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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-29 商売04

「うーん人手が足りないなぁ」

 ケンは魔道具を作り上げたところで呟いた。宿屋の商売は順調である、ただシーツの洗濯と交換、調理、掃除が部屋数が多くなって宿泊者数が増えたため結構時間が掛かる。室内は土足禁止なので、あまり汚れにくい。一応部屋の中は入り口が低くなっており、石作りであるため、水を利用した掃除がしやすく排水できるように工夫してある。また消臭液があるのでシーツや藁の交換頻度も少なくて済んでいる。それでも泊まれる部屋数を多くしすぎて負荷は上がっていた。


 ケンの準備時間だけでいえば石材が一番儲かるが、アリスとソララの二人がまる二日間不在になるため

結局別の仕事に時間を割くことになるし、石材は大量に売りすぎると怪しまれるので頻度は減らした。

 利益率の高い魔道具を沢山作りたいが時間があまり取れない。他にも作付面積あたりの収穫量が多いジャガイモもこの地に根付かせたいし、ガラス瓶を作成してポーションでの利益も確保したい。そのためには雑用を減らして従業員を雇うべきだろうと考えていた。ケンは常連の砂糖商人に従業員雇用について相談してみた。


「商人になれる奴は限られているからな。まず読み書き計算が出来る者は少ない。教育が受けられるのは金がある奴だけだ。そして教育を受けるような者は大体実家の稼業を継ぐし、次男、三男であっても、読み書き計算が出来る従業員は貴重だから、そのまま家で雇われるな。中には職にあぶれるものもいることはいるが。


 農民の次男なんかは兵士や傭兵になったり戦争で連れていかれたり、数年に一度くらいの割合で開拓村が作られるのでそこに行ったりとか、技術がある職業、大工や鍛冶屋、皮加工、仕立て屋、などは徒弟(とてい)という制度がある。十歳くらいの子供を住み込みで預かって、仕事をさせながら教育を施す。大体三年から十年くらいで独り立ちする感じだな。魔道具作りを教えるとなったら、弟子になりたいという者は多く集まると思うぞ。


 ただ魔道具を作れるものが増えたら、ライバルが増えることになるからちょっと考えものだな。大半は

専門ギルドに属して、親方の下で業務を発注されて手間賃を稼ぐことになるが、魔道具だと出資者も出るだろうし直ぐに独り立ちすることになりそうだ。専門ギルドも無いしな。

 農業? 農業で徒弟は聞いたことがないな。宿屋も無いな。製パンはあるが、ケンのところはあの特殊なパンだけだろ? パンの腕はお世辞にも一人前とは言えないのに弟子なんか取れないだろう。一人前の技術系の仕事をしている事が大前提だぞ。ちなみにカマータでパンを焼くならパンギルドに属して、しきたりに従わないとパンが作れないぞ。


 逆に仕事にありつけないホームレスは沢山いるな。街中で安い賃金で単純肉体労働をしている。大人のホームレスが街の外に出たら、また街の中に入るのに金が必要になるから、仕事でもない限り滅多に外には出てこない。子供ならお金を取られないから、待ちの外に出て農作業を手伝ったり、薪や森で採集をして稼いだりなんてことはしているな。

 ホームレスは生きるためには何でもするので、手癖が悪い者も多い。信用がない。全員が悪いとは言わないが、比率でみれば犯罪者が多いのは仕方がない。ちょっとお勧めできないな。


 あとは労働力として奴隷がいるが、これはもうピンからキリまででなんとも言えない。大抵肉体労働でこき使われることが多い。読み書き計算が出来る者もいるが、そんな奴隷は大抵買われているから残っているのは肉体労働だったり、体に欠損があったり、病気持ちだったりすることが多いな」

 なかなか有望な人材は手に入りにくい状況であった。


「商業ギルドに依頼して、人を紹介してもらうという制度もあるが、はずれ人材でも商業ギルドは保証してくれない。問題を起こしたら問題を起こした本人が責任を取ることになる。当然商業ギルドでは、問題を起こした人に仕事の紹介をしない。ただ抜け道はあって、別の街の商業ギルドに別名で新規登録すれば、また紹介してもらえる。それと紹介料が高い。給与は交渉次第だから何とも言えない」


「魔道具は教えても種族としての制限があって、多分誰も作れないと思う。アリス、リルは教えれば作れると思うがこの大陸の人間ではだめだ。種族的に超えられない壁がある」

 ケンは魔道具の弟子を取っても良いかなと考えてはみたものの、魔同回路を描くためには魔力を込めながら描く必要がある。魔力が無くても魔石を加工した専用の筆を使えば書くことも可能だが、それにはケンが作る道具を使い続ける必要があるし、ケンがいなくなった後はどうしようもなくなる。


「畑仕事や宿屋の業務なら、奴隷かホームレスで何とかなりそうだが、あとはまともな奴が雇えるかどうか運次第だな」


「そうか。ホームレスは厳しそうだから奴隷かな。地元では奴隷が禁止されてたんでちょっと抵抗あるけど」

 ケンの故郷にもホームレスは存在したが、小さな子供は学校に行けば食事がもらえるし、勉強も教えてもらえるので将来仕事にもつける。一部ではあるが大人向けにも定期的に炊き出しもやっているし、魔力さえあれば石材を作ったり、水を作ったり、けがを治したり、何かしらの仕事があった。

 イーチバンでは村や街全体で助け合うので、基本ホームレスは存在しない。ケンはニバンで一度ホームレスになると一般市民になるのは難しそうだと感じた。お金がもっと稼げるようになったら、何かしらホームレスの子供たちに支援をしたい、孤児院を作ってご飯を食べさせてあげたい、勉強する機会、仕事を与えたいとあらためて決意する。

 奴隷を雇ったとしても、一生懸命に働いてくれるなら解放しても良いかなとも考えていた。まずはどんな奴隷がいるかを確認してみないと判断しようもないので、いったんカマータの奴隷商を訪ねることにした。

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