不思議なノートとの出会い
高2の秋。
夏休みが終わり、節気はだんだん白露になろうとしている。
俺の名前は霜月白矢。特に自慢できることもない面白味のない人間だ。
そんな面白味のない俺は、現在進行形で恋をしている。
相手は俺の幼馴染。「幼馴染」と言ってしまうと仲が良いように聞こえるが、俺の場合はたまたま幼稚園から高校まで一緒だっただけ。小学校の頃はよく遊んだりしていたが、中学に入ってから自然に距離を置くようになっていた。今ではきっかけがない限りは話さない。生まれてからの17年間、彼女が出来たことなんてない。学校でいつも「今日こそは・・・」とは思うものの、結局告白出来ずじまいで1日が終わってしまう。これが俺の悲しい日常だ。
放課後。
今日も俺は告白できないままだった。俺は学校に残ってまだ終わらしていなかった課題を黙々と進めていた。こんな時も自然に好きな人の事を考えてしまっている。叶わない恋なのに。きっとそいつには好きな人がいるんだろう。俺みたいな面白味のない人間なんか興味がないだろうな。
そんなことを考えながらペンを走らせていると前の扉が開いた。俺はドアの方を見た。
「・・・あ、白矢くん、残って勉強?? 偉いね~」
「しっ・・・城本!!?」
そこには俺が想いを寄せている、城本綾音がいた。さっきまで城本のことを考えていたものだから、驚いて声をあげてしまった。
「そんなにびっくりしなくても! 入ってきただけなんだからー」
「ご、ごめん・・・。ちょっと考え事してたから・・・」
「白矢くんって何も考えずにふわふわ生きてるのかと思った!!」
「それ馬鹿にしてるだろ・・・」
「そ、そんなんじゃないよ!!」
・・・
「こうやって白矢くんと話すの久しぶりだな~! 中2ぐらいから喋らなくなっちゃったもんね~」
「そうだなー」
「・・・あっ、もうこんな時間! 私そろそろ戻るね」
「あ、うん・・・」
そう言って城本がドアの方へ歩いていくときに、俺は城本が手に持っているノートに目を付けた。
「・・・待って! 城本!」
「どうしたの?」
「・・・その、ノート」
「・・・あ、見えちゃった?」
そのノートの前には『彼氏ノート』と大きく書いてあった。
「そのノート、貸してほしいんだけど・・・。ダメか?」
「白矢くんが言うなら、別にいいけど・・・。あ、皆に見せびらかすとかはやめてね!ホントに恥ずかしいから!!」
「ありがと! ごめんな、突然」
「全然大丈夫! 返すのはいつでもいいから! それじゃあね、勉強頑張ってね!」
「ああ、ありがと。城本も部活頑張れよ」
城本が教室から出て行ったあと、俺はすぐにノートを開いた。




