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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-26 商売01

「関所の外に宿屋ですか? 街の範囲外なので許可証は不要ですが、ニバン国内に滞在しているので人頭税はいただきます。支払いは一年分先払いで一人銀貨十二枚です。固定資産税はどうだっけ? ねぇ、街の外に家作ったらどうなるなんだっけ? ちょっと調べておいて。

 で、あの辺の森を切り開くのは問題ありませんが、他の場所は取り決めがあるので切る前に確認して下さい。一本につき大銀貨一枚の伐採税が掛かるので伐採から一月以内に納付して下さい。成長途中の木、十mを超えない木は伐採本数に含めません。伐採した木は利用して問題ありません。上限は年十本までなので、それ以上切る場合は、林業の許可証が必要になります。

 あれ? でもあの辺に水源ありましたっけ? 井戸を掘ったら水源保有税だけど…街の外だからこれは課税対象外か? ねえぇどうだったっけ?」

 商業ギルドで許可証について相談した結果、少し突飛な相談であったため、受付の人も周囲に相談しながら対応してくれた。商業ギルドで税金の代理徴収をしているので、併せて人頭税を支払っておく。固定資産税は確認が必要なため、後日回答となった。

 宿屋の営業に必要な備品を購入する。シーツや綿、藁、食料、鶏やヤギ、などを購入して、国境近くの野営がよく行われている場所に向かう。


 アリスやソララが斧で木材を伐採する。街道から森に向かって切り開いていく。切り株はケンが酸性の水をかけて弱らせて後日撤去する。こんな場所で伐採をしているため、街道を歩く人たちから興味の視線が注がれていた。一日でとりあえず自分たちの宿泊出来る場所が確保出来た。

 次の日以降もさらに森を切り開いていく、宿屋用、家庭菜園用、家畜用の小屋の場所も用意する。宿屋用の建物を建てるために、切り株を取り除いた後、魔法で三階建ての建築物が出来上がった。ぱっと見は複数の石を重ね合わせて積み上げたように見えるが、実際には大きな石を作成するときに偽装しただけである。


 食器も魔法で作成し、台所に水道(魔道具)もアリスやソララのために用意したが、大きな瓶に水を生成して貯めてある。石製のベットも用意し藁を敷き詰めた後にシーツを被せる。また値段が高めに設定している部屋は石の模様や装飾も拘って高級に見えるように工夫した。ベットのマットは綿を敷き詰めている。部屋の明かりも魔道具で明るさ調整機能も付けた。安い部屋の明かりは点けるか消すかである。


「では行ってきます」

「おう、気をつけてな」

 ソララとアリスがヨコハに石材を納品しにいく。走行機能付の荷車に石材を二十個ほど載せて向かった。伐採税を支払うために何度か販売予定だ。ついでに宿屋の宣伝も行う。荷車には宿屋が開業した旨の看板を掲げている。すれ違う人が看板を珍しそうに眺めていた。そんな人達に宿屋が開業した旨を説明しながら進んでいく。


 街道に大きな看板を掲げた。宿屋の名前は「涼しい宿」だ。街道から宿屋への道は石畳で荷車でも問題なく入れるようにしてある。途中で荷車がすれ違えることが出来る広い場所もあり、宿屋の前にも荷車が置ける場所が用意されている。


「あのー営業している? 一泊いくらだい? おっ確かに少し涼しい感じがするな」

 猫の獣人と犬の獣人の筋骨たくましい二人組で、初めてのお客様だ。荷車も無いため、傭兵の可能性がある。石造りで夏は涼しく、冬は少し暖かい。ちなみにイーチバンとニバンは気温が高く暑い日が多い。


「いらっしゃい。代金は部屋単位だよ。一人でも二人でも部屋代は変わらない。素泊まりで二人部屋が大銅貨五枚で、四人部屋は銀貨一枚だ。桶に水を一つサービスするので、体を拭くのにでも使ってくれ。桶はフロントの横の棚にあるから部屋に行くときに持っていってくれ。

 高い部屋は二人部屋が銀貨二枚、四人部屋が銀貨四枚だ。高い部屋にはお風呂がついていて、銀貨一枚で浴槽一杯分のお湯がつくよ」


「え!? 風呂があるの? 凄いな。俺たちは払えないけど。安い部屋で頼む」


「一番大事な説明がある。部屋の中では靴を脱いでくれ。足に着いた土などは部屋の入口で落としてくれ。出来るだけ安くて快適な宿にしたいからな。宿泊者の協力が必要なんだ。必要なら部屋の説明もするぞ」


「部屋で靴を脱ぐのか? 部屋自体は綺麗なのかよ? まあ綺麗なら別に良いけど。それでいいから、あと食事出来る? 何があるの?」

 

「甘くて柔らかいパン、これ、これが一個大銅貨一枚、シチューも一皿大銅貨一枚。水は料理を頼んでくれた方には水差し一つ分サービスするよ。料理を頼まない場合は水は大銅貨一枚。あとこれ味見してみてよ」

 味見用のひとかけらのパンを皿に入れて差し出す。パンというよりも、見た目はナンであり、作り方もナンである。


「えっ!? 少し甘い! 砂糖を生地に入れている? しかも表面にうっすら塗ってあるのか?? 贅沢だな」

「本当だ甘い! ただ柔らかすぎだな。もっと固くないと食った気がしない。おれはシチューだけ貰うわ。パンを持ち込んでも良いか?」

 二人ともシチューだけを注文し、パンは自前のもので食べることになった。


「水もうまいな! 冷たい」

「本当だ。これが水差し一つ分ついてくるのはお得だな」

「今日はヤギのバターがあるよ。一欠片大銅貨一枚、在庫限りだよ。それと水差しは食事のあとは部屋に持ってって。明日宿を引き払う時に回収するから忘れずに持ってきて。水のお替りが必要なら大銅貨一枚だよ」

「お!? この一欠片で大銅貨一枚か。まあ妥当だな一欠片くれ。久しぶりだよヤギのバターなんて」

「俺も一欠片くれよ」

 客の二人にケンが補足説明を行う。ヤギのバターも希少品で高級品ではないがそう簡単には手に入らない。バターを作るためのヤギの乳をかき混ぜる機器は魔道具で作成しており、手間がほとんど掛からなかった。

 ケンが接客中に他の客も入ってきたため、リルが接客を始め料金体系を説明する。料金設定は高い値段ではない。辺鄙な場所にあるし、他に競争相手がいる訳ではないので、もう少し高く設定することも可能だろう。しかし、一旦値段は常識の範囲内の価格に設定した。いずれ、付加価値のサービスを増やして、宿屋と他の商品やサービスで追加のお金を稼ぐつもりだ。

ケン、アリス、リル、ソララで、一人当たり十本伐採できるんで四十本。

林業の許可証は誰か一人が取得して、その人主導でやれば問題なし。

法なんて、そんなものだよ。

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