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異世界でトレジャーハンター  作者: ばん
第一章
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ポイズン

 もうこのメガネは用済みだ。というわけで、久々にロニ兄の出番である。ちゃんと親父には話を通したし、許可は取ってある。「あのメガネを改造したいねんけどええ?」「ええよ」みたいな軽いノリだった。結局のところ、自分の知識にある情報だけがわかる点がメリットでもあり、デメリットでもある。ここ数日悩んだ結果、このメガネを外部記憶装置として改造できないか?ということになった。


 「単純に一度鑑定したものはこのメガネに記憶されるとか、欲を言えば、自分の記憶からこのメガネに記憶を複製して渡せるようにできるように改造は可能?」


 「最初のやつはできないこともないかな。だけど、長く生きたゴーレムのコアが必要になるよ。記憶に関する魔法はおそらく禁術関係だろう」


 「禁術!そういうのもあるのか」


 「ああ。あるよ。大半は失われたと言われているけど。」

 「まーた500年前のせいかー」

 「裏の人間で禁術の書を集めてる人がいた気がするな、誰だったか、確か……ヤン=ジー。うちのじいさまの知り合いだ」


 「ヤン爺?ふむ、あとでじーちゃんに会えるかどうか聞いてみる。それで最初に戻るけど、長年生きたゴーレムのコアね。あるの?」

 「ないよ。未踏のダンジョンか遺跡の奥のガーディアンとか噂に出てくる。普通のゴーレムのコアでもいいけど多分、何回か使ったら壊れるだろう」

 「なんかすごくめんどくさくなってきた」

 「まぁ手間もかかるし金もかかりそうな案件だね。ぼちぼちやってみたら?」


 俺の計画はかくして頓挫……いや先延ばしにされたのだった。悲しい。

 とりあえず、ヤン爺についてじーちゃんに聞いておこう。


 「じーちゃーん!」

 「おぉ、ロックか。どうしたんじゃ」

 「ヤン爺について教えてー」

 「ヤン爺?あーーヤン=ジーのことか。あいつのことなんか知ってどうするんじゃ?」

 「ちょっと禁術が必要になりそうでさ」

 「……人体実験でもするつもりか!!」

 「いやいや、ちょっとしたマジックアイテムの改造に必要になりそうで、ってそういう怖いのはやらないから!」

 「あやつの真似だけはしちゃいかん。完全に人の道を外しておる。外道じゃ」

 「すごい危ない人なの?ヤン爺って」

 「危ないなんてもんじゃないぞ。だいたいあやつに近づくと人体実験される」

 「なにそれこわい。改造人間になっちゃうの?」

 「あやつがしてるのはどちらかというとネクロマンサーに近い。昔は、真面目に不死の研究をしていたんじゃがな」

 「真面目に不死の研究って……俺が知りたいのはヤン爺が持ってる禁術の知識だけだよ」

 「絶対に一人で会いに行ったりしちゃいかんぞ。どうしても会いたいならワシと一緒じゃなきゃいかん」

 「う、うん。会いに行くときはじーちゃんと一緒にいくよ」


 まとめるとヤン爺は危ない人ってことでいいね。不死の研究なんてこの世の理に挑戦しすぎだよ。でも、賢者の石とかエリクサーの研究してるんだったら興味はあるなぁ。いずれ会いに行こう。じーちゃんと一緒に。


 

 閑話休題。

 人間が毒耐性を得るのにどれぐらいの時間がかかるかなんてわかるわけないじゃない。5年かもしれないし、10年かもしれない。毎度のことですが、本当に地道。ただひたすらに地道。そんなわけでいつ取得できるかもしれないスキルのために解毒薬を毎日作ると馬鹿にならない金額がかかるとわかったので聖魔法で代用していくことにした。毒の元になったものとどういう毒なのかを知っていれば効果が出やすいらしい。教会で司祭様に教えてもらった。

 話の流れで聖魔法が使えることを知られてしまったので是非手伝って欲しいと司祭様に頼まれてしまった。別にいいんだけど、こういうのは女の子が聖女伝説を作るためにやるようなイメージがあったのでなんとなく気が引けてしまう。

 それでもバイト感覚でやることにした。こと治療とかに関しては病院なんてないので教会がその役割を担っているらしいし、欠損部位の治療も聖魔法の分類だそうだ。また、聖魔法は使わないでいると腕が鈍るとかおそろしいことを言われた。

 まぁ魔法は感覚的なところも大きいので一理あるけど、それならなぜ技術でなんとかしようと思わないのか不思議だ。やっぱり魔法があると魔法信仰みたいになってしまうんじゃないか。確かに便利だもんなぁ。

 ある時、どうすればもっとうまくなるのか司祭様に聞いてみた。


 「信じる心ですよ、ロック。神に祈り、たくさんの傷ついた人を癒すのです」


 って言われた。これからは神に祈ることも追加しなければ。なにせ破壊と再生の神様だしな。信じる心、大事。


 「そういえば、教会には聖典があると本で読んだのですが、聖典を俺が読んでもいいものなんですか?」

 「残念ながら読むことはできませんが、お話しすることはできますよ」

 「いくつか質問しても?」

 「ええ」

 「やはり500年前の事が書かれているんですか?」

 「はい。全体ではなく一部に記述がありますね」

 「では、この世界の始まりも当然書かれていると?」

 「そうですよ。聖典は始まりと終わりについて書かれているものです」

 「始まりは知ってますけど、終わりについては聞いたことがありません」

 「そんなことはありません。混沌の神を終わらせて始まった、ということです」

 「なるほど。もう終わってたんですね。てっきりこれから先に終焉があるのかと思っていました」

 「そう解釈している一部の人たちもいますが……」

 「あぁ、例の」

 「最近、活動的だという話なのでお互いに気をつけましょう」


 なかなか興味深い話だった。原理主義者は逆に解釈したんだろう。

 争うよりは毒にも薬にもならない方がいいかな。

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