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魔王裁判  作者: ワンワールド
女神編
9/29

女神。魔王裁判へ行く

勇者ストーカーの魔の手から逃れた女神。安寧の日々過ごしていた。そこへ魔王裁判所から魔物が派遣される。

 女神裁判から二週間と三日。地上の町、女神が勤務する食堂前。白のチュニックワンピースを着た女神が店から出て来た。裁判後より勇者に怯える日々が無くなった女神が、明かるく、

 「お疲れ様でした」と食堂の従業員女性に挨拶する。軽く会釈すると女神の長い黒髪がなびいた。

 「お疲れ。一人で帰れる」従業員女性は、女神を気遣った。

 「大丈夫。家まで十分だし」心配させないように女神は笑顔で答えた。二人は手を振り合い別れた。

 

 仕事を終え女神が家に帰る。町は天井の山の裾野に沿って、岩を刳り抜き出来ていた。道も山沿いを回るようになっていた。女神は左側に町、右側に木々が並んだ道を歩いた。食堂から四分ぐらい歩いた地点で、前方から音が。女神は前へ歩いていく。前進するたび音が大きくなる。ある地点で明るい波長の音と耳が感じていると、右前の木に寄りかかるギターを弾く全身黒ずくめの男を発見した。

 

 はっとする女神。暗闇でストーカーの恐怖を思い出した。女神は不気味な男を避けて帰ろうとした。男の横を女神が通ると明るい音がやんだ。男は女神に声を掛けた。

 「一曲・・・いかがですか」声にびっくりして女神は悲鳴を上げ、走り去っていった。手を掲げて男は言った。

 「・・・逃げられ・たか」男は残念そうな顔をした。


 女神は恐怖で走った。とにかく逃げることだけ考え。女神は前しか見ていない。十秒走り、速度が落ちた。全速力に体が悲鳴を上げる。女神の息が荒くなった。早歩きになり、女神は恐怖と向かい合おうと考えていると、勇者の顔が浮かんだ。が勇気を振り絞り、後ろを見た。

 後ろには誰も居なかった。闇だけが広がっていた。女神は安堵し・・息が漏れた。硬直していた体も緩む。女神は自宅の方角へ歩き出す。二分後無事女神は帰宅した。

 

 次の日。正午前、女神は眠そうに起きてきた。昨夜の出来事が影響であまり寝られていなかった。女神は朝食とも昼食ともいえない食事を済ませる。女神は身支度を整え、自宅の居間の黒い椅子に座る。居間の四角い白机に頬ずりして、女神は呟いた。

 「休日か・・」仕事が休みですることがなかった。両親は仕事に行っていない。

友人は仕事だろうし買い物と女神は考えたが、昨日の黒ずくめが頭を過る。女神は出るのが億劫になった。やることがなく女神は部屋の掃除をすることに決めた。

 女神は椅子から立つ。ほうきが立て掛けられた部屋のスミに行った。ほうきに手を掛けると、家の外から声がした。

 「す・みません。・誰かい・ませんか」聞いたことのあるような声が響いてくる。木のドアを叩く音がしてきた。女神は居間の小窓から外を伺った。外には黒ずくめの男がいた。昨日のギター弾きの男だった。女神は体を伏せた。居留守を決め込むことにした。男は十分ほど様子を確認して去った。女神は恐ろしくて伏せたまま固まった。ぶるぶる震えながら、両親を待った。

 

 部屋が暗くなる。女神は灯を点けづにいた。外から声がする。女神は怖く外が見えなかった。十分後外の声が止んだ。

 「カチ」家のドアの鍵が開く音がした。(まさか黒ずくめの男が来るの)女神が妄想した。伏せた姿勢から立ち上がった。女神はほうきを握りしめた。穂先を上にして構える。いつでも殴れるようにした。ドアがすーと開いた。人影が入ってきた。

 「ただ・・」女神は人影に向けてほうきを振り下ろした。

 「痛い」人影が声を出した。続けざまに女神は、ほうきで何度も叩いた。

 「痛い。痛い」と人影が痛がっていた。

 「痛いだろうが。このやろ~」荒い言葉を言いながら人影は女神に反撃した。ほうきを押え、二人はもみ合った。数秒後、女神はほうきを取り上げられた。取り上げたほうきを人影が投げ捨てた。勢いに乗った人影は女神の両肩を抑えた。

