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船長、陸が見えましたっ!  作者: えくれあ。
海上の冒険譚編
12/32

船員さんの作戦会議――そして苦悩――

 「昼ご飯を食べながら、作戦会議だ。」

 コアンが言うと、空気がピシッと張り詰めた。

 「あのヌシに勝つために……まずは、情報。ヌシについて、何か知っていることがあれ ば言ってくれ。」

 

 コアンがインスタントごはんをほおばりながら言う。

 あ!

 ヌシに襲われた日、私ノートにまとめたっけ。すっかり忘れてた。それで、サバイバルリュックにも入れたんだよね。

 そのノートをサバイバルリュックから取り出すと、言う。

 「ここにまとめてあるから!今から読むわよ!」

 「おー!さ・す・がえら~いアディナ!だな。」

 にやにやとオルカットが言う。

 「もう!茶化しないでよね!」


 頬を膨らませて抗議する。あの頑張りをなめてもらっちゃあ困る。

 

 ※以下設定になります。前回もかきましたが、覚えてない人のために会話形式にしてお送

りします。

 

 「えっと。まず、弱点はへそ。それで、そこ以外は、硬い甲羅でおおわれてて、打ち 砕くのは不可能に近いそうよ。実際にそれで何人もの人が犠牲になったみたい。

 それで、その硬さを生かした頭突きが強力らしいわ。鉄の打ち砕くし、ダイヤモンド さえ粉砕するらしいわ。」

 「うえええ!勝ち目なしじゃん!」

 ミガンが想像して顔をゆがめる。

 「でもその代わり弱点のへそは、水の中で赤ん坊に殴られても死ぬほどの弱さだとい うことが、古文書より分かっているわ。あくまでも仮定の話だけどね。」

 「おおー!」

 「ならいけるんじゃ。」

 みんながどやどやと沸き立つ。

 でも。ノートのこの先には。

 

 「それで過去に一度、偶然倒したことがあるんだけど、その人は瀕死のヌシにやられ、 死んでしまったらしいわ。また、『ヌシ』の血が流れたところには、一定期間『ヌシ』 たちは近寄らなかったが、結局一か月もたてば戻ってきてしまったらしいの。これは、 相打ちだったからと考えられているわ。」

 「だからヌシを倒せなのか……」

 コアンは納得したような表情だ。

 「このことから、『ヌシ』達は仲間の血が流れたところには決して近寄らないみたい。 でも、その性質は人間の血で中和されるらしいわ。」

 「っありゃあ。」

 「なるほど、相打ちでその人の血も流れたからか。」

 「じみに指令に血をもってこいとかあったよね。」

 オルカットが妙に感心したように言う。

 「ちなみにその人は、ほかの乗務員をかばって飛び込み、気を引いたようよ。それで、 船員は逃げるに逃げれず、離れたところから望遠鏡で見ていたんだけど……」

 私は思わず目を伏せる。その船員たちの悲しみはきっと想像もできない。みんなも目を伏せる。

 「また、そのことから視覚がとてつもなく悪いことが最近判明したの。その判明した 時、偶然遭遇した漁師が、『ヌシ』に向かって銛を投げたところ、偶然にも目の前を かすって遠くに飛んで行き、着水地点にて大きな水音がしたため、そちらを向いたら しい。銛の飛んできた方は探知できなかったみたいなの。でも、それ以外の五感はか なり敏感なようで、その漁師は船の振動による水の波立ちから位置を推測されたよう で、全速力での逃走を余儀なくされたのよ。まあ、助かったけど。以上が、私のまとめ たヌシについての情報よ。」


 ほおー。とミガンがため息をつく。

 「弱点、あるにはあるけど、それ以外は勝ち目なしじゃない……」

 うーむと考える。

 「でも、五感を全部一気に最高まで感じるのは難しいんじゃないか?」

 「ええ?」

 意味が分からない、ような気がする。

 「だから、その漁師。初めから水の波立ち

 で推測されてたら、銛の方は見ずに、漁師の方へ突進してきてるはずだ。」

 「ああ~!なるほど!」

 ニーナがポンと手を打った。さすが!私もそこまでは思い至らなかった。

 「水の波立ちは小さいことだけど、銛の着水音はかなり大きいから、大きい方に五感

 が刺激されたのかもね。」

 さらに仮説を立てる。それは十分あり得ることだ。

 「じゃあ、大きな音で引き付けて、そのすきに誰かがおへそにぱーんち!ってこと  ね!」

 思わず声を大にして言う。希望が見えてきた!


 「でも、問題があるだろ。」

 オルカットが干し肉をほおばるという。

 「え?」

 そんなのあるかな?完璧だと思うけど。

 「そのパンチする役だよ。誰になるんだ?」

 あ。そうか。気付かれたら一番に死んでしまう役だ。進んでやりたがる人なんていないよね……。

 「おれ、やるよ。」

 コアンが手を上げた。

 え……?


 「だめ、だめだよコアン、一番に死んじゃうんだよ!?」

 思わず言ってしまう。だって、じゃあどうするとは言えないけれど、だめだって!命を捨てるようなことだよ!冗談ではなく、本気で。

 「いいんだ。この旅に出ることを決めたとき、死ぬのは覚悟している。」

 グッと手を握りしめて言う。


 私は、何も言えずに下を向くことしかできなかった。

 「でも!」

 さらに私が反論しようとしたとき、重ねるように。

 「じゃあ、その作戦で行こう。」

 コアンはさっと食器を片付け、


 「掃除!続きやるぞ!俺とオルカットで船の修理もやるから、女子で残りの掃除やっ といてくれ!」

 そういうと、さっさと行ってしまった。 

 頭の中が真っ白になる。コアンに……嫌われた?露骨にそんなふうに言われたことは今まで一度もなかった。何がいけなかったのか、全くわからない。心配しただけ……なのに。


 あれ……?

 私、何で、こんなふうに思ってるんだろ?

 あの夜明け時がフラッシュバック。

 死ヌ。コアンガ死ヌ。

 考えられない。

 いやだいやだいやだ、なんでなんでなんでこんなのおかしいおかしいおかしいおかしい

 頭が、回る――。

 いまや、私は、抜け殻、だった。

 こんなふうに、思う、理由すら、分からなかった。

 怖い。

 自分が、怖い。

 恐れているのは、……何?


読んでくださりありがとうございます。良ければ評価、ブクマお願いします。

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