魔法を覚えたい
「それじゃあ今日もやりますか」
そう独り言を呟きながら俺は森に入っていく。
ゴブリン相手なら特に気合を入れるまでもなく殺れる。
「ギャギャギャ」
さっそく一匹目を見つけた。気配を消して隠れた。
ゴブリンが通り過ぎてからナイフで一撃。
ゴブリンの魔石は人間の心臓のあたりにあり、練習相手としてちょうどいいらしい。
こんな小さい子供に暗殺の練習をさせなくてもいいと思うんだけど、これも自分の身を守る為だと思って我慢してる。
6匹ほど狩ったところで太陽が真上に。
俺はいつもの場所へ向かい昼飯を食べる。
そういえば、スキルレベル上がってるかも。
「ステータス」
レベル:5
HP:150
MP:30
スキル
≪隠密LV1≫ ≪気配察知LV2≫ ≪忍び足LV2≫ ≪暗殺術LV2≫
「お、暗殺術がLV2にあがってる♪」
親父からの課題も達成したことだし、この訓練も終わりかな。
薬草でも摘んで帰ろう。
「ただいまー」
「おかえり。今日は早かったわね」
「うん。はいこれ薬草」
そういって母に薬草を渡し、親父に報告に向かう。
「おー親父、暗殺術LV2になったぞ」
「おおそうか。じゃあ次は投擲な。」
「やだ。魔法覚えたい!魔法!魔法!」
せっかく剣と魔法の世界に転生したのに剣も魔法も覚えさせてくれない親父にこの機会を逃さず訴えていく。
「魔法なんて覚えたって何の役にも立たないぞ、ロック。大抵の奴なら詠唱する間もなく殺せるしな!」
「そういう問題じゃないんだって親父ぃ!」
駄目だこの親父。思考がアサシン過ぎる。
しゃべり続ける親父。このままでは小一時間ほど洗脳教育が始まるので俺は親父の書斎から逃げ出した。
まぁ親父から逃げられるわけはないんだけど。
「どこへいこうというのかね?」
「ついてくんなハゲ!」
最近、頭頂部を気にしだしている親父へつうこんのダメージを与え、ちょっと本気で傷ついてる親父を放置して自分の部屋にいく。
このままでは一生、魔法を覚えられないかもしれない。