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魔王裁判  作者: ワンワールド
混沌
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発表

 仮に六つ目が魔物を統一し八日後、午前の王都、洗濯を干すおばさん、畑に行くおじさん。学校で勉強をする子供。王城前で、「王は辞めろ」と叫ぶ人々。それを鎮める兵士。変わらぬ日常。誰もが今日も変わらぬ日が過ぎていくのだと思っていた。


 「国より重要発表がある。国民は聞くように」王都中に声が響いた。日常は変わった。おばさんは洗濯を干す手をやめ、おじさんは畑に行くのをやめ、子供も先生に言われ静かにした。


 三分後、魔法で声を大きくした王の声が王都中に聞こえた。


 「国民よ聞きなさい。人間と魔物は和平条約を結ぶことになりました。人間と魔物は和平条約を結ぶことになったのです。混沌の戦争より五百年、人間と魔物の争いは無くなるのです。条約の大まかな内容は後日、発表する」


 驚きで、おばさんは洗濯を落とす。畑に行くはずのおじさんは家に帰る。静かにしていた子供は騒ぎだし、学校は騒がしくなった。日常は和平条約の話で掻き乱された。


 王城前で、

「和平とはどういうことだ。もっと説明しろ!」と発表前より増えた人々が叫んだ。


 王城の四階連絡の間、バルコニーより王は叫ぶ人々を見ていた。



 午後、王の間に新聞記者と貴族が集まった。巻物を持った、青の人物が王の椅子の横に立つ。


 王は次期魔王(六つ目)と手を握り合っていた。王は記者に魔王を紹介し、和平条約の経緯と内容を話した。


 「英雄が魔王を倒したことが和平への発端じゃ。魔物は人間への憎悪が増したのじゃが、ここに居られる二代目魔王は違っておった。人間との争いは、永遠に悲劇を生むと考えておられた。そこへ、名誉裁判の証魔として裁判に関わり気付かれたのじゃ。人間とは話し合いができるとの。そして、身柄を王城で預かっている時、和平条約の話しが出て締結に至った。儂も永遠の争いは望んではいなかったのでのう」


 王の一言一句を記者たちは聞き逃さないようメモを書いていた。嘘が次々と出るので、魔王はよく話が作れると王を見た。


 王は青の人物を呼び、巻物を受け取った。巻物を立てに開き王は話した。


 「和平条約は四つじゃ。黒の森の現時点より互いの土地を侵さないこと。侵略した時点で条約破棄とする。魔物が人を殺した時、人が魔物を殺した時、裁判に掛け罰する。その裁判を開く、魔人間裁判所を設置すること。裁判所は魔物側と人間側とで公平に運営すること。裁判が機能しない場合は、条約停止。機能が戻れば条約を再開する。最後の二つの条約は互いの条約する条件として書かれたものじゃ。魔物は馬を襲い食べることを禁止。ただし、自然に亡くなった馬を食すことは許す。馬の保護の推進に協力すること。協力しない時は条約停止。協力出来る時は条約再開。人間は冒険者協会の解散。今後魔物を倒す集団を作らぬこと。集団を要する時は解散要求出来る。従わぬ場合、条約破棄。これは人間も魔物に要求できる権利でもある」


 王は巻物を青の人物に渡した。青の人物は巻物を撒いた。


 何時この和平条約を執行するのかと記者たちは聞いた。王はそのことは魔王に聞いてくれと話を振った。


 「和平条約開始は勇者を裁判に掛け、判決が下った時だ。大量殺魔である勇者が何の罰も受けずに生きていることは、魔物は許せん。裁判に勇者を掛けないのなら、和平条約は一生開始されん」


 記者たちは世間が注目する話だと、目を輝かせ質問していた。




 翌日の新聞に和平条約は勇者次第。勇者、魔物に訴えられると紙面に躍った。記事を見た人々は思った。平和が訪れる。嬉しい・・・けど勇者はどうなるのだと。一応に感じ人々は話し合い、意見を持つようになった。


 和平の為なら勇者を裁判に掛けることは仕方がないと和平推進派。

 英雄のおかげで魔王を倒せたのに裁判を掛けるのは間違い、条約開始条件を見直すべきだと勇者保護派。大方はこの二つの意見だった。


 少数意見では、和平自体望まぬ者たちもいた。魔王が居ない今こそ魔物を絶滅させる機会だと冒険者協会を中心に声を上げた。協会は存続の危機でもあった。魔物と戦わない冒険者協会を世間は求めないからだ。


 魔物側も一つに纏まらず、和平を望まぬ五つ目派の一部が暴れていた。



 和平条約の記者発表二週間後。王城前では、和平推進派対勇者保護派・条約破棄派の構図でデモが度々勃発。怪我人や死人が出た。王都では外出禁止の御触れが出た。王は連日国民に和平の大切さを解いたが収集が付かずにいた。魔王側も暴れる者を統率出来ず、世界は混沌に包まれた。ただ一人だけ状況を打開できる者がいた。勇者だ。


 だが勇者は名誉裁判後より、行方不明となっていた。王と魔王は勇者を探した。そして記者発表二週間後、勇者が冒険者協会に居る情報が入った。王はすぐさま軍隊を冒険者協会に派遣した。


 軍隊は強制的に協会を調べようとしたが、冒険者の抵抗を受けた。軍隊は応戦するも冒険者は強く、撤退した。協会の行動に王は激怒した。魔王に協力要請を取り付けようとした。しかし、勇者が王城に出頭してきたので魔王への協力は保護となった。


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