船員さんの城下町見学!
「コアン、……いる?」
控えめにドアをノック。
「いーるよー!」
「わっ!!」
突然後ろから声がしたので思わず肩がびくっとはねる。
「ちょっと、急に来ないでよ!……って何そのでかい金庫……」
コアン、金庫破りでもしたのかな?
冗談はさておき、やっぱり分かってたのか!さすが。
「解析の終わってない地図取り返してきたぞ!いい値で売れた。部分だけどな。」
コアンがはっはっはーとふんぞり返る。
「ヌシを倒したポイントも教えてないし、戦争は無理だ。それに、今俺らが持ってるもので、金になるのは情報だけ――そうだろ?」
やっぱりコアンはすごい。私と考えがぴたりと合って、しかも行動に移している。
「そう、貸し借りの関係は危険。ってことね。」
私たちはぱんっとハイタッチ。
「じゃあさ、午後からちょっとだけ持って、城下町行ってきてもいい??」
もうわくわくする!こういうどろどろしたことから解放されたい!!
うん、ほんっとにわくわくする。所詮国事情なんて知らない方が幸せなのだ。
「ああ、いいよ。っと、一人頭いくらぐらい配分しようかな……一人一万カインぐらいかなあ。」
とコアンは金庫から金貨を何枚かつかみだして、私の手の上に乗せる。
そして、そのまま部屋に入ろうとするので、私は慌てていった。
「その金庫、どうしたの?」
コアンは心配ないというように手を振った。
「数字錠は付けてあるし、手出しできないよ。ピッキングなんかされようものなら、この国の技術そのものを疑うと言ってある。」
やっぱりコアンはすごい。私が言おうとしたことを、言わずもがな、答えてくれた。
あっ、早くこの金貨渡さないと!
私はいそいそと部屋へ戻った。
「おーい、ニーナ、ミガン!解決解決!」
かちゃっとドアを開けるなり私は言った。
「やったー!これで観光行けるじゃない!」
ミガンはまだ何も言ってないのに、手の上の金貨を二枚とると、大切そうに小さなショルダーバックに入れて、チャックを閉める。
「はい、ニーナ。コアンが地図情報を売ってお金を得てくれたわよ。んじゃまあ、昼から行く?」
「うん!!」
ニーナまではしゃいだ顔でポシェットに金貨を入れる。
さてっ!陛下にもらった地図もあることだし、行きますか―!
「ルーリー様、昼ごはんはこちらでお食べになりますか?」
そうだね、昼ごはんは食べていこう。
というか気配を消していつの間にか横にいるイケメン執事さんにびっくりです。
「ニーナ、ミガン、それでいいよね?」
二人は心ここにあらずという感じでこくこくと頷く。
さて、コアン達にも伝えるか。
「おーい、こあーん!」
内線電話。線でつながっているのが印象的ー。まあ糸電話だな。
「ほいほい。なんだー。」
コアンが電話をとった。
「えっと、昼食食べてから城下町行こう。んで、日が暮れたら帰ってくる、でいいよね?」
一息にいって、反応をうかがう。
「ああ、おっけー。んじゃ、昼食べるか!」
コアンが笑ったのが、電話越しでもわかった。嬉しそうだ。
ちなみに、昼ごはんはすっごく美味しかった。いやー、こんな食事が続いたら、次遭難した時野生植物なんか多分食べれないなー……はは。
「あー!いい空気だー!!」
ニーナは思いっ切り深呼吸。
「んじゃあ、ニーナはどこ行く?ミガンは?」
私は二人を見比べる。
ここは城の前の公園。子供連れがかわいらしい。
「私はー……まあとりあえずみんな離れない?今日は個別探索ということで。迷ったときは城の塔が目印!ね?」
ニーナがてきぱきと必要なことを伝えて、私たちはばらばらに散っていった。
しばらく歩くと、かわいらしい雑貨屋さんが目についた。
うん、素敵だ―!いいねー!
綺麗なガラス玉をゴムに通したものが売っている。
「とりあえず財布、買おっかな。」
私は、綺麗な柄の付いた、すべすべの財布を手に取って、レジらしきところへ向かう。
「!”$$#%(#)”#$?」
ああ、言葉が分からない。
財布を指さして、自分を指さして、金貨を一枚、差し出す。
「#”<、#”<。」
店員さんがこくこくと頷いて、銀貨と銅貨を返してくれたので、頭を下げて財布を受け取ってその中に入れる。
「ありがとうございます!!」
値段、見てなかったけどわかんないな……えっと、せん、せん?かなあ。ゼロがいちにい、さん。
まあいいや。さてっと。もうちょっと歩こうかなー!
目についた雑貨屋さんを物色、物色、物色!
この布は、なんていう素材だろ?すべすべー!
言葉を聞くうちに、それがオッケーのサインだということが少しずつ分かってきた。
{分かった、持って行ってくれ。}
だんだんと反応もできるようになった。
途中、本屋で子供用の言語学が売っていたので買ってみた。
「ほうほう、これはこういう意味なのね。ってことはこうかなあ?」
道行く人の発音に照らし合わせて、時には聞きながら考える。
{いいでしょうか、あの、これを読み上げてもらっても?}
たどたどしい言葉で話しかけたのに、この国の人はみんな優しい。
貿易、考えてもいいと思うけど……。
ふいに低いバリトンの声がよみがえる。
『この国との貿易は、慎重に考えた方がいい。』
ちらりと笑みがひらめく。
きっと何かやはりあるんだ。
(これは、探るためのもの――)
私は、少しずつ人気のない暗い方へ入って、話を聞いていく。
{私はよくわからないのですが、どう思いますか、この国のことを、}
そういうと、大半の人がいい国だと答えた。
でも、少しずつ差別が大きいという声が出てきた。
一人、スリをしようとした少年がいた。
{だめ}
私はぱしっと少年の手をつかむ。
{この国はひどい!王族は冷たいし、自分さえよければそれでいいと思ってるんだよ!}
少年は涙目になると、たっと走っていった。
やはり、この国には裏があった――。
……怖いな。
日がゆっくりと落ちてきたので、私は塔に向かって足を進めた。
途中でミガンとニーナに会った。
「どうだった?」
「いんじゃないかなー。でも、スラムの方はきついみたい。いろいろだね。」
ミガンは全身に新しく買ったのであろう布やいろいろなものをまとって言いました。
ふーん。
まあ、今日は半日だし、明日もここへ来よう。
私はそのまま城に入って、しっかりと今日見たことをノートに記したのだった。
読んでくださりありがとうございます。良ければ評価、ブクマお願いします。
次回はミガンの恋、並列してニーナの続きもかこうかと。しばらくいろんな視点が混じりますが、タイトルで区別してください。




