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魔王裁判  作者: ワンワールド
混沌へのあらすじ
16/29

魔王亡き世界

勇者たちが魔王を倒しパレードを行っている頃、魔物たちは混乱し、勇者を恨んだ。魔物たちは勇者とこの後どう戦っていくかを描いていきます。勇者裁判魔王への道を読んだ後、見ると話が分かります。

 六つ目の居城、牢獄に女神は閉じ込められ一年以上経っていた。


 「甘い歌声スイートハーモニー 聞けば聞くほど眠くなる

  黒いギターマスター 多くの目モストアイが求めるギターマスター

  黒く憧れる 俺もなってやる ラップやりたい俺だけど 誰も聞いてくれないよ~」


 女神の牢獄の前で黒の子鬼が歌いながら踊っていた。黒の子鬼の歌を女神は目を瞑って聞く。

 数分歌が続き黒の子鬼は歌い終えると、

 「どうだったよ~。マイ歌」女神に尋ねた。

  

 目を空け女神はドアの小窓を見、歌の感想を言った。


 「私には歌の良さが分からないけど、あんなに早く歌えるんだと感動しちゃった。そこら辺を追究すれば上司にも伝わるんじゃないの」


 「ありがとう。追究して六つ目に歌認めてもらうよ~」踊りながら黒の子鬼は答えた。


 歌について女神と黒の子鬼は話した。人間の歌や魔物の歌について楽しく。


 その楽しい雰囲気を壊すように、牢獄に赤の子鬼が走って来た。


 「招集命令だ。黒、六つ目様の部屋に集合だ」赤の子鬼が早口で黒の子鬼へ伝言した。


 「了解。何の集合~?」黒の子鬼が尋ねると、

 「魔王様が勇者に殺されたらしい。それについての話しだそうだ」


 「まじ。まじま~じっく。六つ目様のドッキリじゃないの。裁判できない暇つぶしに作った話とか。マイ王が死ぬ何てありえな~い」リズムを付け黒の子鬼が言うので、赤の子鬼は頭を殴った。


 「早く来い」黒の子鬼の片方の角を掴み、六つ目の元へ連れて行く。


 「痛い赤。マイ角が悲鳴を上げてる。あいたた~ん」と黒の子鬼はそう言い残し、牢屋から消えた。



 女神は魔王が倒された話に驚く。自分にストーカーした男が魔王を倒す偉業を成し遂げたからだ。敷物に寝そべり、女神は考える。


 自分にとって勇者は気持ちの悪い犯罪者だけど、人類にとっては英雄になるんだろうと。母や父など家族も喜んでいるのか複雑になった。後、女神は父の姿を強く浮かべる。近所の人に勇者は英雄になったが娘にストーカーした男だと怒っているかもと・・・クッスと女神は笑った。


 父さん私のために世間に嫌われないでねと女神は心で呟いた。




 黒の子鬼は六つ目の部屋に入ると、赤・青・黄・緑の子鬼たちと、賢者の犬、三つ目カラスが集合していた。全員が真剣な面持ちだったので、黒の子鬼も自然と同じ顔になる。ドッキリではないと黒の子鬼は自覚した。


 全員の顔を一通り六つ目が見た。

 「集まったな。聞いたと思うが魔王様は亡くなられた。憎っくき勇者によって」

 ソファに座る六つ目は拳を握りしめ、

 「・・許せん。裁判で魔王様の仇を取るぞ!」立って叫んだ。

 

 「「おう」」威勢よく全員が返事した。


 気持ちが一つに纏まったように見えたが、六つ目の意見に賢者の犬が口を挿む。


 「裁判に拘らなくていいのではないでしょうか。全員で勇者を襲えば勝てる気もしますが」


 この意見に六つ目は笑った。そんなことが出来るのなら苦労はないと。賢者の犬は魔物の強さが分かっていなかった。魔物の強さの象徴である目の数、一つ違うだけで十倍強さが違った。それも魔王と七つ目の強さの違いは百倍もあった。だからこそ魔物たちは勇者に力で勝てないのが分かっていた。


 青の子鬼が六つ目に尋ねた。


 「裁判をするにも六つ目様。今は全魔物を統率する方が重要です」

 「魔物の統率?裁判しか考えていなかった。それは重要だ」

 「はい。全魔物を統率し、魔王になるのです」


 青の子鬼の言葉から魔王と出ると全員に動揺が広がった。青の子鬼はしめしめと出世の機会が来たと喜んだ。赤・黄・緑は互いの顔を見合った。賢者の犬は妻が戻る確率が上がったと光が差す。黒の子鬼はどうでもよかった。どのみち六つ目に怒られる日々は変わらないからだ。


 六つ目は魔王になった姿を想像。全魔物に命令し人間を苦しめ、勇者を裁判で裁く自分を。


 「人間の悲鳴が聞こえて来るぞ」涎を垂らし六つ目は喜んだ。魔王が倒されたことを忘れ、六つ目は全員に命令した。


 「魔王様の意思を継ぎ、二代目魔王になるぞ。その準備をしろ」全員が姿勢を正し、

 「はっあ」敬礼し散った。



 黒の子鬼は女神の牢屋に戻り事情を話した。女神との交流も一年以上になり、黒の子鬼は何もかも相談するようになっていた。女神も黒の子鬼の相談に親身に答えた。


 「魔王になるんだ。クロも大変だね。嫌いな上司が頂点に行くんだから」

 「めがみん嫌だよ~。六つ目が魔王だよ~。まあどうでもいいけど」


 不快な顔を黒の子鬼が見せたが、すぐにあっけらかんとした。


 女神は六つ目が魔王になる大変さを黒の子鬼が分かっていないと感じた。ため息交じりで、黒の子鬼を注意した。


 「頭悪いなクロは。上司が魔王になったら、歌が一生歌えなくなるよ」

 「何それ。今でも歌えないけどよ~」注意されたが黒の子鬼は理解できていない。


 少し怒りながら女神は言った。


 「も~一から説明ね。現在、おおやけにクロの歌は禁止でしょ。上司の命令で。その上司が魔王になって見なさい。クロの歌は魔物の中では一生認められないし、歌が解禁されないのよ。だって魔王に逆らえる魔物いる?」


 しばし呆然と黒の子鬼はなり、

 「あ~」と叫び牢屋に響いた後、崩れ落ちる。


 事の重大さが分かり黒の子鬼は、俺の歌。サヨウナラ。一生サヨウナラ。上司が死ぬまで。六つ目が死ぬことを望んだ。


 「俺の歌はどうなるんだ。六つ目が居る限りダメん。勇者に六つ目を殺すよう頼むしかないよ~」


 黒の子鬼が思いつめてると女神は声を掛けた。


 「悪い方に考えないの。私を見なよ。自由を禁止されてる。クロ誰だって悩みがあるんだよ。歌は公に歌えなくても私が聞いてあげるからね」


 黒の子鬼は女神の言葉に勇気づけて貰い立ち上がった。


 「めがみんありがとう。俺歌うよ~」元気良く黒の子鬼は踊り出した。


 「歌も大切だけど私も救ってね」そう女神に笑顔で言われ、黒の子鬼は頷いた。


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