02-24 イーチバン国境の街ヨコハ3
「そうさなぁ。ニバンで儲けるなら砂糖だな。ただ砂糖を専売所で買っても元値が高いし関税と輸送費を考えたら損だぞ。購入量制限があるから量も買えんからな。量がある程度運べるなら香辛料系だと胡椒かなあ。砂糖商人以外であれば胡椒を売りに行く者も多いぞ関税がそれほど高くないし。後は食料も売れるがニバンにもっていかなくても、ここでも売れるから持っていく必要性がないな。
逆にニバンからは鉄製品や綿、衣類、お茶、陶磁器、シナモンなんかがよく持ち込まれる。ニバンの商人は砂糖を買うために色々と持ち込んでくるから。それとニバンから持ち込んだ商品は一旦専売所が買い取るんだが、砂糖商人の場合は砂糖と物々交換みたいな感じだな。砂糖商人以外が持ち込んだ場合は、安い価格で買いたたかれてしまう。砂糖との交換もしてもらえない。
例外は石材だな。今は外壁の拡張工事中だから石材は良い値段で買ってくれるぞ。
専売所で購入した商品はイーチバンの商人に渡されて、各村や町に売りに行く感じだ。ニバンとの往復で儲けるのは難しいから、それよりもここで買ってイーチバンの他の街で売った方が利益は出ると思うぞ」
ケンは酒場で仲良くなったイーチバンの商人やニバンの商人の方にお酒をおごりつつ、商売の情報を教わった。砂糖には高い関税がかかるが、砂糖商人には免税または減税の特例処置が取られており、砂糖商人が輸出を一手に行っているため一般の行商人が砂糖で利益を出すのは難しい状況であった。他の人達は砂糖を専売所以外で手に入れたものをついでに持っていく位で、小遣い稼ぎ程度の利益しか出せない状況であった。
それよりも砂糖を買う商人が行きに何かしら物を持ってきて販売するため、ヨコハの街は商品の在庫が豊富だし、値段も安くなっていた。宿に帰った後、今後の方針について議論を重ねる。
「ニバンより先の国には出国制限があって厳しそうだし、今持っている砂糖はニバンで売るのが間違いなさそうだな。それとニバン側の国境の街カマータは、ヨコハ以上に栄えているというし、カマータに拠点を作って、そこで商売するのが良さそうな気がする。まあカマータで再度情報収集や生活してみて、問題があるようなら他の街に行けばいいだろう。
明日は声を掛けていた郊外の解体所を回って魔石を回収した後、念のためゴミ捨て場で良さげな魔石や素材がないかを確認しよう。この街はゴミが分別されているのがラッキーだった」
ニバンはイーチバン以外の国と交易はしているものの関係は悪く、頻繁に戦争が発生している。そのためニバンよりも先の国に向かうのは難しく、伝手が無いとイーチバン以外の国との商売も出来ない。なので、ニバン国の北端に向かうよりも、カマータで力をつけた方が良いだろうという判断になった。
ヨコハの北門の更に先に関所があり、そこで荷物の確認がある。砂糖商人専用の出入り口はほぼノーチェックでスムーズに進んでいる。砂糖商人以外のチェックは入念に行うことも多く、長い行列が出来ている。ケン達が行列に並んで待っていると肉の焼ける良い匂いが風に乗って伝わってきた。
「ここがイーチバン最後の屋台だよー。待ち時間中に食べてってー」
屋台のオッサンが声をかけて呼び込みながら串を焼いている。価格を見ると街の中よりも少し高く、銅貨八枚と書いてある。ケンは人数分の串焼きを買ってみんなに配る。味もボリュームも街中と大差なかった。時間をつぶしながら関所を抜けてカマータに向かう。
カマータへ続く街道は人通りがあるため危険なこともなく、一回の野営だけで問題なくニバン側の関所に到着した。簡単な持ち物確認が行われて、無事にカマータに到着した。
カマータの街も大きな壁に囲まれているが、大きな囲いが二か所に分かれている。西カマータと東カマータである。元々は西カマータだけであったが、交易の拠点として栄えていくうちに、町の外にも住宅が増え始めたので、東カマータが作られた。結局そこもすぐにキャパオーバーとなり、周囲の畑の先にフェザーパディフィールドやアローマウスなどの街が作られている。この街周辺は人口が多く消費が多いため、近くに食料を賄うための畑や牧場が作られて、いくつもの村が形成されている。
主要な取引品の砂糖はここでも売られているが、さらに先の国に持ち出せばもっと大きな利益になるため、イーチバン以外の国境の街に持っていく商人がここで買っていく。イーチバンと異なり、稼いだお金は自分のものである。大儲けする人には富が集まり、お金が稼げない人は安い賃金でその日暮らしのような者も多い。安い賃金で作られた物は、イーチバンに持ち込まれて売り上げが砂糖になり、砂糖は国外で高値で取引されて砂糖商人が儲かる仕組みである。
「砂糖を売っている店があるね、値段を見てみよう」
街の入り口の近くで砂糖が売っている店が目に入ったので、砂糖の値段を確認することにした。百g銀貨一枚と書いてあった。貨幣は異なるが、ヨコハの砂糖専売所では二kg銀貨十五枚で売られていた。専売所で買って関税納めたらマイナスであり、特定の砂糖商人だけが儲かる仕組みになっている。
「砂糖の買取はやっているかい?」
「見かけない顔だね。この街は初めてかい? ようこそカマータへ。ああ、品質にもよるが一kgで銀貨五枚だな。当然品質を確認する分の砂糖はそちら持ちだからな」
ケンは店主に問いかけるが、足元を見られた金額を提示された。
「安すぎだろ! 半額じゃねーか」
「混ぜ物がされていることもあるし、信用がない相手から買うんだから、これくらいの値段じゃないと買えんよ。他の店でも大体同じだよ。どうする? 売るかい?」
「いややめとくよ。自分で使った方が良いわ」
自分達だけで使い切れない程の大量の砂糖を持っているが、そんな事を伝える必要もないので、話を打ち切って店を出ようとする。
「ちょい待ちなよ。定期的に持ってきてくれるんならもう少し色を付けるがどうする?」
「いやいや、イーチバンとの間を往復する予定も無いし、止めとくよ」
さらに店主が引き留めようとするが、振り切って店を出た。交渉すればもう少し高値で売ることもできるだろうが、思っていた価格と乖離が大きかったので別の機会を待つことにした。
砂糖はいったいどれくらい流通しているんだろうか。
脳内設定を数値化してみたら正直多すぎる。そのほとんどがヨコハを経由している。
とんでもない流通量になるし、砂糖と交換に買った物が多すぎて物価崩壊しそう。保管も厳しそう。
巨大物流拠点になるから、もっと人口が多くても良い気がする。
そうすると国全体のバランスとかに影響が出てくる。
なんでも数値化とか、実際だったらとか、まじめに考えすぎると、話がおかしくなるから、
適当でいいや。
もう少し高い値段で砂糖を取り扱おうかと思ったけど、ニバンでも砂糖作っているし、
この先、どんどんと北の方にもっていけば、価格は輸送費がかかって、値段があがっていくはず。
となると、ここであまり高くしすぎるのはよくないと思って値下げした。
関所が国境線上にあるわけではない。関所はそれぞれの国境の街の近くにあります。
なんでと言われても、先に街があったんだろう。街から離れた場所に関所あっても
そこに常駐する人を維持させるためには経費かかりすぎるんじゃないかな。
知らんけど。




