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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
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第15話:会長登場。私の「推し」は、世界一過保護な守護神でした

 CM撮影の大成功から数日。社内は「副社長と秘書の公開キス」の噂で持ち切りだった。

 私は、神宮寺さんの執務室のソファで、彼に膝枕をされながら書類をチェックするという、公私混同の極致にいた。


「……あの、湊さん。さすがにこれは、秘書の業務内容を超えていませんか?」


「気にするな。君が近くにいないと、俺の仕事能率が下がるんだ。……ほら、動くな」


 神宮寺さんは私の髪を指で遊びながら、満足げに微笑んでいる。……供給。……至近距離での「甘やかしモードな推し顔」の供給。

 だが、その甘い時間は、前触れもなく打ち破られた。


 バタン! と、無作法にドアが開く。


「――湊! 貴様、何をしている!」


 現れたのは、神宮寺グループの頂点に君臨する、湊さんの父――神宮寺 厳一郎げんいちろう会長だった。

 私は慌てて飛び起きたが、湊さんは私の腰をがっちり掴んで離さない。


「父上。ノックもせずに失礼ですよ」


「ふん! 撮影現場で不埒な真似をしたと聞いたが、これほどとはな。……その女が、例の地味な秘書か」


 会長は、私を虫けらでも見るような冷たい目で見下ろした。


「湊、お前には西園寺家との婚約がある。こんな……何の価値もない女にうつつを抜かして、神宮寺の名を汚すつもりか!」


 何の価値もない。


 その言葉が、胸にチクリと刺さる。……そうだ。私はただのオタクで、彼とは住む世界が違う。

 私が身を引こうと、湊さんの手を振り払おうとした、その時。


「――二度と、その口で彼女を侮辱しないでいただきたい」


 室内の温度が、一瞬で氷点下まで下がった。

 湊さんが立ち上がり、私の前に立ちはだかる。その背中は、どんな壁よりも高く、絶大な安心感に満ちていた。


「価値がないだと? ……笑わせないでほしい。彼女は、俺がこの人生で唯一見つけた『宝』だ。神宮寺の看板など、彼女の微笑み一つにすら及ばない」


「な……貴様、正気か! 親に向かって!」


「正気ですよ。……父上、勘違いしないでいただきたい。俺がこの会社を支えているのは、彼女を守る力を手に入れるためだ。もし彼女を認めないというなら――」


 湊さんは、迷いのない瞳で父親を射抜いた。

 その表情。KYLOカイロ様が主演映画『反逆のプレリュード』で見せた、愛のためにすべてを捨てる主人公の覚悟と、完全に一致。


「――今日限りで、神宮寺の名も、この地位もすべて捨てて、彼女を連れて出ていく。……俺にとっての『世界』は、神宮寺ではなく、彼女(花音)なのだから」


(……ひ、ひいいいっ! 告白のスケールが大きすぎて、地球が割れちゃう!!)


 絶句する会長。

 湊さんは振り返ると、呆然としている私の頬を優しく包み込み、全人類に宣言するように言い放った。


「……いいか、花音。君を泣かせる奴は、たとえ親であっても許さない。……君の隣にいるのは、神宮寺の副社長じゃない。君だけに執着する、ただの男だ」


 神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「無敵の愛」へと昇華された。

 私の『推し活』は、もう戻れないところまで来てしまった。

 ……世界を敵に回してでも私を愛し抜く、この「重すぎる守護神」の腕の中に。

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