04-28 対ライト王国05
前の話が少し短かったので、こちらも投稿しておきます。
ニバンとライトの間では緊張状態が続いていた。ウエライトとライトの間もアヘン酒の問題以降関係が悪化していた。ライト国は否定しているものの周辺国の評価は下がり続けており、ライトが行っていなくても何かあると真っ先にライトではないかと疑われるようになっていた。
ライトはそのような状況であるため、ニバン妨害工作は全て凍結されており自国の内政強化に注力していた。ニバンへの妨害工作による利益も殆どなく、支出を極力削減し、それでも賄えないため増税に踏み切った。
「これ以上税金で巻き上げられたら、もう生きていけねー。死ねと言っているのか」
「そうだ! そうだ! 一揆だ一揆!」
「領主の館を襲うぞ! 取り立てられた年貢を回収するんだ!」
農民の一部は暴徒化し、領主の館を襲って略奪をする事例が散見されるようになった。国としては黙って見過ごす訳にはいかず、討伐の軍勢を送り反乱した住民の一部を見せしめとして殺し、残りは奴隷階級に落とした。
複数の街や村で反乱がおきたが、見せしめの効果によって、それ以上の反乱は起きなかったものの、住民の間では不満が鬱積していた。
「こんなことなら、ニバンの住民になっていれば良かった」
「その通りだ。なんでライトに戻ったんだよ」
「お前だってあの時は反対しなかったじゃねーか」
「あんときは仕方ねーだろ。はあ、もう逃げ出すか、ニバンに行こう」
「いやでも、ニバンは受け入れないと言ってたからな。無理じゃないか?」
「国境は封鎖していると聞いてるし、入れないんじゃないか」
「それに途中で捕まって、奴隷階級に落とされるかも知れないぞ」
「今の環境と奴隷環境そんなに違いがあるのか? もう絶望しかないだろ!」
「俺、ニバンに行ってみるよ。受け入れている貰えるか聞いてみる!」
「仮に受け入れて貰えるとなっても、移動中に絶対捕まるだろ」
「じゃ俺は隣村にも声を掛けるわ。お前はあっちの村に連絡してくれ」
少数では兵士に止められてしまうかも知れないが、大勢であれば簡単には止められないはずと考え、周辺の村々に離脱の声が掛けられていった。
しばらくして、ニバンの国境の町ナーリタの近くの関所に難民が押し寄せたが、全て追い返されていた。一部には森を抜けてニバン国内に入り込むものも出始めたが見つけ次第ライト側に追い返した。
追い返されたとしてもライトには既に居場所はなく、仕事もないため、他者から奪うしかない。ナーリタを含む周辺の地域では犯罪率が上昇して大きな問題になり始めていた。
ニバン王城では難民への対策会議が開かれていた。
「農作物が荒らされたり、盗賊化することで物流に影響や住民に人的被害も出始めております」
「受け入れた方が良いんじゃないの? 人口は急に増えないし盗賊が増えるよりも住民が増えた方が良いんじゃない」
アリスは受け入れの方針を提案した。
「受け入れればライトとの関係が更に悪化するだろう。最悪戦争だぞ。いずれ攻めようとは思っていたから多少早くなるのは構わないがそれでも、レフートやオオキナウエーノから攻められた際に対応出来るように、軍を大きく二つに分けなければならないぞ」
ケンはまだ軍備が完全ではないため、もう少し慎重に事を進めたかった。
「レフートやヒダリオーク、オオキナウエーノとは関係が改善しつつあるのですし、攻め込まないようにお願いするのはいかがでしょうか。何かしらのメリットがあれば聞き入れてくれるかも知れません。例えば賠償金の支払いを減額するとか」
カステラが外交による分断を提案した。
「そんなにすぐに攻め込むための兵や兵糧を用意して行軍なんて出来ないんだし、少数精鋭で攻め込んでライトを滅ぼしちゃえば。私が行ってくるよ。急に攻められたら対処が難しいしね。
その分兵士を北西や北東に集めておけば簡単に侵攻される事もないし、ライトは疲弊しているだろうし、戦意も低いだろうから行けるんじゃない? 難民は受け入れて占領した街の住民も受け入れて、戦う奴だけ倒しちゃえばいいでしょ」
アリスは楽観的ではあるが周囲の準備が整うまでに速攻で対応しようと提案した。
「速攻か…準備が整うまでに倒す…まあそうだな良いかも知れない。俺も参戦しよう。一気に片付けてやる。ただ俺がニバンに残っている、例えば北西の軍を指揮しているとかそんな情報を流して簡単には攻め込まれないようしておきたい。リルには影武者として俺の代わりに魔法を使ってくれ。水を出したり炎を出したりして。他にも数名の影武者を用意してくれ。それぞれに火や水を出す魔道具を配備するから俺のふりをしてくれ。一般の兵士は俺とは戦いたくないはずだ」
「でも、攻め込んだら他の四か国から攻め込まれる大義名分を与えてしまうことになります。簡単には攻め込まれないかも知れませんが、こちらもライトに攻め込む理由が必要では?」
カステラは慎重に事を運ぶべきだと考えていた。
「そうだな。だからライトから攻め込んでもらう事にする」
ケンはそう宣言し、室内が少しざわついた。




