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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-10 トラタヌ村4

 ケン達がトラタヌ村に住むようになって一週間が過ぎた。サトウキビの搾りかすから紙を作るの事に成功したので、タヌチョウやタヌムスに見てもらっていた。


『これは便利そうですね。まさか搾りかすからこんなも物が出来るとは』

 タヌムスは紙の出来に驚き感心していた。


『タヌムスよ。これを産業として確立させるのだ』

 タヌチョウの指示により、本格的な紙作りが始まる。その後ケン達の作業に村の住人が手伝ってくれるようになり、ケンは自分が金儲けに使おうと思っていたものが村の産業となる事をなんとなく感じ取った。


「アリス、リル、助けてもらった恩もあるし、紙の利益は諦めるってことでいいよね?」


「「異議なし」」

 最終的にケン達は話し合って村の一員として生きるためには、個としての利益を求める事は出来ないと結論付けた。この村に来て、生活をして理解した、この村は一個の家族なのだ。まずは基盤を築き、次のステップに挑むための力を蓄える時だとケンは考えていた。



 ケン達はタママ一家と海岸に来ていた。ミケケ、ファーファ、ソララが波打ち際で水をかけあって遊んでいる。ソララの胸の辺りを見ているケンの鼻の下が伸びており、それに気が付いたリルはケンの評価が若干下がり、アリスは危機感を更に上げていた。


「ねえ、早く始めてよ。磁石くん一号のテスト」

 アリスはケンを急かした。


「磁石くん一号って…。じゃあテストするよ、スイッチオン。おっ付いたね。じゃあスイッチオフ…うん取れた、これなら使えそうだな」

 磁石くん一号は、磁力を発生する魔道具を農具の(すき)にくっつけた簡易的なものだ。柄の部分にスイッチがあり、利点は立ったまま作業が出来る。石で作製した大きめの桶に溜めていくが時間がかかる地味な作業である。


『なにあれ! 砂がついた! 砂が落ちた! またついた! あれやりたいの!』

 ミケケが磁石くんの作業に興味深々で、タママの手をつかんで揺さぶりながら駄々を捏ねる。


『だめよ、あれはケン達がしていることだから、何か意味があるはず。わがまま言わないの』

 タママとミケケが何やら言い争っているのを見たケンは、気持ちを察して直ぐに磁石くん二号を作成する。柄の部分をほぼ無くしたため、座ったまま作業するのに向いているかも知れない。やり方を見せながら説明し、最初はタママと一緒に持ちながら作業を繰り返して覚えさせる。その後タママからミケケに教え、砂鉄を集めていく。

 最終的に磁石くん七号まで作成して全員で黙々と砂鉄を集めた。並行して貝殻集めも行う、最初はノリノリだったミケケも途中で飽きてきて貝殻集めにシフトしている。貝殻は砕いて粉状にしておく、砂鉄に含まれている不純物を取り出すのに必要な素材である。


 数日後、砂鉄を鉄に変えるための炉で鉄を作る実験を開始する。たたら製鉄と呼ばれる製鉄法でこれも初代国王が開発したと言われており、炉に空気を送るためのふいごと呼ばれる装置が付いている。

 粘土製の炉で、木炭と砂鉄、貝殻を砕いた粉(炭酸カルシウム)を利用して行う。地球と異なるのは、温度を高める方法として魔道コンロの高出力版を使うところにある。熱するだけであれば炭は不要なのだが、砂鉄から鉄を作る際に炭素を混ぜることで鉄になりやすくなるという効果があるため木炭は欠かせない。


「一日かけて、木炭と魔石を使って、これだけの量しか出来ないんだね」


「まあ試行錯誤していくしかないな。一応鉄は作れたから。鉄鉱石や石炭があれば良いのだろうけど、無いものは仕方が無い。気長にやっていこう」

 リルは出来た鉄の量にがっかりしていたが、ケンは諦めないように元気づけた。今回は約三十キロ

砂鉄から約四キロの鉄が手に入った。


「出来た鉄の質は悪く無さそうだし、鉄を活用する用途が出来れば、生産量を増やそう。とはいえ木炭だよなあ、木は貴重だから製鉄に使える木炭量を増やさないと量産は厳しいな」

 砂糖を作るのにも木炭を使うため、この村でも木は重要な資源であった。ケンは木炭を増やす、そのために木を増やす、植林を行う必要性を感じていた。


  :

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 トラタヌ村に居を構えてから約一か月ほど経過し、意思の疎通が若干出来るようになったので交渉を行い畑の開墾と新しい食物を育てる許可を得た。

 畑が増えると税金が増える。仮に収穫に失敗したとしても、紙の利益も見込めることから拡張しても大丈夫だろうと村長が判断した。隠畑(かくしばた)と勘違いされないように、隣町の役所に届け出も行う。ちなみに拡張後の最初の三年は無税となる。税収を増やすための方策であり、国、住民ともにWIN/WINとなる。ケン達は畑の半分にじゃがいもを植え、残りはサトウキビとトウモロコシをそれぞれ植えた。既存の食物を植えたのは肥料の効果を確認するためだ。


