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船長、陸が見えましたっ!  作者: えくれあ。
海上の冒険譚編
11/32

船員さんの無人島生活!(2)

 まだ寝ているみんなを起こす。

 「おはよ……」

 瞼をこすりながらニーナが言った。

 さーて、今朝の朝ご飯は。コアンが声を張り上げる。

 「みんな、フルーツだけの朝ご飯は嫌だろう!」

 大きな声で眠気から覚めたみんなが、がくがくと頷く。私だって、朝ごはんはかなり食べる方だ。なんとなく思ったが、できれば魚か肉がいる。まあ魚はあるけど……。


「じゃあ、船を探索しよう。大量の食料があるはずだ~!」

 「おー!」

 元気に声をを上げたのは、私だけだった。

 「寝起きで働かせんなよ……」


 オルカットがぶつくさ文句を言う。結構小さい声だったけど、コアンにはちゃ~んと聞こえてたようだ。地獄耳やなー。

 「んじゃ、とりあえずフルーツを食べよう。」

 コアンがみんなにフルーツを配る。

 「あっま~い!」


 甘党のミガンが嬉しそうに言う。もう寝起きで働かされるイヤさは飛んでいったようだ。

 「ホント、これもおいしいわ。」

 ニーナも言う。

 私たちは、フルーツをかじりながら船へと向かう。まあこれで朝ごはんでもいいかな?と思い始めたとき。


「さて、食糧庫は防水だったっけか?」

 ニーナにコアンが問いかける。

 「あったりまえよ!……でもどうだろうこの水の量じゃね。」

 一日たって水は引いているけれど、中はどうなっているかわからない。ということだろう。

 そして問題が一つ。梯子がいる……。

 一階は浸水止めにしてあるため、二階に入り口があるのだ。


 「ありゃあ。」

 入り口のハッチが壁になっている。うーむ、そうだな、ロープリュックに入ってたっけ。

 コアンが洞窟に入ったとき使ったやつだ。

 ロープを縄梯子のようにする。どうするかというと、……どうしよう?

 「ええっと!こういう場合は~!」

 さあ、始まりました、ニーナ先生のサバイバル教室~!

 「わっかにしますー、こういう風に、わっかのついてない方の先っちょをここにこうやって、こういう風に上に出します~、これを何個も作りまーす!」

 おー!ちゃんとしてる!


 ハッチと外の間には、微妙なスキマがある。ハッチが船の外の壁より、へっこんでついているといえば分かるだろうか。

 そこに乗れれば、縄梯子を使うことも可能だ。


 「でも、縄梯子ならたらさないといけないんだよね……。」

 ああ、そっか。だれかが上に上ってからじゃないとだめっていうことか。

 「よし、ナイフで登れるかやってみる!」

 名乗りを上げたのは、まさかのオルカットだった。

 ミガンがすごい勢いで突っ込む。

 「無理だろ!鉄だぞ!」

 「でもそんな断崖絶壁ってわけでもないし。たかだか四メーターとかだろ?」

 「まあそうだけど。」

 一応この中で一番身長が高い。まあコアンとはどっこいどっこいだけどね。

 ざく、ざく、ざく。

 オルカットが数歩、船から距離をとる。だだだだ、ぴょんっ!がっ。

 大きく跳躍すると、ナイフを使う。

 からの、そのナイフが落ちないうちに大きくナイフを動かして登っていく。

 ばっ!

 オルカットの手が、でっぱりに触れて、そのまま体を持ち上げる。

 「わっ、すごい!ほんとに行った!」

 ミガンが心底驚いたという顔で拍手。

 縄梯子は、もちろんオルカットが持っている。

 「ハッチ開けれる―?」

 もしかしたら中に水があるかもしれない。

 「おっけい!」

 念のためか、ハッチハンドルに縄梯子を括り付け、それを左手でしっかりと持ち、右手でハッチハンドルをぐるりと回した。


 びしゃあ!海水が少し、私たちの頭の上に降ってきた。

 私たちは、縄梯子を登って船内に入った。

 照明が壊れ、暗い船内を歩く。

 「食糧庫だ!」

 にっこりと笑ってミガンが指さす。

 そのはず、大きな戸棚がでーんと立っていた。分かりやすい作りだなあ。

 「開けるわよ……」

 ごくり。ニーナがつばを飲み込んでグッと取っ手に力をかける。

 がちゃ!

 扉が開くと、無事な食料たちが山のようにあった。始めの食料集めはいったい……と言っている人は無視して、

 「ばんざああい!!」

 みんなが歓声を上げる。

 「やったーー!」

 その場で簡易的に朝食を食べる。干し肉、缶詰、水を入れるとできるインスタントごはん。今の私にはぜいたくだ~!

 「ああ、ごちそうさま。」

 ぱんッと手を合わせる。

 「じゃ、みんな。今日は船を掃除するぞ!」

 勢い込んでコアンが言った。

 パパパパっと掃除道具を道具入れから出すと、

 「大変だろうけど、モップと箒と雑巾とバケツでやろう!」

 「いや無理やろ!」

 気づいたら、ツッコミをしているアディナであった。

前途多難だ!というかこの惨状をモップと箒と雑巾で解決しろと!魔法でも使わなきゃ無……と思ったけど、結局それしか方法がない……。浸水止めのおかげで、被害はそこそこ。がんばりゃいけるか!逝っちゃうかもな……。

 しゃかしゃかしゃかしゃかーー! 

 だだだだだだだーーーー!

 さっさっさっさーーー!

 いろんな音がこだまする。五人で手分けして船を掃除する音だ。

 しゃっかしゃかしゃかしゃかーーー!

 モップ係の私は、掃除のおばちゃんもかくやという速度でモップを動かしていく。気分は若奥様~!そんな優雅なもんじゃないけどね。

 「どりゃどりゃーーー!」

 しゃかしゃっかしゃかしゃか!


 そして、みんなで合計六部屋を復活させたところで、コアンの号令がかかった。(ちなみに、全体の二分の一程度。浸水してるところは、きっつい。バケツで水を汲みだした。)

 「昼ごはんにしよう!」

 「はーーーい!」

 重労働をしたので、おなかがすいた……。あんなに楽しそうにしてたのにって?いやいや、それとこれとは別問題。あはは!


すべては順調に行くかに思えた。

 次の、瞬間までは。

読んでくださりありがとうございます。良ければ評価、ブクマお願いします。

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