フェニックスロッド
夕食中に親父から炎のロッドの感想を聞かれた。
にやにやしながらいかにも魔法なんかくだらないだろう?と聞かれたので、目を輝かせて凄いですっていかにも感動した風に伝えておいた。もちろん嘘である。ここで親父の言葉に頷いてはいけない。
「じゃあいらないな」と言って取り上げられる可能性がある。
なんでこう親子の間で駆け引きが発生するんだろう。
いつか親父の魔法嫌いの理由も聞かなきゃいけないのかな。
多分、ロニ兄のせいだと思うんだけど。
夕食後、ロニ兄に手招きされていつでも取りに来ていいと言われた。
そう急ぐわけでもないのでお風呂に入ってから行きますと返事をしておく。
湯船につかりながら、これからのことを考えてみる。
おそらくは、裏家業の手伝いが何年かしたら始まる。
それ自体は別に嫌ではないし、面白そうだとも思う。
ただ、この世界には冒険者ギルドがあるし、ダンジョンもあるんだよなぁ。
結構長い間、入ったいたがとりあえず俺は自分の実力がどの程度あるか知らないと今後の方針が立てられないと結論づけて湯船から出た。
コンコン
「どうぞ」
「ロックです」
「おお、入れ入れ」
ロニ兄の部屋は散らかっているので変なものに触らないように近くまでいく。
「それで頼んでいたのできました?」
「おう。ばっちりだ」
「念のためにどこがばっちりなのか説明をお願いします」
どうせ魔改造したんだからきちんと説明を聞いていないとこっちが危ない。
そう言って、説明されたところ、まずルビーがなぜかフェニックスの形に変わってるわ、自動追尾機能とか火力三段階調節機能とか付いてた。
「おお、フェニックス!かっこいい!」
「そうだろうそうだろう。気合入れたからな」
「ありがとうございます!」
「おう。またなんかあったらいつでもこい」
ありがとうロニ兄。さっそく明日試そう。
ただ一抹の不安はあるけど……。
いつも通りに親父と朝連をしてから、森へ自主錬にいく。
どこかこの炎のロッド改め、フェニックスロッドを試せるいい場所を探さないとな。
近くに水があれば火事になってもなんとかなるだろうという安易な考えのもと、小川がある方へ歩いていこう。ついでに魚も採って帰ればいいしつり道具も持っていこう。
ふぅ。ここに来るだけで結構時間がかかってしまった。
そこのちょっと大きな岩に登って水面に向かって撃ってみるか。
「まず、一段階目が前と変わらず……ファイヤーボール!」
「ジュッ!ボンッ!!!」
え?なに、ボンッ!ってなに?炸裂するようなものなの?
なんか魚がプカプカ浮いてきてるんだけど?
絶対、普通のファイヤーボールと違う。絶対にだ。
ボロボロになって死んだ魚はこの後、と、鳥にあげよう。そうしよう。
非常に怖くなってきたけど、第二段階いってみますか。
「二段階目はえーっと、バーンフレイム!」
「ゴオオオオオ!!!」
……フェニックスの口から凄い勢いで炎が!
範囲攻撃なのはいいけど、使いどころが限定されるね。
「最後、三段階目!フェニックスダイブ!」
「キィィィン!!ドッゴオオン!!」
川の中央から対岸に向かって地面を削って穴開いてるじゃんよ……。
おまけに風切り音でてたし。フェニックスのルビーからそのまま飛び出していく感じはいいな。
……いや、まぁかっこいいけど威力が高すぎる。
現実逃避していたところで始まらない。
とにかく、ファイヤーボールぐらいしか今のところ使い道がないな。
うん。むしろ、2と3は使っちゃいけない気がする。
冷静に分析したところで、疑問がある。
普通のファイヤーボールって火の玉を相手にぶつけるって魔法じゃないのか?
「あれどう見ても炸裂してたよな。人に当たったら抉れるよね、身体……。ま、魔物に使う分には遠慮はいらないし、いっか」
あまりにもぶっこ割れ性能だったので深く考えるのはやめておこう。
魚でも釣って……って、さっきの実験で魚が逃げ出したか?
まあいい。しばらくすれば魚も戻ってくるだろう。
心を落ち着けるためにも釣り糸でも垂らして無心になろう。そうしよう。
陽も傾き始めた頃、なかなかの釣果をあげて家に帰る。
帰り道に出会ったゴブリンたちにファイヤーボールを使って倒していたら、火魔法のスキルをゲットしていた。
やはりというか、マジックアイテムを使いながら練習するとスキルを得やすくなるのかもしれない。
普通に努力するよりもマジックアイテムを併用したほうがいいな。
そんな総括をしてベッドに入っていつもより早く寝た。
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レベル:15
HP:400
MP:355
スキル
≪隠密LV3≫ ≪気配察知LV3≫ ≪忍び足LV3≫ ≪暗殺術LV3≫
≪投擲LV3≫ ≪短剣LV2≫ ≪弓LV2≫ ≪薬学LV2≫
≪聖魔法LV2≫ ≪魔力操作LV2≫ ≪近接格闘LV2≫
≪魔力感知LV2≫ ≪身体強化魔法LV2≫ ≪交渉術LV1≫
≪火魔法LV1≫