「よしじゃあ始めるぞ。 耕す」 

 ケンが魔法を唱えると地面が掘り返されて柔らかい状態になった。それを何度か繰り返して割り当ててもらった畑全体に行っていく。


『なんだ!? 地面が勝手に耕されたぞ。奇跡だ!』


『凄いな。ケンてアリスの従者じゃなくて、同じ立場なのでは? 誰だよウンコ漏らしって言ったの』

 作業の様子を見ていた虎系獣人達が驚き、感銘を受けていた。獣人達は肉体労働は得意で畑を耕すのも容易ではあるが、一気に数m四方を耕し、しかも歩いているだけで土地を耕していく姿は、とても人間とは思えない神秘的な力を感じさせた。


 魔物の骨を焼いて乾燥させてから砕く。これで三大絵要素の二つ、窒素とリン酸(多め)が含まれる。これに水を含めて細菌を増やして放置することでさらにリン酸を増やすことも可能だ。砂糖を煮詰めるために焼いた灰にはカリウムが含まれており、簡単に三つの栄養素が手に入った。散布した量や時期をメモして効果を確認していく。

 ゴブリンの肉も一部肥料に変える。ミンチにしたうえで、無属性魔法で魔力を通してから散布を行うと、作物に適度なストレスが与えられて成長速度が増す。肥料とセットで行うことで収穫までの期間が劇的に短くなる。


「じゃあ水を撒きますね」

 リルが畑に水を撒いていく、リルを中心に数m四方にシャワーのように水が降り注ぐ。あっという間に水撒きも終わった、


『リルも凄いな。水がどんどん出てくる。どうなっているんだ?』


『ああ。俺たちが同じことをしようと思ったら何度、溜池を往復する事になるやら。リルが居てくれたら日照りが続いても何とかなりそうだな』

 アリス、ケン、リル、それぞれが村の中で実力を認められた。


「ご苦労様、はいタオル」


「ありがとうございます。あっ…」

 リルはずぶ濡れになっており、ケンは空間収納から取り出したタオルを渡す。リルの服がうっすらと透けており、恥ずかしくなって思わず後ろに振り返って、受け取ったタオルで髪や体を拭く。ケンも「おっおう…」と言って背を向け頬を赤らめている。そして、それを見て焦るアリス。


 ちなみになるべく濡れないように水を撒くには、自分より少し離れた場所を起点として、そこから広げるように水を撒く。魔法の制御は自身から離れるほど困難になるため、ただの水なら濡れながら撒いた方が楽だし広範囲に早く撒けるのである。



 ケンは並行して植林も開始した。この村や国では、木は切るだけで自然に生えるのに任せていたため、木の本数がサトウキビ畑を作る頃と比較して少なくなってきていた。ケンは放置切り株の多さと若い木の少なさから、将来的に木が足りなく恐れを感じており、製鉄に廻すための木炭確保のためにも、こちらも早めに着手したい内容であった。

 木は魔素を生み出す重要な資源であり、ケン達の大陸では木の管理は重要な国家事業である。樵が騎士、文官と並んで重要視されているのはその表れだ。当然ケンも木については勉強を行っている。手始めに種集めと放置切り株の撤去を行っていく。


「これは収納、これはアリスお願い。これは虫がいるな、毒。これは収納」

 切り株を空間収納にしまう。生命力がある切り株は、アリスが斧で中心を傷つける。後で腐葉土をかぶせて腐らせてから撤去するつもりだ。虫が繁殖している切り株は、毒で虫を殺してから後で焼却処分する。


『切り株が消えてく! どうなってんるんだ。また消えた!』


『ケン凄いな!』

 ケンが空間収納に切り株を収納していく様子を見て、トラタヌ村の住人が驚く。物凄い速さで不要な切り株が集つまった。住人の手を借りつつ、切り株を適当な大きさに切り分け山積みにして行く。しばらく乾燥させた後、木炭に加工される予定だ。

やっと魔法制御の説明が出来ましたね。

明確には書いてこなかったけど、魔法の規模がしょぼい背景が説明された。

もちろん熟練度が増していけば大規模な魔法も唱えられます。

でも遠くに起点を設けるのは大変なので、威力上げ過ぎると自分まで

ダメージ受けると思う。

何でそんな制限掛けるかって? 戦略核兵器みたいな魔法がバンバン撃てたら

世界が滅びそうだから。

近くで生成した魔法を遠くに飛ばすことは出来る。例えば氷の矢を飛ばすとか。

でも遠くに飛ばすのも魔力使う。速度を出したあとは慣性?で飛ぶけど。


切り株を空間収納で保管するのは、有り無しで悩んだ。

有りにした場合、目に見えない範囲に根が生えている。

それが大部分を占めた場合、果たして空間収納が有効に機能するのだろうかと。

でも目に見えている部分で個体として認識出来ているし、収納出来ると思う。


となると、そうやって除去するのが効率良くなるし、運搬にも役立つから

樵の必須アイテムになりそうだな空間収納鞄。

でもそうなると木を倒さずにそのまま収納した方が効率良くなっちゃいそう。

一度に空間収納出来るサイズと重量が鞄に制限もあるのと、

生命力が一定量あるものは収納出来ないから生えたままでは無理。

その辺の説明も本文のどこかでするかな。


住人からケン、アリスと呼び捨てされるが、この村では

他の人を敬称で呼ぶことは根付いていないんだと思う。

領主様は、一単語みたいな感じで敬称とセットなんじゃないかな。

知らんけど。


税金と農作物の話が出たし、トラタヌ村に少し補足。

物語の中には出てきませんが、各家庭に隣接して作った家庭菜園は無税。

玉ねぎ、ニンジン、キャベツ、豆類とか、葉物野菜も作ってるよ。

だから何だと言われてもあれだけど。

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