04-26 子供達
少し短かったので、もう一話公開しました。
アリスが出産した女の子はアレクサンドリア、リルが出産した女の子はフィオヌアラと名付けられた。アレクサンドリアの方が先に生まれたので長女である。王位継承者の順序は新生ニバン国では定まっていない。
この辺りの国では長男が継ぐのが一般的ではあるが、別に長女や次女が継いだことが無いわけでもなく明確に定まっていない。そもそも国が何十世代も続くことが稀であり、必ずしも男性が生まれるとも限らないため、その時その時で最適な者が選ばれた。まだ一歳八か月であり、成人するかも分からない状態で王位継承権を話題にすることもなかった。
「マンマ、ニク」
「良い子ねアレク、はい筋肉だよ」
娘にせがまれたので直ぐに腕を捲って、上腕二頭筋に力こぶを作って見せる。アレク(アレクサンドリアの愛称)はきゃっきゃと喜んでいた。
「本当にアリスの娘って感じがするわ」
リルはあきれながら我が子ヌアラ(フィオヌアラの愛称)を抱いている。それぞれの子供は母親の影響を受けているのか髪の色も母と同じであった。
「ママ、カンカン」
「あらヌアラ、カンカン見たいの? 熱いから遠くからね」
ヌアラは鍛冶仕事に興味があるらしく、いつもリルの鍛冶を喜んでみている。
「アリス様、そろそろ」
アリスは神官の服を着た者に声を掛けられた。ポンポ様の教えを広めるため、教会で神の言葉を伝える予定であった。アリスはアレクを乳母に預けて教会に向かった。
教会の周りには多くの信者で溢れかえっており、教会に入りきれない状況であった。馬車が通る場所を兵士が確保しており、信者の間を通り抜けていく。信者達はその馬車を見ただけで歓声を上げる。
そして人込みを避けて教会の裏に廻り祭壇に向かう。教会内に居た信者はアリスが見えたことで歓声が沸き起った。
「アリス様!」「素敵!」「ああ!」「神様!」
大きな歓声が続くがアリスが手を挙げると少しずつ静かになっていった。
「ポンポ様のお言葉を伝えます。現状維持と思っていても、それより進んで行く気持ちで行かないと現状維持は出来ません。常に努力をしていないとそれは衰退を意味します」
「おおお」「ありがたや」「深い」「さすがポンポ様のお言葉や」
皆、アリスの説教を聞いて感心していた。しばらく説教が続いた後、アリスによる癒しの奇跡が行われる。
怪我をした者が鉄格子越しにアリスの前に座り、そこに治癒魔法をかけていく。大都市の場合ポーションが怪我人全員には行き渡らない。そこで説教の後はアリスによる治癒魔法で信者に対して治療を行っていた。
「怪我が治ったぞ! ポンポ様ありがとうございます。アリス様ありがとうございます」
「痛みが無くなった! 傷跡も目立たなくなった! 凄い! ありがとうございます」
「アリス様!」「神様!」「素敵!」「筋肉!」
怪我が治る様を見て、皆より一層アリスを尊敬し褒めたたえた。ニバン国内ではケンの人気がダントツ一位であるが、アリスもケンの正妻であり、治癒魔法の使い手で、かつポンポ様の教皇であるためケンにつぐ人気があった。ポンポ教のなかでも、元々サンフラワー派は人民の救済に力を入れている教派であり、民衆からも分かりやすい恩恵が与えられることで信者が急速に増えていった。
ポンポ教はニバン国内だけではなく周辺の国にも広まっている。体に良い食事について書かれた用紙は周辺国にも伝わっており、裏面に掛かれたポンポ様の教えも同時に伝わっていた。疫病から命を救ってくれたかも知れない情報への感謝は、ポンポ様への感謝にも一部繋がっていた。
またアリスが起こした数々の奇跡は、噂話として数多く広まっていた。結果、ポンポ教の信徒は凄い勢いで増えていった。
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