02-12 王都
「シスターイルザは居るか?」
数人の騎士と役人がサンフラワー教会に訪ねてきた。シスターや孤児達は普段騎士が訪ねてくるようなことは無いため何事かと警戒していた。
「はい。私ですが何か御用でしょうか」
「ケンサンフラワーとアリスサンフラワーに対して褒賞が出ている。先日の魔物発生の際の活躍が認められたものである。こちらを受け取る様に」
役人が皮袋に入った金貨をシスターイルザの前に差し出す。
「ケンは開拓村、アリスは騎士として従軍しており、こちらには居ないのですが…」
「承知している。一旦まずは受け取る様に。うむ。では伝えるべきことがある、残念ながらケンサンフラワー及びアリスサンフラワーは亡くなった。お悔み申し上げる。
ケンとアリスは開拓村に向かう途中、海上で大型の魔物に襲われ海に落ちた。魔物から逃げるため助けることが出来なかったとの事だ」
「そっそんな…。でも死亡を確認した訳ではないのですよね?」
「それはそうだが、大型の魔物に襲われて最中に海に放置されたのだ。残念ながら期待はしない方が良い。それでは失礼する」
イルザはフラフラとよろけて、教会の壁にもたれ掛かる。
「ポンポ様、どうか二人をお救い下さい」
イルザは直ぐにその場で跪き、二人の無事を神に祈った。
「どうしたのシスター」「泣かないで」「大丈夫?」
遠巻きに見ていた孤児達がイルザに抱き着き、心配しながら話し掛ける。
「ケンとアリスと聞こえましたが、何かあったのですか?」
孤児の中では年長であるコウハがイルザに話しかける。コウハはケンとアリスの後輩にあたり、現在高等学校に通っている。
「ケンとアリスが魔物に襲われて」
「ケン兄ちゃんが!」「そんなアリス姉ちゃん」「噓でしょ、ねえイルザ!」
魔物に襲われたという一言とイルザの様子から、孤児達は直ぐに最悪の事態を想定した。この世界では死はどこにでも存在しており、いつ訃報を聞いてもおかしくない。
「落ち着け! みんな。イルザの話を聞こう。うん、うん、大丈夫だよ。それならきっと生きてるよ。ケン兄ちゃんだもん。きっと、絶対生きてるって。何でも出来るんだから。きっとその場で船を作って自力で逃げ出すって。
今度ルイーサ姉さんが帰ってきたら聞いてみよう。騎士団に所属しているし、もっと詳しいことが分かるかも知れないし、念話魔法で話せるかも知れないし」
コウハは自分自身でも念話をしてみたがケンには通じなかった。そんなに長距離に念話を飛ばしたことが無いのでどこまで通じるのかも分からない。自分の能力では駄目でも、騎士団に在籍しているルイーサなら実力も桁違いだろうし、もっと遠くまで念話出来る可能性がある。コウハは皆を慰めた後に、ルイーサに手紙を出した。
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「(調子はどう? そう、良かった。ブラッシングはどう? かゆいのはここかしら? はいはい、気持ち良いでしょ? いい子ね)」
ルイーサは自分に割り当てられた愛馬に語り掛け、声を聴き、的確に相手が求めている内容を理解していた。念話の上位魔法である以心伝心を使い、動物や魔物と意思疎通が出来るため騎兵隊に所属している。
今度は兵舎に戻って剣の手入れを行う。ところどころ傷があるが切るよりも打撃を与えることが主目的であるため、多少の傷は問題にならない。手入れが終わった剣を机の上に剣を置いた。束ねていた髪をほどき、頭を軽く左右に振ると髪がたなびく、周囲に金の鱗粉が舞い散るのではないかと思えてしまうほど綺麗な金髪が目に入る。それを見ていた同僚数人の顔が赤くなる。
「ルイーサ。手紙が届いているぞ。はい」
郵便物を配布している同僚から手紙を受け取る。お礼を伝えた後、差出人を確認すると孤児院のコウハからであった。
ルイーサはケンとアリスの五歳年上で、中等学校卒業後騎士団に入団したため、騎士団は八年目である。何十という戦場で生き残り、現在は第三騎士団で分隊長に就き、部下十五人を束ねる立場である。任務で王都から遠く離れた町で魔物退治の任務中であった。
「コウハからか! 懐かしいな何だろう? また王都に帰った時には顔を出さないとなあ。どれどれ」
読み進めていくと思わず椅子から立ち上がり力が入って手紙をグシャと折り曲げてしまう。慌てて手紙を延ばし再度読み直す。しかし書いてあることが変わるはずもなく、力が抜けたように椅子に座り込んだ。
「そっそんな。ケン、アリス…、ああああ!!」
髪をグシャグシャとかき乱しながら奇声を発した後、直ぐに顔を両手でピシャピシャと叩き、気合を入れなおし、自身の上長に確認しに向かう、何か情報を持っているかも知れない。移動しながら頭の中で次にすべき事を考える。アリスの所属を確認して該当の騎士団に問い合わせる、コウハに手紙を書こう。
移動しながら神に二人の無事を祈った。
大体12,3才から15,6才までの三年間が高等学校。
コウハは12才で一年生。
戦争もしてるし、魔物退治で死ぬこともあるから、
分隊長位は生き残ってれば自然となれる。
小隊長は生きてるだけじゃちょっと無理。
分隊で部下15人って多くね? 地球とは違うんだろうきっと。




