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船長、陸が見えましたっ!  作者: えくれあ。
海上の冒険譚編
14/32

船員さんは狩りをします!

今回かなり長めとなります。もうちょっとでクライマックス……!!刮目して見よ!(笑)

気づけば、朝だった。

 「もうっ、アディナったら、起きて!」

 「んふぁあああ……ニーナ!?今何時!?」

 「時刻はわかんないけど、日が昇ってるわ よ。朝ごはんも出来てるわ。早く着替えて!」


 ニーナに怒られる。初めてだ。いつもは私の方が起きるのが早いのに。というか、オフィスに行くのは私がいつも一番だ。

 慌てて船員の制服を着る。


 昨日と同じような食事を食べる。


 「みんなー、聞いてくれ。」

 コアンががぶりと水を飲んでから言った。

 「今日は、あの作戦のための準備をする。 俺とオルカットでエンジンの修理をするから、みんなは水と食料を集めてくれ。」


 「はーい!」

 にかっと笑ってミガンが返事をする。


 「一つしつもーん!」

 ニーナが手を上げる。

 「はい。」


 「えっと、それだけだったら今日はもっとできることあるんじゃないかな?」

 「うん、そこで午後は、大砲の玉の整備とか、あと泳ぐ練習をする。」


 「はーい!」

 ニーナも返事をする。 

 「コアンは、潜るの大丈夫?エンジン、水につかってるよ。」

 私がもう一つ気になっていたことを聞く。


 「ああ、心配ない。水は昨日掃除の時に抜いたからな。ショートしてるかもしれないが、こちらは大丈夫だから、みんな、今日も頑張れよ!!」


 コアンが親指を突き出して答える。

 最後の干し肉を飲み込む。ご馳走様~。


 「食料は食料でも、肉はいいからな。無理すんなよ。」

コアンが冗談めかして言う。

 オルカットが初めて口をひらき、やはり冗談めかして

 「まあ、ミガンは強いからな、体当たりでイノシシに勝てるんじゃないか?」

 にやにやという。


 「もーっっ、ばかー!」

 だんっとミガンが机をたたく。こういうやり取りはいつものことだが、なぜか今回のことはミガンの逆鱗に触れたようだ。


 危険信号を察した私たちが止める前に、調子に乗ったオルカットがさらに、

 「男顔負けの強さ!だもんな~?」

 とからかうのでミガンは、下を向いてふるふると震えてから、


 どっだあああん!

 本当に机を叩き壊しそうな勢いで机をたたく。からららんと器が音を立てる。

 「こうなったら本当に取ってきてやるんだからねっ!」

 お皿を脅威の速度で片付けて、ミガンがずんずんと大股に出ていく。

 「いやいやいやっ!危ないから!やめろよ~!!」

 焦ったようにコアンが言ったあと、お前のせいだといわんばかりにオルカットをにらむ。


 「オルカット~~~!?」

 「いや分かったよ、ごめん!まあそんな危険なことしないだろ、さすがのミガンも。」

 引きつり笑いを顔に張り付けて、オルカットが言う。とはいえだめだろ、こんな無人島で女性一人で狩りは。


 「っと、やばい!ミガ~~ン!!」

 慌てて私とニーナも食器を片付けてミガンを追いかける。

 「「ミガ~~ン!」」


 早まっちゃだめだ~~!全力で走る。

 急いでミガンのところへ駆けつけると、満面の笑みでミガンが言う。

 「はいっ、槍!野生動物に出くわしたらブッ刺そうね!」


 これはイカン……ミガンが笑顔のままで口が悪くなるのは、かなりやばい証拠だ…… 

 渡された槍は、先がぴんぴんにとがっている。

 「あ、あはは……っそ、そうだね。」

 さっきのオルカットもかくやというような引きつり笑いが顔に張り付く。いやダメだ、ちゃんと笑わなくては……


 「んじゃ、行こうか!」

 ミガンが張り切って森へ一歩踏み出す。

 「ニーナッ、どうしよ?」

 こそこそとニーナに言う。

 「落ち着くのを待って……無茶しそうになったら、私たちが止めよう!」

 「何話してるの~?」


 視界ににゅうっとミガンの顔が出てきたから、思わずのけぞる。

 「水のツボ持った、空のリュックも持った、これで万全だねって。」

 ニーナがごまかす。

 「そっか!」


 ミガンが先頭に立ってざくざくとサバイバルナイフで道を開いていく。

 「ふう。」


 ミガンが激怒したら怖いからね……

 そんなことを考えていたら、ミガンの歩が止まった。

 「出たっ!」


 短く叫んで、腰を下げる。

 その視線の先を見ると、

 「いっ、いきなりイノシシだと~~!?」


 叫んだらバレる!まだこっちには気付いていないようなので、心の中で叫ぶ。

 すたたたたたっ!

