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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
20/24

第20話:新会社の初仕事は、私の「デスク周りの要塞化」でした

 神宮寺さんの新会社『MINATO & K』。

 そのオフィスは、都心の超高層ビルの最上階、ワンフロアすべてを使っていた。


「……あの、湊さん。社員、まだ私たち二人だけですよね? なんでこんなに広いんですか?」


「気にするな。将来的に千人は雇う予定だ。……だが、今は君を独占するのに都合がいい」


 湊さんは、自分の広大な社長デスクのすぐ隣に、私のデスクを並べさせた。

 ……近い。手を伸ばせば、仕事中の「真剣な推し顔」にいつでも触れられる距離。……供給。……24時間ノンストップの「社長モードな推し顔」の供給。

 私が自分のPCを立ち上げようとすると、そこには見たこともない最新鋭のガジェットが並んでいた。


「……えっ、このモニター、三枚もある! それに、この椅子……数百万円する人間工学のやつじゃないですか!?」


「君の腰と目を守るためだ。……それから、その引き出しを見てみろ」


 言われるがままに引き出しを開けると、そこには絶句する光景が広がっていた。

 以前、神宮寺(旧職)のデスクで没収されたはずの、KYLOカイロ様のアクスタ、缶バッジ、写真集……そのすべてが、最高級の防弾ガラスケースに収められて、きれいに陳列されていた。


「……な、なんですか、これ……っ!」


「君の『命の糧』だろう。……没収して悪かったな。……これからは、俺の目の届く場所で、堂々と愛でるがいい」


(……堂々と!? 社長の隣で、推しのアクスタを拝めと!?)


 神宮寺さんの脳内では、【花音は推し(虚像)を見ることでエネルギーを補給し、その愛をすべて俺(実写)に還元する】という、完璧なエネルギーサイクルが構築されていた。


「……ただし、条件がある。……その人形(KYLOカイロ)を一度拝んだら、必ず俺に一度、キスをすること。……いいな?」


 湊さんは私の椅子をくるりと自分の方へ向け、デスクに手をついて私を閉じ込めた。

 ……天然。彼は「公正な取引」をしているつもりだろうが、その瞳は、推しのグッズにさえ嫉妬を燃やす「独占欲の塊」だった。


「……っ、……ずるいです、湊さん……っ」


「……ずるくて結構。……さあ、仕事(供給)の時間だ。……まずは、おはようの儀式から始めようか」


 朝の光が差し込む誰もいないオフィスで、私は「推しの祭壇」に見守られながら、本物の(似の)男に深く、深く唇を奪われた。


(……ああ。……私の『推し活』は、ついに『職務規定』に組み込まれてしまった……っ!!)

 こうして、新会社での「溺愛ビジネスライフ」は、私の想像を遥かに超えた甘さと、神宮寺湊の「重すぎる愛」とともに、本格的に始動した。

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