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勇者が名誉裁判のためデモを起こした後の話です。
魔物たちは勇者を倒すために動き出した。魔物たちは力や数で勝負を挑もうとした。しかし、魔王を倒して勇者は変わった。あまり表に出ず、町に引き籠るようになったからだ。町を襲うにしても、魔物たちはバラバラで、一グループでは町を襲う危険は冒せなかった。それに勇者は卑怯だった。最も防備が硬い王都に居る頻度が高かったからだ。勇者に太刀打ちできない魔物の日々は続いていた。六つ目たちも例外ではなかったが、日々勇者の監視を続けていた。
ある日、六つ目の部屋に三つ目カラスが情報を持って現れた。
「王都で勇者が騒動を起こしました」三つ目の一言が六つ目グループの動きだす切っ掛けとなった。
六つ目が事情を聞き、先代勇者の名誉を回復する裁判を起こすため、勇者がデモをしたのが分かった。
「デモというのがあるとは」デモに関心を六つ目が見せた。
魔物世界ではデモの概念はなかった。魔王に意見することは、死を意味していたからだ。それから六つ目の関心を向ける話がもう一つあった。
「王と勇者の対立か面白い。これは利用出来るぞ」六つ目は三つ目の頭を撫で褒めた。
「褒美を持ってこい」部屋の外に向かい六つ目が命令した。
青の子鬼が部屋に入って来た。手には赤い本を持っていた。本を三つ目に渡した。三つ目は本を口に加えようと口ばしを百八十度開けた。本を下口ばしで支え、上口ばしで挟んだ。
「監視を強化しろ」六つ目の言葉に頷き三つ目は飛んで行った。
三つ目が去ると、六つ目は青の子鬼に相談した。勇者がデモをした話を聞いた青の子鬼は言った。
「次期魔王様。勇者を倒せる機会が見えてきたように思います」
青の子鬼は姿勢良く立っていた。
「さすが青。儂と見解が一致している」喜ぶ六つ目を見、青の子鬼も喜んだ。
出世への道が近付いたと。更に青の子鬼は出世への道を歩いた。
「王と勇者は対立関係のようで、王をもっと調べましょう。王の手を借り勇者を倒すのです」
同じ意見が出るので六つ目は喜びながら頷いた。と思ったら急に表情が一変した。
「人間の王を調べるとは、魔王になる手段とはいえ、むかつくものがあるぞ」
「次期魔王様。我慢するのも一時です。魔王になれば、何でもありです。後日、人間の王も殺せばいいのです。裁判で」
青の子鬼は巧みに魔王の機嫌を取り戻した。六つ目は裁判を使い勇者を殺す算段に、人間の王を組み込んだ。
六つ目の元に勇者が名誉裁判を開く情報が入った。情報源は三つ目カラスだ。勇者が裁判を開く情報以外にも、王が弁護士を求めている情報も持って来た。その情報を聞き、六つ目は王の元に弁護士を送ることにした。弁護士を誰にするかで、六つ目の部屋に部下を集めた。
最初、候補に挙がったのは賢者の犬だった。候補理由は人間だからだ。人間の生態を知り、対処法も心得ていると思われた。それに反対意見を言う者もいた。
「賢者と対面すると正体がばれます」と青の子鬼だった。
賢者の犬は、賢者と小さな小さな集落の医者の犬を殺害した件で揉め、正体がばれていたので候補を外れた。ただ、青の子鬼が口を挿んだ理由は別にあった。賢者の犬に重要な役割を与えたくなかった。出世の邪魔者と警戒していた。
次の候補は三つ目カラスだ。魔王裁判での弁護経験と人間通が理由だ。魔物たちは話し合った結果、三つ目も候補を外れた。
「カラスでは無理でしょ。変身するにも限界があります」この意見が外れる原因だった。言ったのは青の子鬼だ。
三番目の候補は中々出てこなかった。裁判を理解し、人間に正体が分からぬ行動を執る能力の魔物。この条件が難しく候補が挙がらなかった。
「こうなれば儂が乗り込んでやる」六つ目が自ら弁護士になろうとした。
それを魔物たちが止めに入った。
「次期魔王様が行かれては、誰が指示を出すのです」
「六つ目様が人間の世界に行かれるのは危のうございます」青の子鬼と賢者の犬に言われ六つ目は行くのを止めた。
候補が決まらなず話し合いが終わると思われたが、青の子鬼が手を挙げ言った。
「私が弁護士をやります」
立候補者が出て全員が驚く。その場に居た黒の子鬼も、好んで任務する変わり魔物と青の子鬼を見ていた。六つ目は腕を組み言った。
「それはいかん。青が行けば、誰が儂の相談相手になる」六つ目にとっては、青の子鬼は重要魔物だった。戦略を練る役割を担っていたからだ。
「私ほどこの任務に向く者はいません。人間の生態、裁判、次期魔王様の方針を理解しています。変装すれば人間にばれる心配もないです。任務をお与えください」
候補の条件に当てはまるので、六つ目は悩んだ。青の子鬼を手放したくないが、魔王になるため仕方がないと・・数秒後決断した。
「弁護士になれ。青。行って勇者を倒す切っ掛けを作るのだ!」姿勢を正し青の子鬼は敬礼した。
出世の機会がやって来た。この任務をやり遂げれば私は、魔王の右腕に決定だ。野心を秘め青の子鬼は王都に向かった。