 忍者もかくやの速度で、音を立てずにミガンが特攻する。

 「あああああ!」


 声にならない叫びをあげて、やむなく加勢する。

 「ていやっ」

 ミガンが的確に目にやりを刺す。ううう、かわいそうだよお……


 やりは大きくて扱いにくいので、仕方なくサバイバルナイフを右手に持つ。

 眼をつぶされたイノシシは、怒り狂って暴れまわる。

 ごめんなさいっ……

 素早く首に一撃。

 実践は初めてだけれど、一応訓練は受けている。


 「てやあああっ!」

 ミガンが再び槍を振り上げ、イノシシの心臓まで貫いた。骨と肉を貫通して、心臓に届く。

 どおっ……

 音を立てて、イノシシが倒れた。

 私は唇をかむ。


 「この場で解体しないとっ!」

 ミガンが素早くイノシシを解体する。

 ただの肉になったイノシシを、準備良く持ってきていた袋に入れる。二重、三重に袋に入れる。血が漏れることを心配してだろう。


 「あっ、あのフルーツおいしそう!」

 まるで何事もなかったのように、ミガンが再度森を歩きだす。

 倒されてしまったイノシシに手を合わせてから、ミガンの見つけたフルーツをポイポイとリュックサックに入れていく。


 「あとは水だね。」

 リュックいっぱいにフルーツが集まったとき、ミガンが言った。

 うーん。水ねえ。

 そんなことを考えていると、すぐそばに竹林が見えてきた。

 「あっ、ラッキー!」

 ニーナが万歳の格好でいう。

 「確か竹の中には水が入ってるんだよ。わかして集めよう。」


 そういって、竹に耳を当てる。ちゃぷちゃぷと音でもしたのか、サバイバルナイフでスパーっと竹を伐る。狙いたがわず、中から水が出てきた。

 慌てて水用の器を差し出す。


 ミガンが火打石をつかって、そこらの木の枝に火をつける。


 私も石を積み重ねて、簡易かまどを作る。

 水をセットして、ぐつぐつ。


 聞く。伐る。沸かす。聞く。伐る、沸かす……

 やがて、バケツ一杯分の安全な水が集まった。


 「よし、帰ろう……」

 そうニーナが言った時には、太陽が真上にきていた。

 来た道をたどって帰る。その道だけきれいに草が刈られているので、一目瞭然だ。


 「ただいま~!」

 船の外で待っていたコアンの声をかける。

 「おう、おかえり!エンジンの修理、終わったぞ!」


 時間が余ったのか、船のはがれていた板も治っている。船がピカピカ光っているようだ。

 「おい、ミガン!」

 オルカットがミガンに声をかける。


 ミガンは、また悪口でも言われるのではないかと身構えている。

 どうしよう、また喧嘩になってしまう……

 「その……ひどいこと言って、悪かったな。あんまり……無茶すんなよ!」

 あっけにとられているミガンの方を一切見ず、


 「飯だ飯だ!昼飯!」

 すたすたと食堂の方へ歩いていく。

 私は思わずくすっと笑ってしまう。オルカットがあんな風に言うなんて、初めてだ。きっと今まで心配して、外で待ってたんだろう。


 「ちょちょっ、ちょっと待って!」

 オルカットが、壊れかけた機械のように振り向く。

 ミガンが本気でおどろいたように言う。


 「まさか、心配してくれたの?」

 「普段心配しない男で悪かったな!」

 ぶっきらぼうにオルカットが言う。

 「ちっ、違うわよ!そんなんじゃなくて、……はいこれ!」

 ミガンが渡したのは、取ったイノシシだった。

 「全然いいわよ。体当たりじゃないけど、あたし、イノシシに勝てるから。」

 今度はオルカットが驚く番だった。


 「お、おう?ありがとな。」

 戸惑いながらもきちんとお礼を言うオルカット。あれは多分、ミガン流の慰めなんだろうな……。

 二人は食堂へ入っていく。


 びっくりだ。あの二人、まさかそういう(・・・・)関係なのかな。

 「あ~~~おなかすいたあ。早く食べよっ」 

 立ちんぼうしていた私たちにニーナが言う。 コアンが、我に返ったように歩き出す。

 慌てて一番後ろから食堂へ向かう。

 「あっと、ついでに食料ももう積み込んでおかないとね。」


 ミガンが置きっぱなしにしていった食料と水ももれなく持ち運ぶ。イノシシはもう持って行ってくれた。


 「じゃじゃーん!今日はイノシシの焼き肉だよ!」

 食堂に入るとミガンが血まみれの袋を取り出して言っていた。


 「ううう……」

 気持ち悪いよ~。よく平気で持てるよね。


 「焼けるまで野菜食べててね~。」

 拾ってきた木に火打石で火を付けて焼くっ!塩も振りかける。これ、完全にバーベキュー。

 「あ~!いい香り~。」


 あのイノシシだとわかっていても食欲はある。

 「早く早く!」


 イノシシ肉の焼ける音がするもので、つい焦る。野菜もなんだかおいしく感じてきた。

 「はあい!イノシシ肉でーす!」


 大皿に盛ったザ・肉をかあんと音を立ててテーブルに置く。

 ここ数日、魚とたまに干し肉ばかりだったもので、みんなが無言で食べる食べる。


 「あ~おいしかった!ごちそうさま!」

 ぺろりとたいらげ、私を含めた全員がお腹をさすっている。

 熾烈な取り合いでした……。


 「さてと、午後のスケジュール……わわ!」

ぐらぐらぐらっ。

 突然に船が大きく揺れた。



読んでくださりありがとうございます。良ければ評価、ブクマお願いします。

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