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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-30 商売05

 ケンとアリスは奴隷を見に東カマータの奴隷商の店に来た。牢屋のような箱の中に複数の奴隷が座っているのが見えた。手前は男の獣人で、獅子系、カバ系、牛系など獣人が多く、戦闘でも力仕事でも行けそうな気がする。


「犯罪奴隷だ。扱いに注意が必要だから初めての人にはお勧めしないね」

 奴隷商の店主が解説を行う。ちなみに売れ残ったら鉱山に売却されて強制労働をすることになる。


 次の檻には体格は普通だが愛想笑いをしたり、檻から手を出して、こちらに買ってくれと話しかけてくる男達がいた。さらにその先には若い子供たちがこっちを不安そうに見ていた。


「借金奴隷だ。何かしらの借金があって返せなくなり、自分の体や子供を売ったんだ。まあ、最初の奴隷は借金奴隷から買うのがいいだろう。今は扱っていないが戦争奴隷もある、そちらも扱いが難しいからお勧めしないぞ。ん? 習慣の違いで揉めたり、戦争で捕虜になり強制的に奴隷になるんだから恨みを抱いていることが多いぞ。ただ、結局あたりはずれは人それぞれだから」


 他にも女性が多数いる檻があり、さらにその先の檻に、力なく泣いている二人の猿系獣人の子供が見えた。より小さい方は大きい方に抱き着いており、大きな方は小さな方の背中に手を置きながら泣いている。


「あれは昨日入荷したばかりの借金奴隷だ。まあ買ったばかりの奴隷が泣いているのはいつもの事だから気にするな。ただあれは喋れないから少し安くなるぞ。まだあっちの方(性的な意味)では使えないけど、大きい方は一、二年もすれば肉付きも良くなるし、売れるんじゃないかな」


「なんで喋れないんだ? 虐待!? なんてひどいことを」

 よく見ると顔も傷があり唇もやけどのような跡があった、体にも無数の痣や傷がある。大きな方の子供がこちらを見てものすごく怯えて、小さな子をしっかりと引き寄せて守ろうとしていた。


「ケン! 可哀想だよ、うちで二人とも引き取ろう!」

 アリスはケンの手を取り、購入するように懇願した。ケンが奴隷商に視線を合わせる。


「お買い上げですか? 大きい方が金貨十枚、小さい方が金貨五枚です」

「高い! 高すぎる、相場の何倍するんじゃないのか?」

「えっケン!? 出せないの?」

 奴隷商は問題がある奴隷を買うようなお人好しなら高値でも買うだろうと考えて、物凄い高い金額を提示してきた。ケンはアリスに以心伝心で伝える。


『アリス。価格交渉をするから買う気がない、諦める方向で話を合わせてくれ』

『買うの? 分かった、話を合わせるね』

 ケンとアリスが数秒言葉も交わさず、互いに見つめあっていた。そのあとケンは店内をゆっくりと見まわして、女性の奴隷をじっくりと眺めていた。女性の奴隷もケンが見つめていることに気が付いてケンを見返した。奴隷商は体に問題がある奴隷じゃなくて、女性奴隷に変更するつもりなのだろうかと考え始めた。


「高いな。そんな値段をつけるような商人からは何も買わんよ。別の店に行くことにする」

 そういってアリスの手を取り店を出ようとしたところ、奴隷商が逃すまいと交渉を持ち掛ける。


「旦那、ちょっと待ってください。うちも商売なんで、利益を出さないといけないんだ。多少は値引くからさ。大きい方が金貨七枚、小さい方が金貨二枚でどうだ?」

「話にならん! 帰る!」

「まぁ、まぁ、そう言わずに、じゃあお幾らなら買っていただけるんですが?」

「両方で金貨一枚だな」

「なんだい! そんな安く売るわけ無いだろう! 帰った帰った!」

 奴隷商が怒ったように退店を促したので、ケンはアリスの手を引いて帰ろうした。


「ちょい待って! 仕方がない、二人で金貨六枚。これ以上は無理だ」

「自分は大銀貨三枚で買ったのに、二十倍請求しようってか?」

「なぜそれを! あっいや、当然売れ残る可能性もあるんだから、食費とか、維持費考えたら、経費含めて請求するのは当然だろ」

「昨日の今日じゃないか、維持費なんてたかが知れているだろ。金貨一枚と大銀貨三枚」

「金貨五枚だ」

「金貨一枚と大銀貨七枚。体に問題がある奴隷なんだろ、意思の疎通が出来ないんだから、今回を逃したら売れ残るリスクも考えないと、これで頼むよ」

「金貨四枚」

「金貨二枚、これでダメなら本当に帰るよ」

「くそっ! わかった。それで良い。所有者変更の用紙を描くから、それは大銀貨二枚掛かるぞこれは値引き出来んからな。しかしなんで購入した金額がばれたんだ、まったく」

 奴隷商は愚痴を言いながらも、所有者変更の用紙に持ち主を変える旨を記述した。同じ内容の物が3つあり、一枚はケン、一枚は奴隷商、一枚は役所に届ける。


『アリス。治癒魔法はここを出てから、別の場所に移動してからだぞ』

『わかった』

 ケンは以心伝心で念押しの注意事項を伝えておいた。治癒魔法を使って変に目を付けらるのを避けるためだった。その後檻から出された二人の猿系獣人は、金属製の首輪を外されて、代わりに皮製の腕輪を装着した。ケンは片膝をつき、体を少し曲げて目線を出来るだけ二人の高さに近づけてから話しかけた。


「言葉は分かるかい?」

 二人は小さく頷いた。小さな方は不安そうに大きな方に抱き着いたままだ。


「俺はケン、こっちはアリス。俺の奥さんだ。うちは宿屋なんだ、それを二人に手伝ってほしい。言っていることがわかるか?」

 二人とも再度頷いた。ケンは何かを思いついたようなしぐさをした後、再度大きな方に視線を向けた。


『ねえ。聞こえるかな。ケンだけど。聞こえてる?』

 大きな方がびっくりして体を揺らすと、小さな方もびくっとした後、再度しっかりと大きい方に抱き着いた。


『聞こえる。口開いてないよ。なんで喋れるの?』

『特別な力があってね。説明すると長くなるので後でね。君は喋れないのに言葉は分かるんだ』

『父にうるさいって、口を焼かれて…そしたら声が出なくなっちゃった』

 ケンは衝撃の内容に思わず怯んだ。


『俺たちは酷いことはしない。絶対にしない。約束するよ。ご飯も食べれるようにするし、勉強も教える、だからうちの宿屋を手伝って欲しい。いいかな?』

『うん、お願い』

『二人の名前はなんていうの?』

『サラ、妹はマルレ』

「サラ、マルレ、今日からよろしくね」

なんで買った値段がわかったんだろうね?

知っている人に聞いたんだよ。心配そうに見ている女奴隷がいたから、以心伝心で聞いてみた。

以心伝心は話す側の魔力で会話できるから、動物とだって会話出来るから。

家畜と会話出来たら、とさつする際、嫌だろうなあ。もちろんオンオフ出来るけどさ。

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