船員さんは上陸します!
第二章開幕!二章の舞台は、新大陸です!
やがて、陸が鮮明に見えてきた。美しい建造物が林のように立っている。
「コアン、これって……」
とりあえず、どうしよう。あああああ、この先のプランなんもねえええええ!
あれ?
私は見える風景に違和感を覚える。
ただの砂浜?
港があるわけでもなく、海水浴場なわけでもなく。
ただの砂浜。
それは、私たちの国、レストン国ではとても異常なことだ。なんせ小さな島国だから、使えるところは使って頑張って豊かにしよう!的な……。
何もない砂浜……異常だ。
「なんで何もないの?」
おそらく全員が思っているであろう言葉を、ミガンが代弁する。
「多分、こっち方向からは何も来ないからでしょうね……」
ニーナがあごに手を当てて仮説を立てる。
「こっちは、怪獣がいるだけ。国があったとしても、近寄れない。だから、危険になるような海水浴場は作らない。意味がないから、港も作らない。ってな感じかなあ。」
ふーむ。一理あるね。
とりあえず、何もない砂浜に船を止める。
錨をおろして固定。
あれ?
「コアン、あれ。住民が見てる……」
美しい絹の着物をきた住民が、こちらを指さして何かしゃべっている。
「本当だ。あれ?なんか兵士みたいな人が……」
オルカットがまずいな……という風に唇をひん曲げる。
「友好的だということを示すために、船から降りよう。」
「ええ!?攻撃でもされたらどうするの!?」
「大丈夫、彼らの方が戸惑っている。」
言われてみれば、あわあわと口が震えている。
「ラネ!カッセニョン!」(降りて来い!抵抗するな!)
何か知らない言語で叫ばれている。
「なんて言ってんだ、お前ら。」
あーあとオルカットがイライラをあらわにしつつも船から降りる。
「おい、バイリンガル!」
ミガンが急に呼ばれて、
「はあ!?いや無理やろ!でもまって……ラネ……ノンナン語で降りろ…… 」
何やら考えている。
ノンナンというのは、我が国から見て東にある、宗教国家。なかなか頭が固くて、一時期ノンナンを抜けて西にある大陸に行こうという案もあったそうだけど、全く持って受け入れられなかった。それどころか、高い対価を要求された。やむなく我々は、ヌシを突破しないといけなくなってしまった……というわけ。
もしかしたら、あいつらはこの国との貿易で自分たちだけ甘い汁を吸っていたのかもしれない。だとしたら、ノンナン語が通じる可能性もあるというわけだ。
「ロノ、ランニャンセ。」(怪しいものではありません。)
ミガンが一言見知らぬ言語を言った。
「ユ?」(は?)
兵士たちがふいに早口。
「ロイット、メイカット!?」(言葉通じねえのか!?)
「ランニャット、ソトイム、メッカリック!」(通訳、とかいねえのかよ!くっそ!)
「レンックネイカ、メニックソイ。」(いるわけないじゃん、幻の“向こう側”から来たんだぜ!)
「ヨゥ……」(そうだよな……)
「ええっと、あのさあ、一個方法はあるんだけど、やってみようか?」
「おっけ、やってよニーナ!」
「だれかメモ帳持ってる?」
はーい。
ニーナにメモ帳を手渡すと、ぐっちゃぐちゃなものを何かメモ帳に書いて、兵士に見せた。
兵士は身動きをやめて、はたとみた。
「ヨイ、クロノッセン?」(なんだ、これは?)
ニーナは満足顔。
「よい、くろのっせん??」
そういってニーナは遠くに見える山を指さした。
「ライット?」(山?)
そしてニーナは、カリカリとメモ帳に『らいっと=山』と刻んだ。
「この方法で、翻訳できるわよ!単語拾いの方法!」
めんどくさいわ。でもそれしか方法ないっぽいよね……。
「あーーーっ!」
ミガンがふいに大声を出した。
「わかった!この言葉、ノンナン国の少数民族の、海の民の言葉だわ!!」
海の民……
何それカッコいい!!
