2日目
誰かが叫んでいる。
僕の名前を呼んでいるようだ。
誰の声だろうか。
はっきり聞き取れない。
何か影が見える。
声の主はあの影のようだ。
その影の方に手を伸ばして………
すると、目の前から影が消え、いきなり目の前が真紅に染まっ……
僕が目覚めたのは、午前3時をまわった頃だった。まだ外は暗く、普段ならそのまま二度寝に入る時間だ。
だが、今日はそうならなかった。さっきまで視ていた夢の記憶が鮮明に残り、目が冴えて眠ることが出来ない。
目の前に広がる真紅の世界の衝撃が忘れられない。まるで、誰かの血のような…
そこまで考えて、自分の思考回路に思わず震えた。どうしてそう考えてしまうのだろう…。
恐怖に怯えながら、そのまま朝を迎えてしまった。当然、精神的に良い状態ではない。まともに朝ごはんも食べられないまま、足取り重く学校へと向かった。
学校に行っても、当然気分は晴れないままだった。
教室に入り、友人と挨拶を交わし、席に座る。その隣には、一見なんの違和感も無い机が置いてある。しかし、その机の持ち主は、この世界にはいないのである。
そんな現実を改めて目の当たりにした僕は、その恐怖を、空腹と眠気でなんとか誤魔化そうとしていた。
今日の全ての授業が終わった。もちろん、まともに受けているわけも無く、殆どが睡眠学習と化していた。
足取り重く家に帰りつき、玄関のポストを開けると、1通の封筒が入っていた。僕宛てになっているその封筒は、切手が貼られていない事を除けば、普通の封筒だった。その封筒に、形容しがたい 何か を感じ、急いで封筒を開けた。
「スリッパの上の神様は、奥の獣を追いかける」