永遠に切れることのない絆
「君と僕との契約は他と違って魂で結ばれているからね。大事な主様が助けを呼ぶなら今回僕が応えるのは当然のことだったんだよ」
「──魂で結ばれている契約?」
とりあえずと話を聞いてみれば、あれ?そんな設定あったっけ?と思わず首を傾げたくなる返答が返ってきた。
普通の契約と変わらないはずなんだけど、どういう事?
「どうやら当時は分かっていなかったみたいだけど、君は別の世界の魂が転生したようだったから通常の名によって結ばれる契約は上手くいかなかったみたいなんだ。で、それよりも深い部分で繋がる魂で結ばれた契約になったわけ」
「…知らなかったんだけど?」
「ある意味偶然だったからね。でもだからこうして君が違う世界に転生しても追ってこれたんだよ」
「つまり私が死んで生まれ変わっても、契約はそのまま引き継がれる?」
「うん!そうだよ、駄目だった?」
さらっと疑問に答えてくれたのはいいけど、いいとか駄目とかそんな簡単な問題じゃないんだろうか。
そんな話、元の世界でも聞いたこともないし。
私が生まれ変わっても契約はそのままってことは、それってつまり──。
「ずっと、リュカを契約で縛ってる事になるんじゃあ……?」
私は繋がってるままでも全然問題ない。だけど、そうなるとリュカはどうなるの?
いや、それで今回助かりそうなんだけど、でもそれだとリュカはずっとずっと私の喚び出しに応えなくちゃいけない。
前の世界では相棒がいるのが当たり前すぎてリュカ側の都合を考えたことなかったけど、もしかして召喚された側からしたら元居た世界から召喚されるってことで、契約すると自由がなくなるのと同じことなんじゃない?そうなるとリュカは死ぬまで永遠に私に縛られたまま?
いいや、ここはリュカを縛らないように私が喚び出さないようにすればいいんじゃないか?それか、契約自体を変更して──と、ここでリュカに頭を叩かれた。器用に前足で。
くそっ、どっから見ても可愛い。
「ぐだぐだ何を考えているかは見れば分かるけど、僕は君と契約してるの別に嫌じゃないんだからね?」
下から覗き込まれて上目遣い。
はい、可愛いー。何それ、なんのご褒美か。
罪悪感が一瞬だけ霧散して、思わず胸がきゅんってなりそうだった。だがしかし、霧散させるわけにもいかない。
だってリュカと私にとってこれはとっても大事なことだから──と、今度はここでポンポンと頭をなでられた。勿論器用に前足で。だから可愛いって!!
「君が主だと言っても、契約は対等に交わされたもの。嫌だったら君の声に応じてない」
「いや、でも」
見透かされてるなと思いつつ反論しようとしたら、びしっと尻尾が床をたたいた。
「僕が応えたかったから、今僕はここにいる。いいかい?君はもっと僕に大事にされてるって自覚した方がいい」
分かった?とでも言いたそうな表情に、陥落するしかありません。
座っていながらも、思わず崩れ落ちた。
完全に返す言葉もない。ありがとうございます。相棒にここまで言われて、否定の言葉なんて出てくるわけない。ほんとにもう!私の相棒最高すぎる!!
ということで、私は欲望のまま再び相棒に思いっきり抱き付いた。
喜んでばかりいられない状況のはずなのに、ただただ幸せを感じるってどういう事だろうか。
「後は制限についてだけど」
「そうそう、それって幻覚魔法とか使える魔法の長さとか違うのと関係があるの?」
「前の世界では喚び出される時に力の制限がかかっていたんだ。その制限される力によって神級とか上級ってクラスに分かれたと思うんだけど、もともと持っている力が強い方があの世界は制限が強くなるんだ。つまり前回の世界での下級クラスが本当は実力もあるタイプでね。この世界ではそういう制限が無いから僕も大体上級から神級クラスの力がそのまま使えるってことさ」
つまり制限されてないから尻尾は九本で、本来の力が発揮できるということらしい。
この説明で色々と常識がぐるぐるした気もするけど、ニッコリいい笑顔をリュカが浮かべているので、まあなんでもありだと思うことにした。