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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
22/25

第22話:推し活がネットで暴露されました。……犯人は、隣に座る無敵の社長でした

 事件は、昨日の九条アンナが去った数時間後に起きた。


 社内向けの匿名掲示板やSNSの一部で、私の「裏の顔」が暴露されたのだ。


『MINATO & Kの秘書・瀬戸花音の正体。実は狂気的なオタク。給料を全部アイドルに注ぎ込む痛い女。副社長を推しに似てるから利用してるだけ』


 隠し撮りされた私の部屋のグッズ棚の写真まで添えられている。


(……嘘、アンナさん……いつの間にこんなものを……っ!)


 指先が凍りつく。神宮寺(旧職)では「地味な有能秘書」で通っていた私の、唯一にして最大の秘密。

 湊さんに「利用してるだけ」なんて思われたら、私は――。


「……花音。何を震えている」


 背後から、温かくて大きな手が私の肩を包み込んだ。

 湊さんは私のスマホ画面を一瞥すると、不敵に……いや、どこか嬉しそうに目を細めた。


「湊さん! 違うんです、これは……私、あなたのことを利用しようなんて……っ!」


「……わかっている。君が俺に、一ミリも期待していないことなど最初から承知の上だ」


 彼は私の椅子をくるりと回し、膝の間に私を閉じ込めた。

 ……天然。彼は怒るどころか、その暴露記事を満足げに眺めている。


「むしろ、感謝したいくらいだな。……これで、君がどれほど『俺の顔』を愛しているかが、全人類に証明されたわけだ」


(……えっ、そっちの解釈!?)


 湊さんは即座に自分のスマホを取り出すと、新会社の公式アカウント――フォロワーが数百万人に膨れ上がったばかりの――で、異例の投稿をした。


『わが秘書の趣味について。彼女が愛しているのは俺の顔であり、俺はその顔を持って生まれたことを誇りに思う。今後、彼女の「推し活」を妨害する者は、わが社の法務部が徹底的に叩き潰す。……追伸、彼女の待ち受けは、現在俺の自撮りだ』


 ネット上が、一瞬で大炎上……いや、大絶賛の渦に包まれた。


「推しに似てるから付き合ってるのを、公認どころか『俺の顔が最高だろ』って返す社長、強すぎる」

「独占欲が神」「推し活公認企業、福利厚生がエグい」


「……湊さん、やりすぎです……っ! 恥ずかしくて外を歩けません……!」


「いい。……君は俺の腕の中にだけいればいいんだ。……さあ、花音」


 湊さんは私の首筋に顔を埋め、深く、深く、支配的な吐息を漏らした。

 その仕草。KYLOカイロ様が最新のインタビューで「好きな人をどう守りたいか」と聞かれた際の回答、「世界を敵に回しても俺の隣に置く」という言葉の、100億倍重いリアリティ。


「……暴露されたなら、もう隠す必要はないな。……今日から、このオフィスに『KYLOカイロ』の巨大ポスターを貼ってやろうか? ……ただし、俺の等身大パネルの隣にな」


(……共演!? 私の職場を、推しと彼(似)の格闘場にしないでくださいぃぃ!!)


 神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「ネットの悪意」さえも、自分への惚気のろけの材料に変えてしまった。

 私の『オタバレ・ピンチ』は、神宮寺湊の「異常な全肯定」によって、全オタクが羨む『公認溺愛ライフ』へと上書きされたのだった。

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