表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
13/23

第13話:撮影現場で、本物の(似の)男が私の所有権を主張し始めました

 都内近郊の巨大な撮影スタジオ。

 そこは、機材とスタッフ、そして熱気で溢れかえっていた。


(……う、嘘。本物。本物の『SOLARIS』がいる……!)


 スタジオの奥、スポットライトを浴びてダンスの最終確認をしている7人の男たち。その中心にいるのは、私の人生の光、KYLOカイロ様。

 生で見ると、その肌の質感、指先の動き、すべてが人間離れした美しさだ。


「……瀬戸さん。鼻血が出そうだぞ。口を閉じろ」


 隣から降ってきた、冷ややかな低音。

 神宮寺湊――わが社の副社長は、完璧に仕立てられたタキシード姿で、腕を組んで立っていた。


 ……待って。隣に並ぶと、より一層わかる。


 この人、世界的大スターと並んでも、ビジュアルで一歩も引いてない。むしろ、隠しきれない「支配者のオーラ」が、スタジオ中の空気を支配している。


「……あ、あの、副社長。あそこにKYLOカイロ様が……っ!」


「……知っている。俺の『出来の悪い弟』のような顔をした男だろう」


 神宮寺さんはフンと鼻で笑うと、私の腰をぐいと引き寄せた。

 その時。休憩に入ったSOLARISのメンバーたちが、こちらに気づいて歩いてきた。


「……えっ。……ヒョン(兄さん)?」


 足を止めたのは、他でもないKYLOカイロ本人だった。

 彼は神宮寺さんの顔を見て、絶句している。……わかる、わかるよKYLOカイロ様。自分と鏡合わせのような男が、超高級スーツを着て立ってたら驚くよね。


「……似ているな。だが、君の方が少し、幼いようだ」


 神宮寺さんは、世界中のファンが失神するようなKYLOカイロの至近距離攻撃を、無表情で受け流した。

 それどころか、KYLOカイロが私に視線を向けた瞬間、神宮寺さんの瞳に鋭い「剣」が宿る。


「……綺麗な秘書さん。……君、僕のファン?」


 KYLOカイロ様が、あの甘い「ファンサ・スマイル」で私に微笑みかけ、手を差し出そうとした。

 ……死ぬ。今、私は推しに認知された。全オタクの夢が叶う――。


 ガシッ。


 差し出されたKYLOカイロの手を、神宮寺さんが力強く、威圧的に掴み取った。


「……馴れ馴れしく触るな。彼女は、俺の専属だ」


「……おっと。……厳しいね」


 KYLOカイロは驚いたように目を丸くしたが、すぐに楽しげな笑みを浮かべた。

 二人の「神ビジュアル」が火花を散らす。スタジオ中のスタッフが、息を呑んでその光景を見守っている。


「……湊、さん。……痛いです……っ」


「……黙れ。……君がそんなに彼を見つめるから、俺の理性が限界なんだ」


 神宮寺さんはKYLOカイロの手を放すと、全社員……いや、全世界のスタッフが見ている前で、私の首筋に深く、自分の「所有権」を刻みつけるように顔を埋めた。


(……ひ、ひいいいっ! 推しの前で、推し似の男にマーキングされてるぅぅぅ!!)


「……いいか。画面の中の彼に何千回微笑まれようが、君の肌に触れ、君を抱きしめるのは俺だけだ。……わかったな?」


 神宮寺さんは私の耳たぶを甘く噛み、そのまま挑発的な視線をKYLOカイロに向けた。

 その姿は、どんなアイドルよりも傲慢で、どんなスターよりも輝く「独占欲の化身」だった。


(……ああ。……推し活を応援してほしかっただけなのに。……これじゃ、私が推しの『最大のライバル』に愛されすぎて、世界を敵に回しちゃう……っ!!)


 こうして、飲料メーカーのCM撮影は、本来の目的を忘れ、二人の「似て非なる神」による、私を巡る静かな戦争へと変貌していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