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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
14/22

第14話:推しのセンターを公開処刑(ビジュアルで)してしまいました

 撮影スタジオの空気が、一変した。

 いよいよ、飲料メーカーのCM撮影。最後のカットは、SOLARISのメンバーが踊る背後から、神宮寺副社長が「絶対的な支配者」として歩み寄るシーンだ。


(……待って。無理。KYLOカイロ様が最高にキレキレのダンスを見せてるのに、後ろから歩いてくる神宮寺さんのオーラが……エグすぎる)


 監督の「アクション!」の声がかかった瞬間。

 神宮寺さんは、ただ歩いただけだった。

 けれど、その一歩一歩がスタジオの床を支配し、彼の放つ圧倒的な「王者の風格」が、現役トップアイドルの輝きさえも飲み込んでいく。


「……カット! OK、完璧だ! 副社長、今の表情……冷酷でありながら、誰か一人だけを愛し抜くような、凄まじい熱量でした!」


 監督が興奮して椅子から立ち上がる。

 撮影の合間、KYLOカイロ様が肩で息をしながら、神宮寺さんの元へ歩み寄った。


「……参ったな。……ヒョン(兄さん)、君、本業じゃないよね? 僕、自分のセンターポジションを奪われるかと思ったよ」


 KYLOカイロ様が苦笑いしながら、私の方をチラリと見た。


「……もしかして、あの秘書さんが見てるから、あんなに気合が入ってたの?」


 神宮寺さんは、汗一つかいていない涼しげな顔で、私の腰をぐいと引き寄せた。

 そして、KYLOカイロ様とスタッフ全員が注視する中、私の耳元に唇を寄せる。


「……当たり前だろう。……俺の有能さを、彼女の脳裏に焼き付けておかないとな。……画面の中の君(KYLOカイロ)なんて、二度と思い出せないくらいに」


(……ひ、ひいいいっ! 推しの前で、推しへの宣戦布告はやめてくださいぃぃ!!)


 神宮寺さんは、あろうことかKYLOカイロ様に向かって、挑発的に微笑んでみせた。


「……君は世界中のファンに愛されていればいい。……だが、瀬戸花音(この女)の『一番』は、未来永劫、俺だけのものだ」


 KYLOカイロ様は一瞬目を見開いたが、やがて「……ふっ、完敗だね」と肩をすくめた。


「……君の勝ちだよ。……彼女を泣かせたら、僕がいつでも奪いにいくからね」


 KYLOカイロ様が私にウィンクをして去っていく。……尊い。そのウィンクだけで白米三杯はいける。

 けれど、それを許す神宮寺さんではなかった。


「……何をニヤけている、花音。……あんな薄っぺらいウィンクがいいのか?」


 神宮寺さんの瞳が、嫉妬でドロリと濁る。

 彼は私の顎を強引に持ち上げると、周囲の視線も構わずに、私の唇を荒々しく奪った。


(……んんぅっ!?)


 KYLOカイロ様との「綺麗な思い出」を、力ずくで塗りつぶすような、熱くて深いキス。

 スタジオ中に衝撃が走り、スタッフたちの悲鳴にも似た溜息が漏れる。


「……いいか。君の唇も、視線も、心も。……すべて、俺が『独占契約』済みだ。……忘れるな」


 神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに世界的人気アイドルをもひざまずかせた。

 私の『推し活』は、今日、本当の意味で終わったのだ。

 ……目の前の、この「愛が重すぎる男」を推し抜くという、過酷で甘い運命に上書きされて。

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