攻撃魔法の巻
成長期に入り、身体も大きくなってきた。
やってることと言えば、訓練につぐ訓練。そして鍛錬。
「ステータス」
レベル:14
HP:400
MP:350
スキル
≪隠密LV3≫ ≪気配察知LV3≫ ≪忍び足LV3≫ ≪暗殺術LV3≫
≪投擲LV3≫ ≪短剣LV2≫ ≪弓LV2≫ ≪薬学LV2≫
≪聖魔法LV2≫ ≪魔力操作LV2≫ ≪近接格闘LV2≫
≪魔力感知LV2≫ ≪身体強化魔法LV2≫ ≪交渉術LV1≫
親父に対して粘り強い交渉をしていたせいか交渉術をゲット。
あまり嬉しくないが役に立つことがいつか、きっと、たぶん。
いつもの朝錬。
俺はこの組み手に飽きてきていた。強過ぎる親父に対して不屈の精神とか持ち合わせていないのだ。そこそこ強い相手とかなら滾るんだけどな。
そんな感じなのが態度に出ていると親父から小言を言われる。
「俺だって強くなるってのは大事だと思うけど、勝てない相手には逃げるでしょ。死にたくないし」
「そ、それはそうだが、強くならねば相手の力量もわからんだろう」
「相対してから、相手の力量をはかるなんてダメでしょ。前もって調査しないとさ」
「んぎぎぎ……」
「いや、頑張るよ?親父との特訓は。強くなれるしね?」
「そうか、そうだよな。必要だよな特訓は!」
「うん。頑張るからさ、ちょっとだけ攻撃魔法とか攻撃魔法とか教えてくれないかなぁ?」
「……はぁ。少しだけだぞ。あんなもの役に立たんのだからな?」
「わかってますわかってます!」
「あとで書斎に来なさい」
朝食後休憩してから書斎へ向かう。
コンコン
「入れ」
「来ました!ついにこの時が!」
「うるさい。座りなさい」
「はーい」
そういって親父は片手にロッド?を持って俺の対面に座る。
俺はというとそのロッドに目が釘付けされている。ロッドの先に赤い宝石みたいなのがはめ込んであり、ロッド自体も装飾されていてかっこいい。
「これは炎のロッドという。さる貴族が子供の魔法練習用に作らせたマジックアイテムだ」
「ほほう?マジックアイテムですか」
「子供用だから大した威力はでないが、まぁこれでいいだろう」
「使い方は?」
「このルビーに魔力をこめて、ファイヤーボールと唱えるだけだ」
「随分と簡単なんですねぇ」
「初心者の子供用だからな。空に向かって使えよ。火事になったら困るからな」
「りょーかいしました」
「では、もういってよろしい」
「ありやとやんしたー」
すぐに使いたくてソワソワしていた俺は返事も投げやりに庭へ向かう。
親父もきっと俺のソワソワしてるのを見て「なにいっても聞いてないなこりゃ」的な感じだったんだろう。
ともかく、この炎のロッドを使ってみねば。
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「……しょぼ!めっちゃしょっぼ!」
ピンポン玉ぐらいのファイヤーボールが空に飛んでいくだけ……。
ま、前向きに考えよう。
とりあえずスキル取得を目指して使いまくればいい。
そうでもしないとやってられない。
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
「ファイヤーボール!」
「ぽーん」
なんかいまいち使ってみても感覚が身につくわけでもなくMPが1消費されていくだけだ。
このままでは俺の精神が病んでしまう。
せめてゴブリンを一発で倒せるぐらいの火力さえあれば、森にいけるのに。
たぶん、このルビーと炎の相性がよくてMP消費が抑えられてるのはわかる。
なにかしらのリミッターが施されているに違いない。
そうでなければ、こんな大きいルビーなんていらないからな。
兄貴のところに持ち込んでみるか。
どうせ地下室にいるだろう。
「ロニ兄さんー」
「なんだロック、珍しいなここにくるなんて」
「ちょっと頼みごとがありまして」
「それもまた珍しいな。どうした?」
「これなんですけど、もっと火力が出るようにしてほしいんです」
「ふむふむ。この回路を逆にすれば……」
「すぐできそう?」
「ああ。夕飯までにやっておくよ」
「ありがとロニ兄さん」
これでよし。っと。
ロニ兄に任せたから魔改造されるだろうが、まぁあんなピンポン玉を放てるマジックアイテムでいるよりはあのルビーにとってはいいだろう。