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遭難から始まる国造り 魔法が使えるのは私たちだけ? 遭難して言葉も通じないけど何とかなりそう 120話保証  作者: ぐわじん
2章 新大陸

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02-07 トラタヌ村

『『『『『うまい!』』』』』

 ケン達やミケケとファーファが食べているのを見て、最終的に全員がカニの美味しさを理解することとなった。ケンはもう一つ魔道コンロを作成し、追加の足と甲羅も熱し始める。ピイーナもいつの間にか一緒になってカニを食べ始めている。カニは傷ついた心も癒してくれる魔法の食べ物なのかもしれない。


「みんな喜んでいるみたいだし、お近づきの挨拶としてカニをご馳走するのが良いかも知れないな。どう思うアリス、リル」


「良いんじゃない? 賛成! どうせ保管も難しいし食べれるときに食べるのが良いよ」


「私も賛成です」

 ケンの提案にアリスとリルも賛成した。ご馳走できる量を提供したいのだが、村への距離や村の住人の数も分からないため、ここで調理してから運べば良いのか、またどれだけ調理すれば良いかが分からない。


『あなた、ピイーナっていうの? どうして飛べるの?』

 ミケケがピイーナに質問し、それにピーナが答えていた。


「そう、わたしピイーナ。飛べるよ羽があるから」

 とはいえピイーナの声が聞こえるのはピイーナが話しかけている相手に限定されている。他の人は何と答えているかは分からない。ピイーナの会話方法は魔法の念話とは若干異なり、心と心を通わすようなものであり、言葉、言語に左右されずに会話することが可能であった。

 

「ピイーナ、村に住んでいる人数を聞けるか?」


「分かった、聞いてみる……………沢山いる」

 ケンがピイーナにお願いしてみたが、ピイーナには十以上の数は沢山のようで正確な数は答えられなかった。通訳するにしてもピーナが理解しているものしか伝えることが出来ず、正確な通訳は難しい状況であった。それでもコミュニケーションをとる切欠が出来た事は重要であり、僅かながらではあるが意思疎通が可能になった。



 村もそれほど遠くない事が分かり、ケンは足もあるだけ提供すればいいだろうと判断した。料理したものを運ぶよりも現地で調理した方が効率が良さそうなので全員で村に向かうことになった。道すがら互いに質問を繰り返すが、ピイーナには神の意味が分からず、ケン達が神様の使いであるかという質問には答えられなかった。


 村が見え始めた頃、ケン達はひそひそと確認しあった。村に囲いが無く、これで襲われないのかと心配になる。ケン達の住んでいる国、大陸では、最低でも村の周囲を塀で囲わないと魔物が襲って来る可能性があるため、どんな寒村でも囲いは必須である。

 村にはあまり大きな家は見当たらない状態で、村長宅や蔵などの建物だけが普通であり、ぱっと見では貧しい村なのかも知れないと、ケン達は思っていた。実際には家に拘らないため、雨露がしのげれば良し程度にしか感じていないため、簡素な作りとなっている。


 既に村には客をもてなすと伝えていたため、村の中心にほぼ全ての住人、ぱっと見、百~百五十人位の獣人が集まっていた。狸系獣人で村長のタヌチョウが代表して挨拶をする。


『このトラタヌ村の村長のタヌチョウだ。良く来てくれた歓迎する』


「タヌチョウ、良く来たって」


「あの人がタヌチョウで、良く来た」

 村長の言葉をピーナが翻訳し、それをケンからアリスとリルに伝える。しばらくやり取りをした後、許可を得て広場に魔導コンロと机を作成する。


「石、石、石、石」

『『なに!』』『『石が!!』』『『きゃあぁ!』』

 ケンが拠点で作製したのと同等の魔道コンロを二個と出来上がったものを載せるため机を二個作成した。そして急に地面から石の机のようなものが出る様子を見て驚く獣人達。


『『なんか出た! 急に出た!』』『『あれ物凄く美味しいらしいよ』』『『海の物は毒なんじゃないの?』』

 カニの足を取り出して並べていくと、更に驚きの声が聞こえてくる。ピーナを経由して熱いから危険と伝えたが、獣人の子供の一人が興味本位に石の熱せられている部分の近くを触ってしまった。


『熱い!! 痛いよー!!』

 虎系獣人の子供が泣きながら叫び、直ぐにリルが近づいて冷たい水を出して手を冷やし始めた。周りに集まる人をかき分け、アリスが治癒魔法を唱えてやけどを治療する。


『痛いのなおったー! ありがとうお姉ちゃん』

 焼けどを治療して貰った子供がアリスとリルに抱き着く。奇跡と思えるような光景を見て、獣人達は確信した、やはり神様の使いに違いないと。多くの獣人がその場でひれ伏し、理解できない子供も親や周囲の者に促されて、全員がアリスに敬意を払っていた。


「そんな、大袈裟だよ。あんな治療とも言えない程度なのに。でも、それほどでも有るかも? あっイタ」

 ケンは調子に乗りそうになってたアリスの肩を軽く叩いた。ケンはタヌチョウやタヌムスを無理矢理立たせて、気にしない様に伝えた。

 トラタヌ村からも猪肉やトウモロコシのスープなどが提供されて、ちょっとしたお祭りのような状況になってきた。桶に皮を張った太鼓のようなものを持ち出して、リズムよく叩き、それに合わせて踊り始める獣人達。


「こっちにも太鼓のような物があるんだな。じゃあ俺も」

 空間収納から樽型ゴーレムを取り出して、それを木の棒で叩き始める。即興で同じリズムを奏でるが、音が若干高くカカン、カカン、カンカカンと小気味いい音が響きだす。


『おお、あの楽器も良い音出すな』


『コンコンという高い音が良いよな』

 まさかの樽型ゴーレムが楽器として高評価であった。


「バチ貸して、私もやる!」

 アリスがバチを受け取り、樽をリズム良く叩き始める。途中途中でバチをクルクルと回したり体を横に回転させたり、音楽とは直接関係ないが魅せるアクションをすると、獣人達から歓声があがる。気を良くしたアリスは更に叩く速度を上げていき、超絶技巧を披露し、この日の主役として場を盛り上げた。ケン達はトラタヌ村の住人から受け入れられる土壌が出来たのであった。

アリスは体育会系ですね。あとノリも良いです。

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