 「おとなしくしろ」人影は女神を倒し腹の上に乗る。

 「灯」人影が家の外に合図を送ると、新たな人影が入ってきた。女神は暴れるが、人影に乗られて身動きが取れなかった。新たな人影がローソク灯を点けた。居間に光が広がる。


 「何だ。娘か」

 「父さん」女神の上に乗っていたのは父だった。女神と父の緊張感が溶けた。女神の腹に乗っていた父は体を退けた。父は女神に手を差し伸べた。女神は父の手を掴み起き上った。ことにより視界が広がた女神は

 「母さん」を発見。灯をつけたのは母だった。安らぎを求め女神は母に抱き着いた。

 「もう。この子は」何歳になってもかわいいと母は思い、女神の頭を撫でてあげた。四回ほど撫でて母は大事なことを思い出した。

 「・・あっそうだ。お客さんが来ていたの」女神の腕を振りほどき母は外へ行った。母の行動に女神は呆然とした。外に出て行った母は数秒で戻ってきた。

 「あなたにお客さんよ」母が言うと黒ずくめの男が家に入ってきた。女神が口を開け尻餅をつく。昼に来た男だった。

 「何でここに」腰を付けながら女神は手を使い後ずさりした。

 「どうした」父が女神に声を掛けた。

 「何で連れてきたの」女神の傍に父が行った。

 「だってこの人、裁判所から派遣された音楽家だよ」父は言いながら女神の腕を掴みひょっいと、体を持ち上げた。父は黒い木綿のズボンから名刺を取り出し、女神に渡した。名刺を確認した女神は質問した。

 「音楽家が何用」黒ずくめの男を疑う目で女神は見た。出口にいた黒ずくめの男が、女神と距離を三メートルまで縮めた。

 「私は・・・心療音楽家。被害者の・・・の心を・癒す・のが仕事」話が遅い黒ずくめの男。我慢できずにせっかちな父が、口を挿んだ。

 「そう。この人。娘を癒したいんだって。昨日ついたけど正午家には誰も居なかったらしい。今日も正午に来ていないので、一時間ごとに様子見たらしいよ。その話を先程、外で聞いたんだ」女神は昨夜についても聞いた。

 「昨夜路上でギター弾いていましたよね」

 「あ・あ~・・弾いてい・・・ましたよ。路上演奏会。・趣味・・なんです」腕組みして女神は詰問する。

 「昨日会いましたよね」忘れたふりをして黒ずくめの男は言った。

 「そう・・でしたか。・・よ・く・覚えていない」女神は黒ずくめの男をまだ疑ってい。今日は遅いので帰ってと告げた。黒ずくめの男は退かなかった。次の町に行かなければいけない用があるため、明日の出発では間に合わない。今夜音楽を聞いてほしいと黒ずくめの男は頼み込んだ。両親の説得もあり、渋々女神は音楽を聴くことになった。

 

 黒ずくめの男がギターを奏でた。旋律は天上の山に流れる春風を表現。三人は目を閉じ風景が見えていた。風が天上の山をすり抜けて行く。山頂から流れる雪解け水の上を”スウー”所頃土の草原と咲くタンポポの横を”スウー”風の視点で三人は見ていた。いつしか三人は眠りについた。



 「起きろ」低い声が女神の脳に響いた。体も揺すられるのが女神には分かった。う~んと目を擦りながら女神は起きた。すると椅子に座っていたことに気付いた。体を真直ぐに起こすと、女神は大きな空間にいると感じた。目はぼやけ前が霞んだ。

 「起きたか」低音の大音声が左横から女神の耳に聞こえた。女神は左に振り向いた。目の霞が取れてきた。

 「・・・魔物」女神の前に目が六つの魔物が現れた。こちらを六つの目が凝視。魔物の口角が・・上がったゆっくり。

 「ふふふ・・裁判だ!魔王裁判開廷」頭の回線が渋滞した女神は放心状態になった。


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