「海の民って、放浪民族で、でっかいノンナンの草原とかで狩りをせず、海で過ごしてて、独自の言語を話すっていうよね。でも何でそんなの知ってるのミガン?」
「それはどうでもいい!あのね、海の民っていうのは、山とか、陸地に関するものの単語は短いの!そういう特徴があるのよ。ねえ、お二人さん、ヨイ、クロノッセン?」
そういってミガンは海を指さした。
半信半疑で、兵士を見ると、
「ラ・ベイット・ソトヌ・レイカ?」(我々たちの恵の原のこと?)
「ほら!」
勝ち誇ったようにミガンが言った。
ほんとだ!ここの国って、そんな独自の言葉、離すの!?
「でも、普段は違う言葉使ってるみたい。伝統的な言葉なのね。だって、さっき言いあってた時のは海の民の言葉じゃなかったもの。もしかしたら、多言語国なのかも。」
まあそんなことはどうでもいいんだ。
「ミガン、じゃあ翻訳してね!」
※以後、海の民の言葉は普通に書きます。
「えっと、怪しいものではありません!私たちは東の国から来ました。貿易をさせてください!」
ざわっと兵士さんがビビった顔をする。
「!!Y&))*>~*?>~}|=!!]」(あの怪獣を倒したってのか!?)
よほど慌てているのか、ちんぷんかんぷんな(たぶん)この国の言語が飛び出す。
「!”$&’%&#(*+‘?_L!?」(こいつら化けもんじゃね!?)
「ええっと、とにかくこの国のトップのお方に会わせてください!」
ミガンが焦ってる。さて、どうする。
「!”ER)~-^:;.\\[;/\/.,@]!!」(なんだって!あのお方に!?)
「っしょ、証拠は?あんたらが敵じゃないっていう……」
ええーーー?あまあそうなるよね普通……うーん……
「ええっと……」
腰から地図を取り出して、見せる。
ミガンに翻訳してもらいつつ、私たちがどこから来たのかなどを教えてみる。
「何!それはまことか!!――ちょっとこの地図もらうね。帝王様にみせて、判断する。」 えー。なんか、前途多難っぽい雰囲気かなぁ……??
「これはこれは、ようこそ!れすとん国よりの客人。」
発音がちがーう!まあいいか。
「わが国に有益な地図情報をありがとう。ノンナンの奴らは、頑として西の情報を教えないのでな。」
今の状況。帝王様の真ん前にひざまずいてるという……。
帝王様は、ヨーゼフという名前で、めっちゃ美形。カッコいいいいいと思ったら、53歳と自己紹介された。どうやったらそんなふうに老いないんすか!おいい!ダンディすぎだろ!
詐欺だろ!
とまあ、それで、奥様子供も美人美人。
これで性格悪かったら最悪……と思ってたら、ヨーゼフ様がなんと!お城にとまっていいとのこと!しかも、城下町の見学なんかもしていいらしい。そのうえで、貿易うんぬんかんぬんを決めてくださいってなことだ。
まあ奥様と子供とは一言もしゃべってない。子供は、同い年ぐらいで、名前はライメというらしい。ほー。一人娘だって。
いろんな話は、ぜーんぶコアンが受け持ってくれた。すげえ。
「では、部屋に帰ってゆるりと過ごされよ。何かあれば召使に言いつけてもらって構わぬ。」
終わった――――!
解放だー!
私は、ニーナ、ミガンと相部屋。部屋は、これもう一生住めるってぐらいの豪華さで、召使さんはイケメンの執事だった。
もしかして向こうはメイド……いやああああああ!
しかものしかも!しゃあんでりあ!シャンデリアですよ!すごすぎ!ずるい!
「経済力なら、うちより上ね。」
ニーナがほうとため息をもらした――瞬間。
「あーったりまえですわ~!」
漫画のように高笑いするお姫様の姿があった。ライメ……さん?何があったの?
未知の言語を理解する方法は、ググりました(笑)皆さんもやってみれば……デキネエヨ!
読んでくださりありがとうございます!良ければ評価、ブクマお願いします。




