまった。コップをサラに差し出すと、サラは咳き込みながらも水を飲んで小さな危機を脱することが出来た。


 串焼きを食べ終えたので市場に向かうが、マルレの歩く速度に合わせているため、これだと移動に時間が掛かりすぎてしまう。


「マルレ、抱っこしても良いかな?」

 ケンが声をかけると、マルレはサラと見つめあった後頷いた。マルレを抱っこではなく、肩車をして頭をつかむように促した。自然とアリスもサラを抱きかかえた後に、肩に乗るように仕向けた。高い景色が珍しいのか二人ともにこやかな顔つきになっていた。


「た、かい」

 マルレの方はたどたどしいが、声を出して喜んでいた。ケンは少し細い道に入った際に周囲をぱっと見回した後、空間収納から荷車を出した。サラとマルレはあんぐりと口を開けたままフリーズしていた。


 買い物が終わったので宿屋に向かう。途中、総菜屋で銀貨一枚もするタンドリーチキン四本とナンを購入した。部屋に入るとケンは何もないところから大きな桶やタオルを出して、桶に向かって手をかざすとお湯が溜まった。アリスは再度驚いているサラとマルレの服を脱がして体の汚れを落としてあげた。

 古傷は治癒では治らないため、全身のあちことに残っている虐待の痕跡は消せない。それを見たアリスは少し涙を浮かべながら、一生懸命世話をしていた。


「はい。これ食べて。遠慮しないでいいよ」

 自分の顔くらいあるタンドリーチキンを手づかみで食べる。味が濃く、こんな大きい肉を一人で一個食べるようなことは今までなかった。


「食べれなかったら明日食べればいいし、明日もご飯は用意するから無理しないで」

 アリスはそういうが、ひもじい経験を何度も繰り返してきたので、食べられるときには無理してでも食べる二人だった。アリスは食べ終わった二人の手をきれいに拭いてあげた。四人部屋なのでベットは四つあるが、アリスはサラとマルレを抱きしめるようにして眠った。


 翌朝、昨晩買ったナンと干し肉で簡単な食事をした後、宿屋を出る。


「うちは街の外にあるから、これから街を出るよ」

 サラとマルレを荷車に乗せ、国境の方に移動する。街道沿いで藁を売っている業者から藁を買って荷車に載せる。サラとマルレはふかふかな藁の上に座って機嫌が良さそうだった。道中ケンの知り合い(宿泊客)と何度かすれ違う際に挨拶を交わす。サラとマルレに気が付いた相手に、新しい従業員だよと説明していった。

 サラとマルレは人通りこそあるが森の中に向かっていると不安になり、怯えだした。昨日から良くしてくれたものの絶対的な信頼を築けるには至っていない。とはいえこんな森の中で逃げる訳にもいかず、逃げても生活できないため、それでもケン達についていくしかなかった。


 昼になり、街道の休憩場所に荷車を止めて昼飯の用意を始める。ケンは空間収納から机を取り出して、魔道コンロと鍋、調理道具や食材を置いた。ケンが手をかざすと鍋には瞬く間にお湯が溜まり、そこにアリスが食材を入れて塩と胡椒を入れる。


「味付けは塩と胡椒だけだけど」

 アリスは言い訳をしながら、出来上がったスープを机の上に置いた。


「大丈夫そうだね。はい食べていいよ」

 ケンは少し冷気を送ってスープを冷まし後、サラとマルレに食べるように促した。二人はジャガイモと乾燥肉に複数の豆が入ったスープを恐る恐る口に運ぶと、パクパクと食べ始めた。いっつもお腹を空かせて、うすい味付けの具の少ないものばかりを食していた。塩味が効いた具材が多いスープなんて、ほとんど食べたことは無かった。




「ここが新しい家だよ。ここで働いてもらうから」

 森の中に急に舗装された道路が出来ていて、そこを抜けた先には石造りの大きな宿があった。正面からだと分かりにくいが、そのすぐ裏にも同等の建物が建っている。入り口には灯りの魔道具が設置されており、とても立派な建物に二人は驚いていた。

アリスは力持ちだから、自然とお姉さんを肩車しちゃった。してあげたいと思ったんだろう。

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